閉塞 (鉄道) 閉塞によらない方法

閉塞 (鉄道)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/02 13:50 UTC 版)

閉塞によらない方法

鉄道に関する技術上の基準を定める省令第101条に定める「列車間の安全確保」のうち、上記で掲げた「閉塞による方法」以外の方法は下記のようなものがある。厳密に言えば閉塞方式ではないが、閉塞方式と関連があることからここに記述する。

列車間の間隔を確保する装置による方法

新幹線やデジタルATCなど、ATCで制御されるのを条件とし、閉そく区間に依存せずATCの間隔制御のみにより運転する方法。これらのATCは、地上から送信された速度情報ではなく、先行列車との距離情報と当該車両の減速度をもとに列車の間隔を制御しているため、ある特定の1区間を1つの列車に占有させるという閉塞の概念ではなく、ATCによって列車間の間隔を安全かつ適切な間隔に調整するという概念に変化している。ただし列車検知は従来通り軌道回路としている。これは日本の鉄道有余年の歴史上初めての概念となり、一般的にはまだ馴染みがない。このため閉塞方式の対義語としてATC方式[2] (PDF) ともいう。JR東日本では2011年より列車検知を軌道回路に依存しないATACSと呼ばれるシステムを実用化している。[11][12]「車内信号閉塞式」と異なるのは閉塞区間をもたないため駅間に閉塞区間の境界を示す「閉塞標識」がないこと。但し、停車場内外の境界を示す必要性があることからそれに相当する標識は建植してある。

その他、JR北海道が、GPS(衛星による位置情報装置)を使った方式を検討中である。

動力車を操縦する係員の注意力による方法

正しくは「動力車を操縦する係員が前方の見通しその他列車の安全な運転に必要な条件を考慮して運転する方法」といい、運転士の注意力のみに依存して運転する方法。最高速度を規制している例が多い。

無閉塞運転

前方の閉塞信号機の停止信号で停止し1分経過した後、その停止信号の内方を最高速度を規制して運転することを、無閉塞運転という。詳しくは当該項目を参照のこと。しかし、実際には規定が遵守されず、列車衝突事故を引き起こしたことが幾度かあるため(詳しくは無閉塞運転による事故を参照)、最近では無閉塞運転実施にあたり、指令に前方列車の有無の確認を義務づける場合が多い。また、無閉塞運転から、閉塞指示運転に移行した鉄道会社もある。

閉塞準用法

通信の途絶その他特別の事由により、通常の閉塞方式、代用閉塞方式のいずれも使用できない場合にやむを得ず使用される方式。「1閉塞区間1列車」の原則から外れるため、「閉塞方式」ではなく「閉塞準用法」と呼ばれる。保安度が低いうえ、通信設備の信頼性が向上した現在、閉塞準用法は鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準には規定として盛り込まれておらず、京浜急行を除き使用されることはなくなった。

なお、下記のいずれもが、国鉄においては、1961年山陽本線列車追突事故を機に順次廃止され、JRも継承していない。

隔時法
複線区間において使用される。列車を停車場から発車させた後、通常その列車が次の停車場までに要する運転時分の2倍(最低5分)を経過した後、続いて列車を発車させる。運転速度は時速35キロメートル以下に制限される。
特殊隔時法
隔時法と同様の方式だが、運転間隔を2分としたもの。運転速度は時速25キロメートル以下に制限される。京浜急行では、常用閉そくが施行できない場合、代用閉そくを行わず、閉そく準用法が施行される。
票券隔時法
票券閉塞式を使用する区間で使用される。通票のある停車場から、本来であれば通券により運転する列車を発車させた後、通常その列車が反対側の停車場までに要する運転時分の2倍(最低5分)を経過した後、続いて列車を発車させる。もちろん、同一方向へ運転する最後の列車は通票を携帯する。運転速度は時速35キロメートル以下に制限される。
指導隔時法
スタフ閉塞式または票券閉塞式を使用する区間以外の単線区間、または1線が不通となった複線区間で使用される。票券隔時法の通票の代わりに、1区間に一人の指導者を選定して実施する。運転速度は時速35キロメートル以下に制限される。
特殊指導隔時法
指導隔時法と同様の方式だが、運転間隔を2分としたもの。運転速度は時速25キロメートル以下に制限される。

伝令法

鉄道に関する技術上の基準を定める省令第101条第2項でいう「救援列車を運転する場合又は工事列車がある区間に更に他の工事列車を運転する場合であって、その列車の運転の安全を確保することができる措置」のことであって、現在では、上記「閉塞による方法」「列車間の間隔を確保する装置による方法」「動力車を操縦する係員の注意力による方法」のいずれも施行できないときに実施する例外規定であり、救援列車を運転するときでも複線区間で上記の方法が施行できるときは伝令法を実施しないことがある。

旧省令では、伝令法は閉塞準用法の一部として扱われていたが、列車の救援という性格を明確にするため現在では独立した運転方法としている。

伝令法により列車を運転する区間に伝令者(伝令者腕章を着装した職員)を1名定め、伝令者がいずれかの停車場に帰着するまで、閉塞区間に新たな列車を運転することはできない。また、伝令法を施行する際にすでに閉塞区間に存在する列車または車両は、位置が確認され、かつ、停止が確認されていなければならない。


注釈

  1. ^ 運転席に車内信号として表示されるため、車両側にATC(自動列車制御装置)の搭載が不可欠となる

出典

  1. ^ 只見線で最後のタブレット”. 福島民報 (2012年9月23日). 2012年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月10日閲覧。
  2. ^ 【衝撃映像】1995年8月急行砂丘タブレット通過授受失敗〜非常停車 - YouTube
  3. ^ 国土交通省「平成28年度版鉄道統計年報」より。1行ずれて新湊線の行に記載されているが、他年度を確認すれば誤記であることは明白である。
  4. ^ 国土交通省「平成28年度版鉄道統計年報」より。なお奥羽本線は1行ずれて青梅線の行に記載されているが、他年度を確認すれば誤記であることは明白である。
  5. ^ a b 西堀 典幸「地方線区信号システム近代化の鍵 バリス式列車検知形閉そく装置 "COMBAT"の開発」鉄道ピクトリアルNo.780(2006年10月) pp.105 - 109 電気車研究会
  6. ^ 自動またはCTCを取扱い中は信号取扱者が不在となるため、資格者以外が取扱いできないようにキーてことしている
  7. ^ 運行表示装置とも呼ばれ、各駅閉塞装置から伝送回線によって列車位置や信号機及び軌道回路の状態を表示する運行表示機能や、信号機制御の抑止・線路閉鎖・集中制御による警報などの制御を行う。また特殊な機器で構成されているシステムである為、その機器を試験する為のいくつかの試験器が搭載されている。
  8. ^ 赤外線方式では到達距離の限界があり、停車位置近くに受光器を設置しておく必要があり通過運転はできない。
  9. ^ 進士 友貞「国鉄最後のダイヤ改正 JRスタートへのドキュメント」p.239 交通新聞社 2007年
  10. ^ http://www.jreast.co.jp/youran/pdf/jre_youran_p53.pdf (PDF)
  11. ^ https://www.jreast.co.jp/newtech/tech17_main.html
  12. ^ {{PDFlink[1]}}




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「閉塞 (鉄道)」の関連用語

閉塞 (鉄道)のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング



閉塞 (鉄道)のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの閉塞 (鉄道) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2020 Weblio RSS