閉塞 (鉄道)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/16 05:24 UTC 版)
代用閉塞方式
装置や線路の故障、計画工事などにより、通常の閉塞方式を使用できない場合に、通常の閉塞方式の代わりとして使用する閉塞方式。「代用」の言葉の通り、常用の閉塞方式とするものではなく、非常時の一時的な閉塞方式であることに注意されたい。
指導式
単線区間または、複線区間で単線運転を行わざるを得ない場合において、1閉塞区間を何かの理由により分割し列車を運転せねばならない時に、施行される閉そく方式である。発駅の駅長は、ただ1人の指導者(赤い指導者腕章を着装した職員)を任命し、当該区間に進入する列車はかならず運転室へ当該指導者が添乗することで安全を確保する方式。スタフ閉塞式の人間版とも言える。閉塞取扱者は発駅の駅長である。また、常用閉塞方式からの移行時には、閉塞区間における列車または車両がないことを、閉塞区間の両端の駅長が相互に連絡を取り合い、軌道回路を使っている制御盤などで、確認する必要がある(列車保安方式の項も参照)。列車は、発駅に帰って来ることが前提であるので、指導券等を使った他の列車が、この区間に入ることは出来ない。
指導通信式
単線運転の区間に於いて、出発信号機(絶対信号機)またはそれに値する装置が、故障し進路の安全確保が出来ない場合に施行される閉そく方式である。指導者を設ける点は指導式と同じだが、その閉塞区間の両端にあたる停車場に指導券(票券閉塞式の通券にあたる)を設置し、同一方向に続行列車を走らせることが出来る。指導者は票券閉塞式の通票に見立てることができ、同一方向に運転される最後の列車に指導者が乗車する。また、指導者を用意できない場合(人手不足など)は、指導者腕章に指導票を同梱してこれに代えることができる。なお、最近の技術基準省令の解釈基準では、あらかじめ指導者腕章の廃止を取り決めておけば、指導票だけの運用も認めている。指導通信式は出発信号機の故障の場合だけ施行され、場内信号機や閉そく信号機の故障では施行されない。
指導指令式
単線区間または、複線区間で単線運転を行わざるを得ない場合、CTCなどを使用している区間で、閉塞区間における列車または車両の有無を確認できる装置と列車無線装置等の通信設備が利用できる場合に、運転整理担当者(列車指令)が閉塞取扱者となって行う、指導通信式と同様の方式。
指導検知式
新幹線において、事故などにより単線運転を行う区間のうち、停車場間における列車または車両の有無を自動的に検知する装置と1閉塞区間に1人の指導者を任命して両端の駅長が閉塞取扱者となって行う方式(列車保安方式の項も参照)。
通信式
複線運転をする区間において、予め定めた区間を1閉塞とし、その区間に列車または車両がないことを通信によって確認しながら、1閉塞区間に1列車ずつ列車を運転する方式。閉塞取扱者は、閉塞区間両端の駅長である。指導時・指導通信式と同様、常用閉塞方式からの移行時には、閉塞区間に列車または車両がないことを確認しなければならない。
指令式
複線区間のうち、CTCを使用している区間などで、閉塞区間における列車または車両の有無を確認できる装置と列車無線装置等の通信設備が利用できる場合に、運転整理担当者(列車指令)が閉塞取扱者となって行う、通信式と同様の方式。
検知式
新幹線の複線区間において、停車場間における列車または車両の有無を自動的に検知する装置を用いて両端の駅長が閉塞取扱者となって行う方式(列車保安方式の項も参照)。
注釈
- ^ 運転席に車内信号として表示されるため、車両側にATC(自動列車制御装置)の搭載が不可欠となる
- ^ なお、そのうちの一つであるJR東海名松線は、非自動式の閉塞方式を採用しながらも高度な自動列車停止装置であるATS-PTを採用する珍しい例である。
- ^ なおお召し列車は例外である。また谷底など拾うのが困難な場合は次の駅まで運行し、その旨を駅長に通告しなければならない。
- ^ 自動またはCTCを取扱い中は信号取扱者が不在となるため、資格者以外が取扱いできないようにキーてことしている
- ^ 運行表示装置とも呼ばれ、各駅閉塞装置から伝送回線によって列車位置や信号機及び軌道回路の状態を表示する運行表示機能や、信号機制御の抑止・線路閉鎖・集中制御による警報などの制御を行う。また特殊な機器で構成されているシステムである為、その機器を試験する為のいくつかの試験器が搭載されている。
- ^ 赤外線方式では到達距離の限界があり、停車位置近くに受光器を設置しておく必要があり通過運転はできない。
出典
- ^ “只見線で最後のタブレット”. 福島民報 (2012年9月23日). 2012年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年6月10日閲覧。
- ^ 東京メトロ【公式】 [@tokyometro_info]「写真は、今回の工事に関連してXで話題になっていたものです。」2024年5月14日。X(旧Twitter)より2024年7月16日閲覧。
- ^ 「令和の地下鉄に現れた“ザ・昭和の鉄道風景”にファン騒然!工事中の地下鉄東西線「スタフつくりました」」『乗りものニュース』2024年5月14日。2024年6月1日閲覧。
- ^ a b “北条鉄道”. www.hojorailway.jp. 2020年8月3日閲覧。
- ^ “北条鉄道法華口駅に行き違い設備設置 ―その狙いは阪神エリアへのアクセス向上―”. 鉄道チャンネル. 2021年8月30日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年8月5日). “北条鉄道・法華口駅、行き違い設備完成 全国初の保安システム採用 兵庫”. 産経ニュース. 2020年8月5日閲覧。
- ^ 【衝撃映像】1995年8月急行砂丘タブレット通過授受失敗〜非常停車 - YouTube
- ^ 国土交通省「平成28年度版鉄道統計年報」より。1行ずれて新湊線の行に記載されているが、他年度を確認すれば誤記であることは明白である。
- ^ 国土交通省「平成28年度版鉄道統計年報」より。なお奥羽本線は1行ずれて青梅線の行に記載されているが、他年度を確認すれば誤記であることは明白である。
- ^ a b 西堀 典幸「地方線区信号システム近代化の鍵 バリス式列車検知形閉そく装置 "COMBAT"の開発」鉄道ピクトリアルNo.780(2006年10月) pp.105 - 109 電気車研究会
- ^ 進士 友貞「国鉄最後のダイヤ改正 JRスタートへのドキュメント」p.239 交通新聞社 2007年
- ^ https://www.jreast.co.jp/youran/pdf/2019-2020/jre_youran_group_p44-45.pdf (PDF)
- ^ [1] (PDF)
- ^ https://www.jreast.co.jp/newtech/tech17_main.html
- ^ [2] (PDF)
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