護衛艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 09:42 UTC 版)
活動
日課
自衛艦旗は、航海中は常時後部旗竿もしくはメインマストに掲げているが、停泊中は朝8時に掲揚する。「自衛艦旗揚げ方5分前」の号令が入る時点で、既に艦長以下総員が後甲板に整列を終えており、総員挙手の敬礼とラッパの吹奏を受けて、当直士官の令のもと、当直警衛海曹と当直海士(当番)によって掲げられる。その後は分隊整列が行われ、壇上に上がった副長に対して各分隊が順番に報告したのち、副長からの達し事項が伝えられる。その後、副長の令を受けて、今度は各分隊(科)、ついで班ごとの話となる[45]。
停泊中は、午前・午後ともおおむね整備作業もしくは停泊訓練に費やされる。午前の整備作業が終わると甲板掃除、昼食と続き、体操の後に副長による課業整列を行って、午後の整備作業となる。午後の課業が終わると夕食、上陸員の上陸となる。ただし護衛艦は、航海時・停泊時を問わずいつでも行動できる体制を維持しており、停泊時は課業終了後も上陸せずに勤務に就く乗員が必ずいる。これらの当直員は、夕方日没前に「自衛艦旗降ろし方5分前」で後甲板に整列し、日没と同時に当直士官の令で自衛艦旗が降ろされる[45]。
夜8時には「巡検」が行われる。これは副長(不在時には当直士官)が当直警衛海曹の先導で艦内を見て回るもので、各居住区に点検番をおいて点検官に報告することになるため、点検前には甲板掃除に加えてベッドなどの整頓が必要となる。また巡検時には「巡検ラッパ」が吹奏される。ただし航海中は巡検のかわりに「火の元点検」とすることが多く、この場合は点検番やラッパ吹奏は不要となる[45]。
訓練
護衛艦は、建造や修理・検査のために一定期間ごとに造船所に入る必要があることから、この一定期間を「訓練周期」として、これを数期に分けて練度を順に追って確実に向上させるという「周期訓練」の方式をとっている[35]。
周期訓練は、新造艦の場合は「就役訓練」、大規模修理後の艦の場合は「再練成訓練」で始まる。再練成訓練は海上訓練指導隊の支援のもと、そのベテラン幹部・海曹の乗艦指導を受けて行うものである。また通常、これに先立って、全くの個艦で「慣熟訓練」を行ったうえで再練成訓練に臨むことが多い[35]。
再練成訓練で個艦訓練が一段落すると、次に護衛隊、更には護衛隊群単位での練成訓練へと順次に拡大していく。またその最中にも、個人・各科および個艦訓練も適宜に行われる。最終的には、秋口に行われる全国規模の「海上自衛隊演習」や、晩秋に行われる「訓練検閲」が一つの区切りとなる[35]。
注釈
- ^ KはHunter-Killer(HUK)に由来する。なお当初は、アメリカ海軍のカーペンター級駆逐艦に倣った「DDE」という記号が用いられていた[11]。
- ^ 民間の文献では「大型汎用護衛艦」とも称された[15]。
- ^ 艦内の防水扉等の閉鎖は、一部閉鎖の警戒閉鎖と、完全閉鎖の非常閉鎖がある
- ^ 写真は幹部居室。曹士の居室には固有の机などはなく、3段ベッドの艦も多い。
- ^ 自衛隊公式SNS等で「ロービジュアル」との記載があるが、これを訳せば「低い視覚」「低画質」などとなり文法的におかしく、正しい軍事用語としては「ロービジビリティ」(訳:低視認性)が存在し、各種文献にも「ロービジュアル」の記載がないことから、誤植と判断する。
出典
- ^ 海上幕僚長 (30 March 2020). 海上自衛隊の部隊、機関等における英語の呼称について (PDF) (Report). p. 15.
- ^ 『護衛艦』 - コトバンク
- ^ Wertheim 2013, pp. 360–369.
- ^ Saunders 2009, pp. 417–427.
- ^ 防衛庁長官 江崎真澄 (24 September 1960). "別表第1". 海上自衛隊の使用する船舶の区分等及び名称等を付与する標準を定める訓令 (PDF) (Report).
- ^ 海上幕僚監部 1980, ch.2 §1 概説.
- ^ a b c d e f 高須 1984.
- ^ 香田 2015, p. 36.
- ^ a b c 海上幕僚監部 1980, ch.4 §8 ミサイル装備艦の建造に着手/1次防艦の建造.
- ^ a b 海上幕僚監部 1980, ch.2 §9 艦艇建造のれい明期/国産艦の建造.
- ^ a b c d 牧野 1987, pp. 299–328.
- ^ a b c 海上幕僚監部 1980, ch.3 §10 長船首楼(ろう)艦の誕生/30年代初期国産艦の建造.
- ^ a b 海上幕僚監部 1980, ch.5 §10 多用途護衛艦の登場/2次防艦の建造.
- ^ a b c d e 海上幕僚監部 1980, ch.6 §13 翼を備える護衛艦/3次防艦の建造.
- ^ 丸スペシャル 海上自衛隊艦艇シリーズ 護衛艦たかつき型★No.57/1981.11
- ^ a b 海上幕僚監部 1980, ch.7 §12 国産艦の世代交代始まる/4次防艦の建造.
- ^ a b 長田 1995.
- ^ a b c d e f 海上幕僚監部 2003, ch.2 §7 システム化進む国産艦/ポスト4次防艦の建造.
- ^ 香田 2015, pp. 188–207.
- ^ 香田 2015, pp. 224–231.
- ^ 海上幕僚監部 2003, ch.2 §12 新たな体制への移行/08中防計画艦.
- ^ 香田 2018.
- ^ 香田 2015, pp. 67–68.
- ^ 香田 2015, pp. 118–123.
- ^ 香田 2015, pp. 167–169.
- ^ 山崎 2017.
- ^ 防衛庁技術研究本部 1962, p. 102.
- ^ 香田 2015, pp. 210–213.
- ^ a b c 海上幕僚監部 2003, ch.5 §10 待望の艦隊防空能力の向上なる/61中防計画艦の建造.
- ^ a b 山崎 2014.
- ^ a b c d 池田 2019.
- ^ 防衛装備庁取得プログラムの分析及び評価の概要(新艦艇) (PDF)
- ^ “艦種記号「FFM」新設 多機能化の30護衛艦に適用”. 海上自衛新聞 (第2610号): p. 1. (2018年4月6日)
- ^ 海上幕僚監部 1980, ch.6 §6 態勢を整える地方隊/地方隊の改編.
- ^ a b c d e f g h i 渡邉 2005.
- ^ a b c d e f g h i j k l 海上自衛隊 1972, 別表(第2条関係).
- ^ a b 海上幕僚長 2013, p. 47.
- ^ a b 海上幕僚長 2013, p. 70.
- ^ 海上幕僚長 2013, p. 68.
- ^ 稲葉 2014.
- ^ 海上幕僚長 2013, p. 48.
- ^ a b c 海上幕僚長 2013, pp. 71–72.
- ^ 海上幕僚長『海上自衛隊物品管理補給基準について(通達)』(レポート)1998年 。
- ^ 海上幕僚長 2013, p. 71.
- ^ a b c d e f g 渡邉 2009.
- ^ 海上幕僚長 2013, p. 51.
- ^ 佐藤常寛 (2010年6月5日). “佐藤常寛氏(海上自衛隊元海将補)インタビュー”. 2020年12月29日閲覧。
- ^ a b c d e f g 森 1989, pp. 118–125.
- ^ a b c d 岡田 1997, pp. 240–252.
- ^ a b 松本 2023.
- ^ イカロス出版 2021.
護衛艦と同じ種類の言葉
- 護衛艦のページへのリンク