葉 (解剖学) 精巣における小葉

葉 (解剖学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/12 09:27 UTC 版)

精巣における小葉

精巣には葉に相当する構成単位はないが[5]白膜からなる精巣縦隔から周縁に向かって派出される精巣中隔によって分けられた精巣小葉(せいそうしょうよう、lobuli testis)をもつ[38]。精巣小葉はピラミッド型で、基底は精巣の全周縁に面し、先端が縦隔に向かっている[38]。また、精巣上体における精巣輸出管が集まった精巣上体頭では、管がうねうねと複雑に曲がって太くなり、底面を先に向けた円錐状となり、それら1つ1つが白膜の続きの間質でまとめられ、精巣上体小葉(せいそうじょうたいしょうよう、lobuli epididymidis; または精巣上体円錐、せいそうじょうたいえんすい、coni epididymidis)となる[38]ウマでは、精巣上体小葉が精巣上体頭の全部を占める[38]

葉 (lamina)

筋膜の葉

哺乳類の側頭筋膜は2葉、頸筋膜は3葉に分かれている[9][39][40]。また、側腹筋の筋膜が癒合し腹直筋を包んだ腹直筋鞘も2葉に分かれている[41]

側頭筋膜の下部は2葉に分かれ、浅葉(せんよう、lamina superficialis)および深葉(しんよう、lamina profunda)と呼ばれる[39]。浅葉は頬骨弓の外側面に、深葉は頬骨弓の外側面に着き、両葉間には脂肪組織がある[39]

頸筋膜のうち、広頸筋の下にある筋膜を浅葉(せんよう、investing layerlamina superficialis, lamina colli superficialis)、舌骨下筋を包む筋膜を気管前葉(きかんぜんよう、lamina pretrachealis)、後頸筋を包む筋膜を椎前葉(ついぜんよう、lamina preverterbralis, lamina profunda (praevertebralis))と呼ぶ[40]頸動脈鞘はこれらの筋膜で構成される[42]

腹直筋鞘は前葉(ぜんよう、lamina anterior)および後葉(こうよう、lamina posterior)の前後2葉からなる[41]外腹斜筋の腱膜は前葉に入り、内腹斜筋では下部は前葉のみに入るが、腱膜の大半は前後2葉に分かれて前後両葉に入る[41]腹横筋の腱膜は弓状線より上部は後葉、下部は前葉に入る[41]

第三胃葉

鯨偶蹄目反芻亜目カバ科ラクダ亜目クジラ亜目に加え海牛目などは普通4つの複胃をもち[43]、そのうち第三胃には第三胃葉(だいさんいよう、omasal laminaelaminae omasi)という薄い粘膜襞が見られる[10][11]。第三胃葉は第三胃の背壁および側壁から多数放射状に出て第三胃底に集中し、第三胃管の輪郭を作っている[10]。また、葉は大葉中葉小葉最小葉の4種類に区別される[10]。葉の数は種ごとにほぼ一定で、大葉の数はウシで12 - 14枚、ヤギで10-11枚、ヒツジで9 - 10枚を数える[10]。各葉は大葉を挟んで中葉、中葉を挟んで小葉、小葉を挟んで最小葉と規則正しく配列される[10]。各様の狭い間隙を葉間陥凹(ようかんかんおう、interlaminar recessesrecessus interlaminares)と呼ぶ[10][11]。第三胃葉には表面に無数の第三胃乳頭がある[10]

脚注


注釈

  1. ^ 漏斗 infundibulumと呼ばれることもある[31]が、漏斗は正中隆起に加え、漏斗突起との接続部である漏斗茎 infundibular stemを分けることもある[29]

出典

  1. ^ 青柳 1958, p.1176
  2. ^ a b c Webster 1958, p.1060
  3. ^ a b 巌佐ほか 2013, p.1420
  4. ^ 竹林, 滋東, 信行、諏訪, 部仁 ほか 編『新英和中辞典』(第7版)研究社、2010年12月(原著1967年)、1067頁。ISBN 9784767410784 
  5. ^ a b c 巌佐ほか 2013, p.668
  6. ^ a b c 青柳 1958, p.1038
  7. ^ 新潮社 編『新潮日本語漢字辞典』(初版)新潮社、2007年9月25日、1933頁。ISBN 978-4-10-730215-1 
  8. ^ 新村出広辞苑 第六版』(第6版)岩波書店、2883頁。ISBN 9784000801218 
  9. ^ a b 日本獣医解剖学会 2000, pp.133-139
  10. ^ a b c d e f g h 加藤 1976, p.210
  11. ^ a b c 日本獣医解剖学会 2000, p.179
  12. ^ a b c d e f g h i j k 加藤 1976, p.316
  13. ^ a b c d e f 日本獣医解剖学会 2000, pp.205-206
  14. ^ a b Gilroy et al. 2015, pp.114-115
  15. ^ a b Gilroy et al. 2015, p.119
  16. ^ 加藤 1976, p.318
  17. ^ a b c d e 加藤 1976, p.322
  18. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 加藤 1976, p.236
  19. ^ a b Gilroy et al. 2015, p.167
  20. ^ a b c d 日本獣医解剖学会 2000, p.187
  21. ^ 山中潤一 (2006). “肝の解剖とその診断”. 2006年(平成18年)度後期日本消化器外科学会教育集会: 27-36. https://www.jsgs.or.jp/cgi-html/edudb/pdf/20061027.pdf. 
  22. ^ a b c d e f 加藤 1976, p.238
  23. ^ a b c d e f g Gilroy et al. 2015, p.627
  24. ^ Webster 1958, p.1920
  25. ^ a b c d e f g 巌佐ほか 2013, p.860
  26. ^ a b c d 加藤 1976, p.520
  27. ^ a b Gilroy et al. 2015, p.630
  28. ^ Gilroy et al. 2015, p.628
  29. ^ a b c d e 加藤 1976, pp.418-420
  30. ^ a b c d e f g h i j k 巌佐ほか 2013, pp.217-218
  31. ^ 巌佐ほか 2013, p.1500
  32. ^ a b Gilroy et al. 2015, p.71
  33. ^ 加藤 1976, p.614
  34. ^ a b c d e 加藤 1976, p.614
  35. ^ a b c d e 加藤 1976, p.415
  36. ^ a b c d e 加藤 1976, p.240
  37. ^ 日本獣医解剖学会 2000, p.189
  38. ^ a b c d 加藤 1976, pp.362-364
  39. ^ a b c 森・大内 1969, p.278
  40. ^ a b 森・大内 1969, p.289
  41. ^ a b c d 森・大内 1969, p.308
  42. ^ 森・大内 1969, p.291
  43. ^ 加藤 1976, p.206





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