秋水 生産機と現存機

秋水

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/05 08:28 UTC 版)

生産機と現存機

プレーンズ・オブ・フェイム航空博物館にて展示されている秋水
同展示のロケットエンジン・特呂二号

生産された7機のうち、4機を三菱航空機が、3機を日本飛行機が製造した。試験飛行に供された三菱第201号機は上記の通り大破、三菱第302号機は終戦直後に焼却処分された。日本軍機の技術調査をすべく生産機のうち3機がアメリカ軍によって接収された。

日飛第81号機は「A24」の番号をつけられ、護衛空母バーンズ」によって本国に輸送、イリノイ州グレンビュー海軍基地英語版に送られたが、調査の後スクラップにされている。

三菱第403号機は「A25」の番号をつけられ、調査を受けた。その後廃棄処分にされる直前のところをプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館の創設者、エドワード・T・マロニーによって買い取られ、秋草等の部品を流用して修復を受け、現在はカリフォルニア州チノの同館にて展示されている。ほぼ完全な状態で現存しているのはこの1機のみである。

三菱第504号機は「A26」の番号をつけられ、上記2機と共に送られたと思われるが、アメリカ本国に到着した形跡はなく、行方不明である。一説には輸送途中で「バーンズ」が嵐に遭ったため、他の鹵獲機と共に海中投棄したとも言われる。

1961年(昭和36年)6月、神奈川県横浜市金沢区の日本飛行機杉田工場の拡張工事の際、地中より胴体の一部が発掘された[30]1963年(昭和38年)2月より航空自衛隊岐阜基地にて保管されていたが、1997年(平成9年)11月に三菱重工業へと譲渡され、残された1,611枚の設計図に基づき、2001年(平成13年)12月に機体が復元された[30]愛知県豊山町名古屋航空宇宙システム製作所史料室に展示されたのち[30]、同館の閉鎖に伴い、2020年2月より名古屋市港区の三菱重工大江工場内にある「大江時計台航空史料室」に展示されている。


  1. ^ Francillon, 1979, p. 407
  2. ^ 角田『サムライ戦記』262-263頁
  3. ^ 角田『サムライ戦記』261頁
  4. ^ 角田『サムライ戦記』263頁
  5. ^ 角田『サムライ戦記』264頁
  6. ^ 松岡久光『日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生』三樹書房156頁
  7. ^ 渡辺洋二『異端の空―太平洋戦争日本軍用機秘録』文春文庫p56-58、62
  8. ^ 丸『海軍戦闘機列伝』光人社302頁
  9. ^ a b 角田『サムライ戦記』287頁「静かなる檜舞台」
  10. ^ a b c d 角田『サムライ戦記』289頁「死への急上昇」
  11. ^ 角田『サムライ戦記』290頁
  12. ^ 角田『サムライ戦記』291頁
  13. ^ 角田『サムライ戦記』292頁
  14. ^ 渡辺洋二『未知の剣』文春文庫433-436頁
  15. ^ 渡辺洋二『異端の空―太平洋戦争日本軍用機秘録』文春文庫p89-92
  16. ^ 高田幸雄『神風になりそこなった男達 ロケットファイター秋水隊』国書刊行会p190
  17. ^ a b 松岡久光『日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生』三樹書房p162-163
  18. ^ 渡辺洋二『未知の剣』文春文庫439頁
  19. ^ 角田『サムライ戦記』270頁
  20. ^ 角田『サムライ戦記』238-239頁
  21. ^ 角田『サムライ戦記』240-249頁「海軍初のモルモット」
  22. ^ 角田『サムライ戦記』253頁
  23. ^ 角田『サムライ戦記』255頁
  24. ^ 角田『サムライ戦記』259頁
  25. ^ 丸『海軍戦闘機列伝』光人社302頁、松岡久光『日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生』三樹書房156頁
  26. ^ 渡辺洋二『異端の空―太平洋戦争日本軍用機秘録』文春文庫p56-62、丸『海軍戦闘機列伝』光人社302頁
  27. ^ 角田『サムライ戦記』300頁
  28. ^ 中村勝実『野辺山海軍航空隊 予科練の特攻隊基地』162-163頁
  29. ^ 『本土決戦と滋賀: 空襲・予科練・比叡山』「桜花」基地p204-205
  30. ^ a b c 局地戦闘機「秋水」 歴史群像 2002年4月号 P16-19 学習研究社
  31. ^ 石黒竜介、タデウシュ・ヤヌシェヴスキ『日本陸海軍の特殊攻撃機と飛行爆弾』大日本絵画、2011年、230頁。ISBN 978-4499230483 
  32. ^ スーパー・ゼロ戦「烈風」図鑑―A7M&まぼろしの海軍戦闘機内のP154「海軍まぼろしの戦闘機列伝」 
  33. ^ 出典:京都新聞2020年8月13日朝刊 京都地域版18面「戦後75年 まちの記憶『③清水焼と軍需品』」
  34. ^ 白金はロケット戦闘機「秋水」製造用に(昭和20年10月20日 朝日新聞)『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p148 毎日コミュニケーションズ刊 1994年






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