秋水
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その他
秋水の燃料「過酸化水素」の精製器の一部「呂号陶器」と呼ばれる部品が京都市東山区五条坂の現存する唯一の清水焼の登り窯跡に保存されている。これは過酸化水素水が金属を腐食させるために清水焼の窯元に部品を発注して造られた物で、「戦後破壊しようとしたが硬くてできなかった」との事。この窯元では陶器の手榴弾も製造していて、その多くは立命館大学国際平和ミュージアムに寄贈されている[33]。
過酸化水素の電解装置の電極などには大量のプラチナが使用された。使用されたプラチナは、1944年から行われた「白金供出運動」により収集されたもので白金線、白金箔として1900kgもの量が消費されたこととなっている[34]。
諸元
制式名称 | 秋水 |
---|---|
機体略号 | 海軍:J8M 陸軍:キ200 |
全幅 | 9.5m |
全長 | 5.95m |
全高 | 2.7m |
発動機 | 特呂二号(推力:1,500 kg) |
最高速度 | 890km/h |
上昇力 | 10,000mまで約3分 |
航続距離 | 約3分30秒 |
武装 | ホ155-II30mm機関砲2挺 |
登場作品
エッセイ
- 竹中労『たまの本』(小学館、1990年)p.17-p.19
- 著者の少年時代の体験談として、学徒勤労動員で海軍の「マル呂」(秋水)の研究室に配属されたが、主任の青年将校は「俺は人間の焼肉をつくるのはご免だ」と言って燃料の開発を故意にサボタージュしていた、などの裏話を明かしている。
小説
- 『Classical Fantasy Within』 第一話 ロケット戦闘機「秋水」(島田荘司)
- 講談社BOX
- 『日本本土決戦』(檜山良昭)
- 秋水が数十機量産されて実戦配備され、B29を多数撃墜する活躍を見せる。
- 『横須賀海軍航空隊始末記』(神田恭一)
- 光人社NF文庫
漫画・アニメ
- 『飛べよ!秋水』(おがわあきら)
- 少年マガジン1972年12月10日号収録。
- 『戦空の魂』(天沼俊)
- 増槽ロケットを付けて2度目の試験飛行を行い宇宙へ到達するが、重力に引かれて自然落下により燃え尽きる。
ゲーム
- 『War Thunder』
- 日本の空軍ツリーにランク5の機体として登場。名称は当初「Ki-200」だったが、後のアップデートで日本語版では「秋水」となった。
- 『World of Warplanes』
- 日本ツリー課金機体としてJ8Mが登場。
- 『艦隊これくしょん -艦これ-』
- 「試製秋水」「秋水」として登場。史実を反映してか、戦闘行動距離は作中の全航空機中最短だが、本機を配備した基地航空隊には基地空襲迎撃時に高い対爆撃機撃墜補正値が付与される。
- 『ストライカーズ1945II』
- キ84疾風の援護機として登場。ただし実機と形状が異なる。プレイヤーも使用可能。
脚注
- ^ Francillon, 1979, p. 407
- ^ 角田『サムライ戦記』262-263頁
- ^ 角田『サムライ戦記』261頁
- ^ 角田『サムライ戦記』263頁
- ^ 角田『サムライ戦記』264頁
- ^ 松岡久光『日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生』三樹書房156頁
- ^ 渡辺洋二『異端の空―太平洋戦争日本軍用機秘録』文春文庫p56-58、62
- ^ 丸『海軍戦闘機列伝』光人社302頁
- ^ a b 角田『サムライ戦記』287頁「静かなる檜舞台」
- ^ a b c d 角田『サムライ戦記』289頁「死への急上昇」
- ^ 角田『サムライ戦記』290頁
- ^ 角田『サムライ戦記』291頁
- ^ 角田『サムライ戦記』292頁
- ^ 渡辺洋二『未知の剣』文春文庫433-436頁
- ^ 渡辺洋二『異端の空―太平洋戦争日本軍用機秘録』文春文庫p89-92
- ^ 高田幸雄『神風になりそこなった男達 ロケットファイター秋水隊』国書刊行会p190
- ^ a b 松岡久光『日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生』三樹書房p162-163
- ^ 渡辺洋二『未知の剣』文春文庫439頁
- ^ 角田『サムライ戦記』270頁
- ^ 角田『サムライ戦記』238-239頁
- ^ 角田『サムライ戦記』240-249頁「海軍初のモルモット」
- ^ 角田『サムライ戦記』253頁
- ^ 角田『サムライ戦記』255頁
- ^ 角田『サムライ戦記』259頁
- ^ 丸『海軍戦闘機列伝』光人社302頁、松岡久光『日本初のロケット戦闘機「秋水」―液体ロケットエンジン機の誕生』三樹書房156頁
- ^ 渡辺洋二『異端の空―太平洋戦争日本軍用機秘録』文春文庫p56-62、丸『海軍戦闘機列伝』光人社302頁
- ^ 角田『サムライ戦記』300頁
- ^ 中村勝実『野辺山海軍航空隊 予科練の特攻隊基地』162-163頁
- ^ 『本土決戦と滋賀: 空襲・予科練・比叡山』「桜花」基地p204-205
- ^ a b c 局地戦闘機「秋水」 歴史群像 2002年4月号 P16-19 学習研究社
- ^ 石黒竜介、タデウシュ・ヤヌシェヴスキ『日本陸海軍の特殊攻撃機と飛行爆弾』大日本絵画、2011年、230頁。ISBN 978-4499230483。
- ^ スーパー・ゼロ戦「烈風」図鑑―A7M&まぼろしの海軍戦闘機内のP154「海軍まぼろしの戦闘機列伝」
- ^ 出典:京都新聞2020年8月13日朝刊 京都地域版18面「戦後75年 まちの記憶『③清水焼と軍需品』」
- ^ 白金はロケット戦闘機「秋水」製造用に(昭和20年10月20日 朝日新聞)『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p148 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
秋水と同じ種類の言葉
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