石田正宗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/11 09:01 UTC 版)
作風
刃長は68.8センチメートル(二尺二寸七分)。鎬造(しのぎづくり)で反りの高い刀である。切先は中切先。茎(なかご、柄に収まる手に持つ部分)は大磨上(おおすりあげ、もと長大な太刀であったものを茎を切り詰めて短くする「磨上」のうち銘字が完全に失われるほど短くしたものを「大磨上」という。)による無銘。地鉄は板目約(つ)み、地沸(じにえ)こまかく付き、地景(ちけい)入る。刃文は小湾れ(このたれ)を基調に小互の目(こぐのめ)まじり、金筋(きんすじ)、砂流し(すながし)入る。沸の美を強調した相州伝の典型的な作風を示すが、正宗の作としては互の目が目立ち刃縁が締まりごころである点が特色である[9]。
脚注
注釈
用語解説
- 地沸 - 平地の部分に微細な鋼の粒子が砂子のように見えるものをいう。
- 地景 - 平地の部分に線状に青黒く見える景色をいう。
- 湾れ - 刃文の一種で、ゆるやかに波打ったような線を描くもの。
- 互の目 - 刃文の一種で、小さな波状の模様を規則的に繰り返すもの。
- 金筋 - 刃中に現れる働きの一つで、沸(鋼の微粒子)が線状に連なって刃中に光って見えるもの。
- 砂流し - 刃中に現れる働きの一つで、砂を箒で掃いたように見えるもの。
出典
- ^ a b c d 本間順治; 佐藤貫一『日本刀大鑑 古刀篇1【図版】』大塚巧藝社、1966年、240頁。 NCID BA38019082。
- ^ a b c d “e-国宝 刀 無銘 正宗(名物 石田正宗)”. 東京国立博物館. 2023年11月11日閲覧。
- ^ a b 堀本一繁 著「49 重要文化財 刀 名物 石田正宗」、福岡市博物館 編『特別展 侍 もののふの美の系譜』2019年9月7日、209頁。 NCID BB29348637。
- ^ a b c d e 子孫が語る刀剣と秘話「実戦力と機能美を備えた石田三成の愛刀」 - AERA.dot 2019年12月01日閲覧
- ^ a b c 高瀬羽皐『詳註刀剣名物帳』嵩山堂、1919年、69-70頁。(参照:国立国会図書館デジタルコレクション、30コマ目)
- ^ a b c 現代に伝わる石田三成の宝刀、米国から戻った秀吉からの鎧兜 - AERA.dot 2019年12月01日閲覧
- ^ “国指定文化財データベース”. 文化庁. 2015年2月21日閲覧。「刀〈無銘正宗(名物石田正宗)/〉」より
- ^ 文化庁 2000, p. 15.
- ^ 作風解説は以下による。
- 特別展図録『名物刀剣 宝物の日本刀』(根津美術館、富山県水墨美術館、佐野美術館、徳川美術館、2011)、p.102
- 特別展図録『特別展正宗 日本刀の天才とその系譜』(佐野美術館、富山県水墨美術館、徳川美術館、根津美術館、2002)、p.158
参考文献
- 文化庁 編『国宝・重要文化財大全』 別、毎日新聞社、2000年。ISBN 978-4620803333。
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