矢代俊一 ディスコグラフィー

矢代俊一

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/03 03:19 UTC 版)

ディスコグラフィー

シングル

  • 「ワナビー」
    26歳の時、第1期矢代俊一カルテットのメンバーとともに、清涼飲料水のCMに出演した際、そのCMのために作曲した曲。矢代俊一の名を一躍メジャーにした出世作であり、6万枚というジャズとしては異例ともいえる最大のヒット曲となった。もともとはCD化の予定はなかったが、CM用の収録の際にスタジオ・ライブで行われたセッションが最高の出来となり、その録音をそのままCD化して発売された。
    人間の生の喜び、希望をテーマとして作曲された曲で、難しい複雑な旋律などはなく、非常に明るい、物悲しい響きをもはらみながらも調子のいい、どことなく浮き立ってくるような前のめりの曲である。
    タイトルは「WHAT DO YOU WANNA BE」を省略したものだが、同時に「YOU CAN BE WHAT YOU WANNA BE」という意味も込められているという。
    コード進行は、
    Bm|Em|Bm|%|Em|A|Bm|%|G|%|A|%|Bm|A|Bm|%||
    G|A|G|A|G|A|G|A|C|~|
    Bm|Em|Bm|%|Em|A|Bm|%|G|%|A|%|Bm|A|Bm|%||
    ||:G|%|A|%|Bm|A|Bm|%:||
    ほとんどの人が認める、矢代の代表曲であるが、矢代自身は最初の1度のセッションのみでこの曲を封印し、10年以上もの長期間にわたって、一度もリクエストに応じることはなかった。その理由としては、この曲の録音直後に起こった、第1期矢代俊一カルテットのピアニスト・結城滉の事故死や、数ある矢代のオリジナル曲の中で、この曲ばかりが注目されることへの反感などがあるという。

アルバム

『矢代俊一ファースト』
ファースト・アルバム。23歳時に発表。たいへん初々しく、かなりオーソドックスなジャズ・アルバム。代表曲は3曲目に収録されたオリジナルの「ハミングバード」。その他、「ブルースカイ」「エアージン」などを収録。まだ第1期矢代俊一カルテット結成前の作品であり、ピアノは領佐が担当している。
『矢代俊一セカンド』
「ワナビー」の大ヒットを受けて制作されたセカンド・アルバム。26歳時にクランベリー・レーベルより発表。マイルス・デイヴィスを連想させる、ともいわれるほどに王道を行くジャズ・アルバム。収録曲の半分をスタンダード、半分をオリジナルで構成されている。日本ジャズ界最高のカルテットと云われた、第1期矢代俊一カルテットによる唯一のアルバムであり、いまだにこれを矢代俊一の最高傑作である、とする声も多い。
「ライブ一発録音」をコンセプトとし、青山のライブハウス《エデン》で行われた2日間のレコーディング・ライブにより、「ワナビー」を除くすべての楽曲の収録がなされた。「ワナビー」についてはCM撮影時のテイクが、そのまま収録されている。他「ブルースカイ」「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」「酒とバラの日々」などを収録。
『海へ――この世の果てまで』
30歳前後の頃に発表されたアルバム。青い海を背景に、長髪をふわりとなびかせた矢代俊一の横顔が浮かび上がらせた写真をジャケットとしたアルバム。その美しいジャケットも評判となり、このアルバムがきっかけとなって女性ファンが一気に増えたという。『ワナビー・アゲイン』のヒットまでは、矢代の最大のヒット・アルバムであった。「ディープ・リヴァー」などを収録。
『サイクロプス』
通算5枚目のアルバム。それまで比較的オーソドックスなジャズ・アルバムを制作していた矢代が、がらりとその雰囲気を変え、初めて前衛的、フリージャズ的な作品に挑んだ意欲作。最初に短いテーマが登場したのち、何十分かにわたって矢代が一曲を吹き続けるというような、極めて奔放な作品となっている。
『(タイトル不明)』
通算6枚目のアルバム。前作『サイクロプス』から、またがらりと雰囲気を変え、かなりロック寄りの楽曲で構成されている。
『(タイトル不明)』
通算7枚目のアルバム。前作同様、かなりロック寄りの楽曲で構成されている。
『(タイトル不明)』
通算8枚目のアルバム。前作から再び作風を大きく変化させ、全編フルートの演奏による、ゴスペルを中心とした、素朴で牧歌的なアルバムとなっている。のちに彼の妻となるゴスペル・シンガーのテディ・ベイカーと共演している。
『(タイトル不明)』
通算9枚目のアルバム。基本的には前作と同じく、フルートによるゴスペル路線の楽曲が収録されている。
『グッバイ・ニューヨーク』
通算10枚目のアルバム。前作から少し間をあけて発表された。基本的にはゴスペル路線を継承しているが、本作ではフルートだけでなく、サックスも演奏しており、全体として重たい感じの作品となっている。ゴスペルだけでなく、オリジナルも収録されているが、中にはエイト・ビートの曲などもあり、かなりジャズ色は薄められている。
『遥かなるエイジア』
通算11枚目のアルバム。前作から少し間をあけて発表された。前作までのゴスペル路線は影をひそめ、エスニック風、バリ島風、タンゴ、初めてシンセサイザーを使用したニューエイジ風の音楽など、全編オリジナルの楽曲が収録されている。中には矢代自身の作詞により、矢代自身が歌った曲も収録されている。
『隊商都市』
シンセサイザー・オンリーのアルバム。35歳時に重傷を負い、1年ほどプレイヤーとしての活動が停止していた時期に作曲したオリジナル曲で構成されている。「あじさい」「この世の果てるところまで」「女王ゼノビア」などの佳作を収録。
『オリエンタル』
通算12枚目のアルバム。芸術選奨受賞作[1]。矢代俊一がプレイヤーとしての復帰を果たした作品で、矢代による打ち込みによって制作された。全編に日本語の歌詞がつけられ、エイト・ビート中心の琵琶、笛、お囃子、ガムランシタールなども使用した作品となっており、ジャズ色は極めて薄いものの、極めて強い浮揚感を持った作品である。代表曲は、矢代俊一のプレイヤーとしての完全復活の舞台となった「森と湖のジャズフェスティヴァル」において、金井恭平カルテット+フルーティスト矢代俊一によって演奏された表題作「オリエンタル」。ジャケットは、チャクラ紋様を浮き立たせた東洋的なイラストをバックに、アルトサックスを吹く矢代の写真。矢代自身の意向により、CDだけでなく、レコードでも同時に発売された。
『フェニックス』
39歳時に、『オリエンタル』に続く作品として構想されていたアルバム(その後、完成したかどうかについては不明)。表題曲「フェニックス」、クラシックのフルオーケストラと共演する「ジャズ・シンフォニア」、金井恭平とのツイン・サックスによる曲などの収録が予定されていた。
『ワナビー・アゲイン』
40歳時に発表されたアルバム。それまでの矢代のキャリアの中で最大の、ジャンルを超える大ヒット・アルバムとなった。ジャズ色が希薄で東洋趣味の強かった『オリエンタル』と比較して、純ジャズへの回帰が見られている。「イエスタデイズ」などを収録。
『火の鳥』
41歳時に発表されたアルバム。チョコレートのCM曲となった「スイート・セプテンバー」などを収録[1]
『ブルー・スカイズ』
ジャズのカバーアルバム。オリコンで1位を獲得した。収録曲に「ブルースカイ」「NEVER LET ME GO」など[2]
『ファンタジア』
木漏れ日の差し込む森の中を、うつむき加減に歩く矢代俊一の写真をジャケットとしたアルバム。
『エデン』
矢代が精神的に低調で、鬱っぽい時期に出したアルバムで、矢代による打ち込みによって制作された、『オリエンタル』と並んで東洋色の強いアルバム。全体的に暗い曲調の楽曲で構成されており、このアルバムを聴きながら、女性ファンが自殺するという事件が起こった。代表曲は「エデン」。
『ファンダメンタル・シンデレラ』
矢代が打ち込みによって制作したアルバム。
『(タイトル不明)』
「レフト・アローン」、「朝日の当たる家」などを収録としたカバーアルバム。

その他の主な音楽活動

その他の音楽活動としては、以下のものがある。

  • 舞台音楽(『不思議の国のアリス』『ゲットアップ!』など)、ドラマ挿入曲の作曲。
  • 歌手・今西良のアルバムの作曲および演奏。
  • 「水郷ジャズ・フェス」、「森と泉のジャズ・ウィーク」をはじめとする、数々のジャズフェスティヴァルへの参加。

  1. ^ a b c d 同人誌『GIG!』所収の年譜より。
  2. ^ a b 作者の個人同人誌『浪漫之友』第9号付録参照。


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