目薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 00:52 UTC 版)
容器形状
日本で現在一般的な目薬容器は、点眼口が容器の上にある。
なお田辺製薬(現・田辺三菱製薬)が容器の横に点眼口のある「サイドドロップ容器」を開発し、2001年度グッドデザイン賞を受賞した。これは先端恐怖症で点眼が苦手な人でも簡単に点眼することができる。
現在日本で販売されている点眼薬の容器は、中央部がややへこんだ形のものが多くなってきている(「ディンプル型」という)。点眼が容易かつ確実に行えるように工夫された形である。
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使用法
- キャップを開け顔を上げて目に対して垂直に2~3センチほどの高さに据え、1~2滴程度の薬液が出る強さで容器を指で押す。あまり高くすると目に入らない。
- 薬液の汚染を防ぐため、点眼の際には容器の先端がまぶたやまつげに触れないようにする。目薬に混入した異物のほとんどは使い方の誤りによる使用者の目脂であり、このように異物が混入した目薬は絶対に使用を控え薬液を廃棄する。
- 目薬は1滴で充分な量がある(但し、使い切りタイプを除く)。これは目薬1滴の体積が目の表面にためることのできる容量とほぼ同じかそれ以上であるからであり、2滴以上点眼しても溢れるか鼻腔に流れ込むだけである。また、目から溢れたものはかぶれることがあるので濡らしたガーゼなどで拭き取った方がよい。特に医療用点眼薬は副作用の強いものも多いので、注意が必要である。
- 点眼後は、薬液が涙道を通って鼻腔に流れ込まないようにするため、1分程度は涙嚢部(目頭)を押さえるべきである。あるいは、単に目を閉じておくだけでも涙嚢部圧迫と同様の効果がある。しかし、目をパチパチ瞬かせてしまうとせっかくの目薬の成分が浸透せず涙と一緒に流れ出てしまい、十分な効果が得られない。
- 2種類以上の目薬を差す必要がある場合には、5分ほど間隔を空ける。すぐに注しても先に注した目薬が押し出されて流れ出てしまうだけである。
- コンタクトレンズ装着時には、特に表示や指示がない限り一般的には点眼してはいけない。特にソフトコンタクトの場合は、(一部点眼可能な商品もあるが)必ず外して点眼するべきである。
安全性
副作用の例
目薬が原因で人が死に至る場合もある。1957年(昭和32年)3月6日付の読売新聞には「目薬を点眼した54歳の女性が目薬が原因でショック死した」との記事が書かれている。
コンタミネーション(細菌による汚染)
目薬が細菌などによって汚染される危険性は、1927年の時点で指摘されていた。また、抗生物質もすべての菌に有効に働くわけではないこと、製造・保管・使用方法・開封後の使用期限による汚染が指摘される[10][11]。
2023年2月2日、人工涙液点眼薬「Artificial Tears Lubricant Eye Drops」が緑膿菌に汚染されていたとして、アメリカ疾病予防管理センターによると、角膜、眼内液、呼吸器、尿路の感染症、敗血症の症例から失明・死亡の報告もあり、リコールが発表された[12]。
2023年10月27日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、26種類の目薬に細菌汚染の可能性があるとして、店頭から撤去するよう呼びかけた[13]。
- ^ 「日本薬局方」ホームページ - 厚生労働省
- ^ “乾いた瞳にうるおいを!ドライアイ専用目薬「ノアールCL」(佐藤製薬)”. www.sato-seiyaku.co.jp. 2022年12月16日閲覧。
- ^ 島崎敦「治療薬シリーズ(8)緑内障 1)緑内障治療薬の基礎」『日本薬理学雑誌』第128巻第4号、日本薬理学会、2006年、250-254頁、CRID 1390282679250175616、doi:10.1254/fpj.128.250、ISSN 00155691。
- ^ サンテメディカル12 参天製薬日本サイト
- ^ 中村葉「学童近視の治療 : 低濃度アトロピン」『医学のあゆみ』第279巻第2号、東京 : 医歯薬出版、2021年10月、125-129頁、CRID 1523951031000807552、ISSN 00392359。 (要購読契約)
森紀和子「近視進行抑制法の最前線」『視覚の科学』第43巻第1号、日本眼光学学会、2022年、1-7頁、CRID 1390291767777124736、doi:10.11432/jpnjvissci.43.1、ISSN 0916-8273。 - ^ “スマイルの防腐剤無配合技術について”. ライオン株式会社. 2019年3月14日閲覧。
- ^ “医療用点眼剤の製剤設計・製造”. 一般社団法人日本眼科用剤協会. 2017年3月24日閲覧。
- ^ a b c Mark B. Abelson, MD, CM, FRCSC, FARVO, and Ashley Lafond, Andover, Mass., 3,500 Years of Artificial Tears
- ^ 『仁丹は、ナゼ苦い?』ボランティア情報ネットワーク、1997年、6頁。
- ^ 布施昌孝, 片倉道啓, 佐藤百合子, 吉田義孝, 照井和幸, 福島豁行, 鈴木彰「市販点眼薬の微生物汚染について」『病院薬学』第4巻第2号、日本医療薬学会、1978年、70-73頁、CRID 1390282679752202624、doi:10.5649/jjphcs1975.4.70、ISSN 0389-9098。
- ^ “目薬の使い方|一般社団法人 日本眼科用剤協会”. gankayozai.jp. 2023年10月31日閲覧。
- ^ “点眼薬で感染症や死亡の報告、メーカーがリコール発表 米FDA”. CNN.co.jp. 2023年10月31日閲覧。
- ^ Research, Center for Drug Evaluation and (2023年10月30日). “FDA warns consumers not to purchase or use certain eye drops from several major brands due to risk of eye infection” (英語). FDA. 2023年10月31日閲覧。
- ^ 要出典。誰?は『目薬のOEM製造が多いのは専用の生産設備が必要なせいだ[要出典]』だと云った?
- ^ ことわざを知る辞典「二階から目薬」
- ^ a b c 広辞苑第六版【目薬】
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