淋病 淋病の概要

淋病

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/29 05:18 UTC 版)

淋病
分類および外部参照情報
ICD-10 A54
ICD-9-CM 098
DiseasesDB 8834
MedlinePlus 007267
eMedicine article/782913
Patient UK 淋病
MeSH D006069
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治療には抗生物質が使われる。咽頭への感染が増えているため、咽喉にも有効な治療では推奨されるのはセフトリアキソンを1グラムの注射剤のみである[3]ペニシリン系テトラサイクリン系ニューキロノン系、第三世代のセファロスポリン系では薬への耐性化が進んでいる[4]。性行為の相手を特定に限ったり、コンドームを使用することで大きく予防できる。

感染症法における取り扱いでは、淋菌感染症は5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約900カ所の性感染症定点より毎月報告がなされている[5]

命名

古代の人は、その症状によって尿道から流れ出る膿を見て、陰茎の勃起なくして精液が漏れ出す病気(精液漏)として淋病をとらえ、gono(精液)、rhei(流れる)の意味の合成語 gonorrhoeae と命名した[要出典]

淋は「淋しい」という意味ではなく、雨の林の中で木々の葉からポタポタと雨がしたたり落ちるイメージを表現したものである。淋菌性尿道炎は尿道の強い炎症のために、尿道内腔が狭くなり痛みと同時に尿の勢いが低下する。その時の排尿がポタポタとしか出ないので、この表現が病名として使用されたものと思われる[要出典]。 そもそも「淋」という字は『字通』や[1]を見てもわかる通り「たくさんのものが並ぶ様」を表わしている。間欠的な意味をもともと持っていたわけではない。

「痳」と書くこともある。

感染経路

淋菌の外観

性行為やオーラルセックスにより感染する。淋菌は弱い菌で、患者の粘膜から離れると数時間で感染性を失い、日光や乾燥、温度変化、消毒剤で死滅する[6]。そのため、性交や性交類似行為以外によって感染するのはまれである[6]。ただし、分娩時に産道感染で母子感染を起こすことがある[5]。さらに、手指やタオルからの感染が疑われる報告もされている[5][7]

1回の性行為による感染率は約30%と高い[1]性器クラミジア感染症とならび、よくある感染症である[1]

症状

新生児の淋菌性眼炎

感染後数時間から数日で発症する[8]。 咽頭の場合は咽頭炎性器の場合は、淋菌性尿道炎(男性のみ)、子宮頚管炎(女性のみ)を起こす。感染部位は、咽頭性器などの粘膜のほか、尿道、子宮頸部、直腸などの内膜や、眼の結膜を侵す。[9] 咽頭の感染では、あまり症状は見られない。

  • 男性の場合は多くは排尿時や勃起時などに激しい痛みを伴う。しかし、場合によっては無症状に経過することも報告されている[5]
  • 女性の場合は数週間から数カ月も自覚症状がないことが多い。症状があっても特徴的な症状ではなく、単なる膀胱炎や膣炎と診断されることがある。[10] 放置すると菌が骨盤内の膜、卵巣、卵管に進み、内臓の炎症、不妊症、子宮外妊娠に発展する場合もある[9]。 咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となる[5]
  • 新生児は出産時に母体から感染する。両眼が侵されることが多く、早く治療しないと失明するおそれがある。病原体は血流に乗って身体の各所に広がることもあり、関節、肝臓を覆う膜、心臓の内部が感染する(心内膜炎)場合も有る。[9]
  • 淋菌感染症は何度も再感染することがある[5]

  1. ^ a b c d 性感染症 診断・治療ガイドライン 2016, p. 51.
  2. ^ a b c 性感染症 診断・治療ガイドライン 2016, p. 54.
  3. ^ a b c 性感染症 診断・治療ガイドライン 2016, p. 37.
  4. ^ a b c 性感染症 診断・治療ガイドライン 2016, pp. 51–55.
  5. ^ a b c d e f g h i j 2002年第22週号 感染症の話-淋菌感染症 国立感染症研究所 感染症情報センター
  6. ^ a b 淋菌感染症とは”. 国立感染症研究所. 2019年3月17日閲覧。
  7. ^ 淋菌感染症 Gonococcal infection”. 東京都健康安全研究センター. 2019年3月17日閲覧。
  8. ^ 淋菌感染症(淋病)について メンズケアクリニック新橋院
  9. ^ a b c d 淋菌感染症 メルクマニュアル家庭版
  10. ^ a b 淋菌感染症(淋病)について 横浜市衛生研究所感染症・疫学情報課
  11. ^ a b 性感染症 診断・治療ガイドライン 2016, p. 8.
  12. ^ HIV・性感染症に関する検査・相談のための保健所マップ(東京都保健福祉局)
  13. ^ Tanaka, Masatoshi; Furuya, Ryusaburo; Irie, Shinichiro; et al. (2015). “High Prevalence of Azithromycin-Resistant Neisseria gonorrhoeae Isolates With a Multidrug Resistance Phenotype in Fukuoka, Japan”. Sexually Transmitted Diseases 42 (6): 337–341. doi:10.1097/OLQ.0000000000000279. PMID 25970312. 


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