法言語学 その他対象となる文章の例

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法言語学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 14:18 UTC 版)

その他対象となる文章の例

緊急(110番)通話

緊急電話では、差し迫った状況において、通話内容の主要な言語的情報を抽出し、適時に即応しなければならない通話オペレータの能力は不可欠なものである。

緊急通話とは、緊急性を持つものなので、もし躊躇、回避の兆候、または不完全であったり、極端に短い回答は、発信者が誤った電話やデマ、いたずら電話をかけている可能性があることを示している[3]

身代金要求やその他脅迫文

本物の脅威なのか嘘の脅しなのかを判別する参考にするために調べられる。

特に手書きスタイルの文は、多くの注目すべき事例に見うけられる。身代金メモで使用されている文章のスタイルは、文章の真の意図を判断し、誰がノートを書いたのかを判断するために、法言語学者によって検討され、構文構造、文体パターン、句読点、さらには綴りなどの要素が調査される[11]

自殺の遺書

遺書は通常、簡潔で命題性が高い[3]。自殺において残される本物の遺書は、特定の状況的における明確な主題があり、受取人を対象として、個人的な人間関係についての内容となることが多い。また一般的に、自殺の方法を暗示する文章があり[12]、受取人を苦しませたり罪悪感を感じさせるものの場合もある。本物の自殺の遺書は短く、典型的には300ワード以下の長さである[3][12]

死刑囚による供述

死刑囚による供述は、罪を認め、誠実さと率直さという印象を与えるものか、あるいは無罪の印象を与え自らの犯罪を否定するもの、または、法執行機関が不正であると批判するものである場合もある(Olsson 2004)。 これらの内容は、刑務所の厳格な設定のもと、Forensic Linguistics Institute などが研究を行っている。

ソーシャルメディア

ソーシャルメディアの文章はしばしば文脈特有のものであり、その解釈は非常に主観的なものになる[13]。ソーシャルメディアへの投稿を分析すると、違法な(例えば性取引)または非倫理的(例えば害を及ぼすこと)であるかどうか、またはそれ以外(例えば単に挑発的なだけ、もしくは言論の自由の範囲)かどうかを明らかにすることもできる[14]


  1. ^ Shorter Oxford English Dictionary英語版 (6th ed.), Oxford University Press, (2007), ISBN 978-0-19-920687-2 
  2. ^ Centre for Forensic Linguistics”. Aston University. 2010年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月27日閲覧。
  3. ^ a b c d e John Olsson (2008), Forensic Linguistics, Second Edition.
  4. ^ a b c d e Olsson, John.
  5. ^ Associated Press.
  6. ^ Ayres, Jr, B. Drummond (1988-07-22). McDonald's, to Court: 'Mc' Is Ours. New York: The New York Times. https://www.nytimes.com/1988/07/22/us/mcdonald-s-to-court-mc-is-ours.html 2012年3月19日閲覧。. 
  7. ^ Austrian Association for Legal Linguistics. 2017.
  8. ^ Alison Johnson, Malcolm Coulthard. 2010.
  9. ^ 橋内, 武、堀田, 秀吾 編『法と言語 法言語学へのいざない』(改訂版)くろしお出版、東京都千代田区、2024年2月22日。ISBN 978-4-87424-953-6 
  10. ^ PAVLENKO, ANETA (2008-03). “"I'm Very Not About the Law Part": Nonnative Speakers of English and the Miranda Warnings”. TESOL Quarterly 42 (1): 1-30. doi:10.1002/j.1545-7249.2008.tb00205.x. ISSN 0039-8322. https://doi.org/10.1002/j.1545-7249.2008.tb00205.x. 
  11. ^ ‘The Case Of: JonBenét Ramsey’: Investigator Says He and His Colleagues Will Name a Suspect”. Yahoo Entertainment. 2019年6月2日閲覧。
  12. ^ a b John Olsson (2004).
  13. ^ Investigating the use of forensic stylistic and stylometric techniques in the analysis of authorship on a publicly accessible social networking site (Facebook) (PDF) (Thesis).
  14. ^ C. Hardaker (2015).
  15. ^ tiersma. “forensic linguistics”. www.languageandlaw.org. 2019年6月2日閲覧。
  16. ^ Martin Fido (1994), The Chronicle of Crime: The infamous felons of modern history and their hideous crimes


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