永山城
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 07:59 UTC 版)
構造
山頂に本丸、中腹に二の丸、麓に三の丸があり、三ノ丸の南中央に大手虎口が開かれていた。南を表、北を背面としていた。建物があったかなどは不明で、本丸の表門と考えられている虎口脇にある石垣は天守台ともいわれ、本丸奥にある高台も天守台ではないかという説がある。山頂本丸表虎口付近の川石(丸石)を使用した野面積みの石垣が現存する。2009年に日田市が行った公園整備計画にともなう試掘調査によると、本丸表門石垣は1680年代に築かれたものであると推定され、城跡の北西麓からは細川綱利時代のものと推定されている川石の石垣と土塁が出土し、北西斜面中腹からは虎口石垣が出土している。
現在、三ノ丸にかかる石橋や切込み接ぎの石垣は、県庁と知事官邸を建てたころに建造されたものといわれている[7]。
日田陣屋
日田陣屋(ひたじんや)は、日田代官所もしくは永山布政所(ながやまふせいしょ)という西国筋郡代役所である。ただし、永山布政所という名称については、昭和11年(1936年)以降に千原豊太が記した「豊後日田永山布政史料」に初めて記述が認められるもので、江戸期では一般に日田御役所と呼ばれていた[2]。
構造
陣屋は、追手口跡より東の堀端の現在道路や住宅地となっている一角にあった。郷土史料[7]には、堀から天満宮旧境内裏手と呼ばれるところまで長屋があり、敷地北東の隅に本陣(奥向)、中央に役所があったとある一方で、山田家(隈町山田家)所蔵の「御陣屋平面図」では、南ほぼ中央あたりに長屋門形式の正門と門番詰め所、陣屋の西側と堀側である北側に小屋や長屋と呼ばれる役宅が建ち並び、その中央に役所と奥向を併設した大型の建物が描かれている。『太宰管内志』によれば、本陣(奥向)は寛永年中に日隈城から移築されたものであるという[7]。敷地の北東隅は家相に基づいて鬼門除けのために入隅としている。
歴代代官
- 1639年 小川正慶、小川氏行 (ともに日田在陣)
- 1656年 小川正久、小川行広 (ともに日田在陣)
- 1665年から1年にかけては、細川綱利が居城した。
- 1666年 山田利信、竹内信就 (前者は日田、後者は高松に在陣)
- 1669年 - 1671年 近藤政勝 (高松在陣)
- 1677年 永田貞清、三田守良 (前者は日田、後者は高松に在陣)
- 1682年から4年間は、松平直矩の所領となった。
- 1686年 小川正久 (日田在陣)
- 1688年 三田守良 (高松在陣)
- 1692年 小長谷正綱 (高松在陣)
- 1698年 室重福 (日田在陣)
- 1714年 南条則明 (高松在陣)
- 1716年 室重福 (高松在陣)
- 1717年 池田季隆 (高松在陣)
- 1724年 増田永政 (日田在陣)
- 1734年 岡田俊惟 (日田在陣)
- 1753年 岡田俊博 (日田在陣)
- 1758年 揖斐政俊 (日田在陣)岡田俊惟の次男。1767年に初代西国筋郡代に昇任した。
- 1772年 揖斐僮年 (日田在陣)
- 1777年 揖斐政喬 (日田在陣)
- 1786年 揖斐政恒 (日田在陣)
- 1793年 羽倉秘救 (日田在陣)
- 1809年 羽倉用九 (日田在陣)
- 1810年 三河口輝昌 (日田在陣)
- 1813年 三河口輝長 (日田在陣)
- 1817年 塩谷正義 (日田在陣)
- 1836年 高木忠篤 (長崎代官預り。11代目高木作右衛門)
- 1837年 寺西元栄 (日田在陣)
- 1841年 寺西東上 (日田在陣)
- 1841年 竹尾忠明 (日田在陣)
- 1847年 池田季秀 (日田在陣)
- 1861年 池田季昶 (日田在陣)
- 1862年 高木忠知 (長崎代官預り。13代目高木作右衛門)
- 1862年 屋代忠良 (日田在陣)
- 1864年 窪田鎮勝 (日田在陣)1868年に陣屋から退去した。
脚注
- ^ a b 毎日新聞、2016年4月27日 地方版「文化庁が日田の永山城跡調査 本丸の石垣崩落状況 地震で大被害/大分」
- ^ a b c 長順一郎著『総合村落史考 - 日田の歴史研究 -』歴研 2001年
- ^ 肥後殿=肥後を領した細川氏のこと。
- ^ 日田市教育委員会「2月定例教育委員会会議録(2016年2月18日開催)」
- ^ “日田市教育委員会「4月定例教育委員会会議録(2016年4月28日開催)」”. 日田市. 2017年3月20日閲覧。
- ^ 毎日新聞、2016年4月27日 地方版「日田・永山城跡を馳文科相が視察 地震で石垣崩落/大分」
- ^ a b c 千原豊太『豊後日田永山布政史料』武石繁次発行 1936年 日田市立淡窓図書館蔵
固有名詞の分類
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