氷河戦士ガイスラッガー 設定

氷河戦士ガイスラッガー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 22:37 UTC 版)

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ソロン号

ガイスラッガーが攻撃に使用する万能戦闘機。全長25メートル、全幅20メートル、全高5メートル、総重量は15トン。エンジンは原子力、イオンの複合機関。機体は中央部が隆起しており、その脇から少し薄い機体と楕球型ドームを持つ左右部分、その端から段差装甲と後端にサブスラスター各一機を持つ主翼へと繋がる。隆起した中央部の後端にメインスラスターを一機装備する。外装は機体と機首が鮮やかな赤を基調とし、各翼部及び伸張部は銀色を基調としたカラーリングである。機体はソロン王国製の特殊合金プラチノンで覆われていて、ある程度の攻撃は跳ね返す威力を持つ。

機体及び主翼の後端にブースターを備え、主翼前端部から翼端部に掛けて段差を持つ装甲を設けてある。この装甲は一見すると一定ピッチで同じ幅の板を張り付けた様な形になっている。機体上面左右のドームには速射ミサイルを発射する五連装ミサイルポッドが内蔵され、発射時にはドーム前部を下方に格納し発射口を開く。機体前面にある吸気口内にはビーム機銃が隠されている。機体前方に巨大なドリルを装備し、これがこのメカの外見的特徴となっている。このドリルはソロン攻撃で敵艦に突っ込んで体当たりし、敵艦装甲を突き破り進入用の穴を開けるのに使用する。穴を開けた後はドリルが割れ、コックピットからの通路が開いて敵艦内に直接進入できる。ドリルで突っ込む事を「ドリル・オン」、逆を「ドリル・オフ」と呼称する。

レーザー用の光子バリヤーおよびミサイル用の磁力バリヤーを持つが、両方を同時に使用することはできず、戦略担当のカヤの判断で両者を切り替えて使用する。

機体内部は前方にガイスラッガー各人の座席を備えたコクピットが、後方にはサイバノイドがマリの手によって修理を受けるクリニックルームと動力部となる機械室がある。本来の出入り口は後方にあるが、ソロン攻撃中には機首のドリルが展開することで出入りが可能になる。

インベムの攻撃によりソロン号がダメージを受けた際には、技術者のタロが修理を行う。

最終回の最後でワープ装置が完成し、地球から21光年の彼方にあるインベム星へワープしながら特攻を開始したところで物語は完結する。

コクピット

コクピットは機体中央部の隆起部分に位置し、屋外視認キャノピーは機体前方部、ドリル後方上部に半円状に5枚が位置する。各人の席は内部最前列中央にリキの席(「ソロン攻撃」時に進入する際の通路になる為折り畳み可能な簡易シートだが、強度は他の4人の席よりも上)があり、少し後ろにずれて、前部座席として左右にケンとカヤの席、その後ろにタロとマリの後部座席が丁度Vの字形に並ぶ。シートはリキの突入口部以外は4人共同じ仕様(アームレスト付で大型、航空機もしくは戦闘機と同様仕様のフットレスト付)のもので、各人の専用装甲が内蔵されている。その為に5人の中で最年少のタロには少し大きいサイズになっている。ケンの席の前にはソロン号の操縦桿をはじめとした操縦に関する機器が、カヤの席の前にはバリヤやセンサー類の操作盤が、リキの席の前には武器の操作盤があり、座席ごとにそれぞれ役割分担が決められている。他にタロの席の横にコンピュータ[注釈 7]があり、操作する時はタロの座席がコンピュータ側に回転する。高速推進時はコクピット内も激しく揺れる過酷な状況になるが、身体を固定するシートベルトのようなものはなく、タロやマリなどは自分の座席の中で必死に耐えるシーンも登場した。

本作品を語る上で、ソロン号のコクピットは欠かせない場所である。ソロン号が移動基地の役割も兼ねているため、そこは操縦席であり、作戦会議室にもなる。ゆえに本編各話のスタイルとして、コクピット内のシーンが非常に多い。

ソロン攻撃

ガイスラッガーが、インベム軍に対して行う切り札の攻撃方法。通常はリキのみが戦闘担当だが、ソロン攻撃開始に伴いケン、カヤ、タロ、マリの4人も全身を装甲で覆った戦闘フォームとなる(この変身はソロン号内でのみ可能に描写されているが、本編で深く語られていない。なお、OPでは作画ミスにより敵艦突入直後のカットで通常時の姿のままだった)[注釈 8]。装甲装着時には、4人は「ソ・ロ・ン」のコードを発し、然る後シートから各人の装甲が展開しそのまま装着される。そして、ソロン号機首のドリルで敵艦に突入し、敵機内部より白兵戦を展開する。一種のラム戦であり、移乗攻撃(アボルタージュ)である。その際にソロン号は機首ドリル部を伸張すると共に主翼を格納し、同時に主翼前縁部の装甲で機体前部をガードし、変形終了と同時に加速。ドリルを回転させながら敵機に突入し、ドリルは回転停止と同時に上下に鳥の嘴の如く展開、伸張部のチューブを通って全員で敵機内に進入する。作戦終了後は全員のソロン号への帰還が確認された後、ドリル出入口を閉じ、突入時と逆回転させて間隙を作り、機体に装備された逆噴射ブースターで離脱、突入前と逆のプロセスでドリルと主翼を変形。メインブースターを用いて一気に加速、現場より急速脱出し、敵機の爆発から回避する。ソロン号のドリルはストレートタイプ(テーパーリーマと同様の両刃)であり、左右どちらに回転しても切削力を生じる。

監督の石黒昇は1982年の『超時空要塞マクロス』でも、マクロスの右腕となっている戦艦・ダイダロスを敵艦へ突入させ、船体表面装甲部を突破した上で接舷戦闘を展開したデストロイド陸戦部隊の斉射で敵艦を内部から破壊する「ダイダロス・アタック」を必殺技の演出として用いている。

サイバノイド戦士

サイバノイドとはサイバネティクス・ヒューマノイドの略称で、インベムを倒すためにソロン王国の科学で改造された強化人間である。首から上の頭部の外見は人間時代のままで(リキは例外)、首から下は上半身の白と下半身の各キャラのシンボルカラーのツートンカラーの外皮で覆われている(一見スーツのようにも見えるが、脱ぐことは出来ない)。 身体のライン・シルエットは人間時代のものを踏襲しているが、内部は完全に機械化されており、攻撃を受けて故障しても部品交換により回復する(ソロン号のクリニックルームは、サイバノイドに関するあらゆる故障を修理することが可能)。 ただし頭脳部分のみは交換が効かないため、そこが弱点ともなっている(実際に最終話でジロがタロをかばって頭に攻撃を受け、死亡している)。 また、腰の両側には銃を装備。腰部の小型エンジンにより飛行も可能だが、飛行シーンはあまり描かれなかった。

通常は人間と同じ様な生活を送り、食事は必要としない[注釈 9]ものの睡眠は取り[注釈 10]、ソロン号のコックピットで待機中にいねむりをすることもある。また、咽頭部にはあらゆる言語を発生可能な音声合成機、耳殻内には周囲の言語を記録・解析し、いかなる言語も解析可能な自動翻訳機を備える。第1話において、5人は当初はソロン王国公用語を用いていたが、志岐博士が全く違う言語を用いていると理解するやこの機能を用いて完全な日本語を駆使するようになった。諸外国の人達との会話にもこの機能を用いている。 

オペレーションセンター

国立地質研究所の中の組織として、表向きは地質の調査をする部門という事になっているが、実際はソロン号を格納し、インベムの侵攻に対するガイスラッガーの前線基地である。 日本国民に対してインベムの侵攻はまだ秘密にされており、ソロン号も地質の調査を行うという名目で発進する。 インベム星人はソロン号の基地を必死に探したが、結局発見は出来なかった。

ソロンマーク

太陽を模してデザインされたソロン王国のエンブレムで、円内を4色[注釈 11]の四半円に塗り分け、8本の光芒[注釈 12]がその外に突き出ている。ソロン号の機体、コクピット内の座席、ガイスラッガーの身体及び装甲[注釈 13]とあらゆる部分に描かれている。

地球軍宇宙戦闘機

タロによって設計された単座戦闘機で、最終回に登場した。宇宙に出る際には大型ブースターを使用する。機首にガトリング式のレーザー機関砲、機体底部にウェポン・ベイを持ち、ミサイルはそこに装備される。ドリルによる突撃能力はないが、強力なバリアーによる防御力、大型艦をも撃沈する威力を持つレーザー機関砲などの攻撃力はソロン号に匹敵する。 多数が投入され、インベム太陽系侵攻艦隊を全滅に追い込んだ。

スペーシガー

インベム軍の宇宙空母。通常は「円盤母艦」と呼称されている。船体は葉巻型で艦尾にX字状のフィンを持つ。両舷に艦載機の射出口があり、艦載機「フォーサー」を多数搭載する。発艦の際にはハンマー状の射出装置で同機を射ち出す。主な武装は艦首レーザー砲とミサイル発射管4門。これらは現代の攻撃型潜水艦のように前部に集中配置されている。防御に関しては完全にバリアー頼みのようで、他の武装、特に対空火器等の所在は不明。

フォーサー

スペーシガーの艦載機でアダムスキー型円盤の型状を持つ3座式戦闘機。中軸にある螺旋ボルト状の昇降装置で機体上部を上げて搭乗する。武装は機体登頂部のレーザー砲とミサイル発射管3門。

駆逐艦

インベム軍の宇宙戦闘艦。矢じりのような船体構造を持ち、主船体上部にバルジ状の上部構造物があり、主砲の大口径レーザー砲と艦橋はここに配置されている。艦尾方向となる矢羽の部分に逆Y状に3枚のフィンを持つ。艦首にはミサイル発射管が4門装備されている。船底部にドッキング・ポートがあり、「フォーサー」を1機ドッキングさせる事が可能。第2話でドドス艦長の指揮の下、円盤母艦1隻および巡洋艦2隻から成る分遣艦隊の旗艦を勤めることもあった。

巡洋艦

インベム軍の宇宙戦闘艦の一種。第1、2、6話(回想シーン)、20話に登場。駆逐艦をスケールアップしたフォルムを持ち、半紡錘型の船体の両舷にインテークを持った尻すぼみのフィン状に張り出した構造物を、上部に駆逐艦同様にバルジ状の上構を持つ。艦尾にメインスラスターを十字状に配置してる。武装は両舷のフィン状構造物にレーザー砲を装備しているが、それ以外は不明。第2話ではドドス艦長の駆逐艦を旗艦とした円盤母艦を含む分遣艦隊に2隻が同行した。最終回では多数が登場し、ラストでは地球軍の宇宙戦闘機に撃沈されるシーンがある。

戦艦

スペーシガーに次ぐ規模を持つインベム軍の大型戦闘艦。第1、2、20話のみ登場。紡錘型の船型を持つ。あくまでモブ的な意味合いしか持たぬ影の薄い存在である。

デガス艦

太陽系侵攻艦隊の旗艦で、前線基地としての機能を持つ機動要塞。
最終回では隕石爆弾による軌道爆撃を行った。ソロン号との戦闘では次元振動波砲によって少なからずの損傷を同機に与え、ジロを死に至らしめた。
ソロン攻撃の際コマンド・ブロックを分離させ、メイン・ブロック共々道連れにせんとしたが果たせず、通信でケンに「インベム星に乗り込んでやる!」と宣言されたデガスは「ババル皇帝は宇宙最強の艦隊で迎え撃つだろう!」と対抗するも、「ババル皇帝に伝えろ! ガイスラッガー三万年の恨みを晴らしにいくと!」と言い放たれた後、ソロン号に上下に引き裂かれて爆沈。
デガスは宇宙に放り出されて戦死する。

ガルバ号

第17話に登場。皇帝ババル直属の近衛の精鋭、ガルバ、ゾルバの兄弟が指揮する戦闘艦。少数精鋭主義のため、乗組員は兄弟の他、兵が4名である。

インベム星

その名の通り、インベム星人の故郷にして牙城。その首都ババルムーラに、皇帝であるババル・ベム・インベムが座している。
地球から21光年の距離にある。


注釈

  1. ^ a b 放送開始前に『テレビマガジン』で情報が公開された際には、企画時の初期設定としての『ソロモン王国』の名前だった[要ページ番号]
  2. ^ 東映プロデューサーの鈴木武幸は、東映傘下の東映動画は当時多数の作品を抱えていたため、依頼することはままならなかったと証言している[1]
  3. ^ テレビマガジン』1977年3月号で発表された際にはこの仮題で公開された[要ページ番号]
  4. ^ テレビマガジン増刊号に掲載された土山よしきによる漫画[6]では004タイプの顔で描かれた。
  5. ^ こちらは004(アルベルト・ハインリッヒ)に類似[2]
  6. ^ 改造前の容姿はエンディング映像で見ることが出来る。
  7. ^ ソロン攻撃時の激しい衝撃にもコンピュータの記憶部分は全く影響されない。それは記憶素子がソロン王国で作られた電子的な物であり、HDのような物理的接触が存在しない為である。
  8. ^ 当時『テレビマガジン』誌上では、シートに収納されている装甲を身に付ける旨の説明が付録小冊子内で語られている[要文献特定詳細情報]
  9. ^ ただし、意志疎通やコミュニケーションを兼ねて食事をする事はある。これは彼等が実は戦闘用の改造人間である事を隠蔽する目的や、志岐家での団欒等の意味が各状況により存在する。なお食べた食料は完全に分解され、予備のエネルギーとなる。
  10. ^ 他の身体機能を低下し各組織・機構をクールダウンし、加えて脳髄の生命維持を行う為に必要な機能。本来の生命体の睡眠はサイバノイドの機能保全にも一定のヒントを与えていた。
  11. ^ 第一象限が黄色、第二象限が緑色、第三象限が赤色、第四象限が青色となっている。
  12. ^ 光芒は全て同じ長さではなく、極と赤道部のものは、各象限部のものより2割方長く、全体の形状は菱形内に納まる様に、レイアウトされている。
  13. ^ ガイスラッガーの身体には丹田の部分に描かれている。身体に描かれているものと装甲に描かれているものとでは、若干位置がずれている。
  14. ^ 執筆者名義は「原作/石森章太郎 まんが/土山よしき とミュータント企画」となっている。

出典

  1. ^ a b 鈴木武幸 2018, p. 104
  2. ^ a b c d e f 「ヒーローファイル 氷河戦士ガイスラッガー」『甦る!石ノ森ヒーローファイル』Gakken〈Gakken Mook〉、2013年9月10日、61頁。ISBN 978-4-05-610166-9 
  3. ^ 鈴木武幸 2018, pp. 82–83, 103.
  4. ^ 『たのしい幼稚園』1977年4月号、講談社[要ページ番号]
  5. ^ 鈴木武幸 2018, p. 109.
  6. ^ a b 講談社テレビマガジン 4月号増刊 人気ヒーロー大登場ジャンボ号』1977年3月15日発売(奥付では4月15日発行)、258-319頁
  7. ^ 福島民報』1977年4月12日 - 8月30日付朝刊、テレビ欄。
  8. ^ 『福島民報』1977年12月2日 - 1978年4月14日付朝刊、テレビ欄。
  9. ^ 福島民友』1977年10月12日、10月19日付朝刊、テレビ欄。
  10. ^ 静岡新聞』1977年7月8日付朝刊テレビ欄
  11. ^ 円道祥之『空想歴史読本』メディアファクトリー、1999年、63 - 67頁。ISBN 978-4-88991-909-7 






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