次元 (数学) 被覆次元

次元 (数学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 02:28 UTC 版)

被覆次元

任意の正規空間 X に対し、X のルベーグ被覆次元が n であるとは、n が次の条件を満足する最小の整数であることをいう。

任意の開被覆が、各開集合が n + 1 よりも多くの元を含まないような開細分(すなわち、各開集合がもとの被覆の開集合の部分集合として得られるような別の開被覆)を持つ。

このとき、dim X = n と表す。X が多様体ならば、ここで定義した意味の次元と、既に述べた意味での次元は一致する。また、条件を満たすような整数 n が存在しないならば、X の次元は無限であるといい、dim X = ∞ と書く。さらに、X が −1-次元となることもある(dim X = −1 というのは X が空集合であるという意味である)。この被覆次元の定義は、定義における「開集合」のところを「機能的開集合」("functionally open") に単に取り替えることにより、正規空間から任意のチコノフ空間へ対象のクラスを拡張することができる。

帰納次元

次元についての帰納的定義は以下のように与えられる。まず点の離散集合(有限個の点の集まり)の次元は 0 であるものと考える。0-次元の対象をある一定の方向に引きずって、1-次元の対象を得、さらに別な方向へ 1-次元の対象を引き摺って 2-次元の対象を得る。一般に、n-次元の対象を「新たな」方向へ引き摺って (n + 1)-次元の対象を得る。

位相空間の帰納次元は、小さい帰納次元大きい帰納次元があるが、(n + 1)-次元球体が n-次元の境界を持つことのアナロジーに基づいて、開集合の境界の次元に関する帰納的定義が与えられる。.

ハウスドルフ次元

複雑な構造を持つ集合、特にフラクタルに対して、ハウスドルフ次元の概念は有効である。ハウスドルフ次元は、ハメル次元が定義できないようなものも含めた任意の距離空間に対して定義することができて、その値は必ずしも整数でない実数となる[2]。同様の考え方に、ボックス次元やミンコフスキー次元などがある。一般に、より特異な集合に対しても整数とは限らない正の実数値を割り当てることができるフラクタル次元の概念が他にも存在する。フラクタルは多くの自然にある物体や自然現象を記述するのに有効なものとして発見された[3][4]


  1. ^ Fantechi, Barbara (2001), “Stacks for everybody”, European Congress of Mathematics Volume I, Progr. Math., 201, Birkhäuser, pp. 349–359, http://www.mathematik.uni-bielefeld.de/~rehmann/ECM/cdrom/3ecm/pdfs/pant3/fantechi.pdf 
  2. ^ Fractal Dimension, Boston University Department of Mathematics and Statistics
  3. ^ S. Havlin, A. Bunde (1991). Fractals and Disordered Systems. Springer. http://havlin.biu.ac.il/Shlomo%20Havlin%20books_fds.php 
  4. ^ S. Havlin, A. Bunde (1994). Fractals in Science. Springer. http://havlin.biu.ac.il/Shlomo%20Havlin%20books_fds.php 





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