極黒のブリュンヒルデ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/01 04:51 UTC 版)
用語解説
- 魔法使い / 魔女
- 人体改造手術をされさまざまな特殊能力を持ち、首の後ろに「ハーネスト」が埋まっている。鎮死剤を毎日1錠飲まなければ死んでしまう。研究所で非人道的な実験を繰り返されており、脱走した魔法使いおよび魔法使いの存在を知った人間は研究所によって殺される。逃走した魔法使いは27体。5体は鎮死剤が切れて死亡、11体は研究所に自力回収された(第24話時点)。
- AAA(トリプルエー)、AA(ダブルエー)、A、B、Cというランク[19]があり、研究所にはAクラス以上の魔法使いが残され、出来損ないのBクラス以下は過酷な人体実験ののち処分場へ送られる。AAA一人を組成するためには、何百人もの魔法使いを費やす必要があり、数人しかいない。また、AAA以上の魔女にはコードネームがつけられている。
- AAAのさらに上に位置するSクラスも存在し、小鳥の供述では人類を何度も滅ぼせるほどの魔法を持っているとされるが、管理・運用が困難なこともあり、カズミの供述によると刺客には用いられない。
- ハーネスト
- 魔法使いの脊髄に埋め込まれた機械。内部に格納されているドラシルが結界を作っているため、魔法の物理作用は一切効かない。首の後ろに丸型の蓋と、その縁に管理するための3種類の小さなボタンがある。ボタンは強く押さないと反応しない。
- 右下の「ハングアップボタン」を押すと魔法が丸一日使えなくなる。左下の「イジェクトボタン」を押すと直後に身体がドロドロに溶けて死んでしまうが、髪、脊椎、肋骨は残る。一部の内臓や他の骨も残る場合がある。
- 一番上のボタンは魔法使いによって機能が違い、研究所によって封じられていた能力が発現する魔法使いもいれば、ただ死ぬ以上の苦しみを感じて死ぬ魔法使いもいる。
- 連載129話の時点で、藤崎真子、小野寺の2名は新型のハーネスト(ハングアップまでの魔法容量の増大、簡易なイジェクトの防止等)を備えている。
- 良太はHer nest(彼女の巣)という意味であると解釈している。
- ハングアップ
- ハングアップボタンを押すか、強力な魔法を使いすぎるとハーネストから物質が噴出し、丸一日魔法が使えなくなる状態を指す。
- ハングアップボタンを押したまま中央方向にスライドさせれば、時間が経過してもハングアップ状態を維持できる為、探知魔法にかからなくなる。
- 理由は不明だが、非常ボタンを押す前の佳奈はハングアップした状態でも予知を受信できた。
- ビーコン
- ハーネストに取り付けられる装置で、研究所からの遠隔操作によりイジェクトボタンを押すことが出来る。魔法使いがハングアップしたことを研究所に伝える機能もある。特定の場所から離れたり、定期的に研究所から発信される解除延長の信号を受信しなければ自動的に作動する等、さまざまなタイプのものがある。基本的に研究所外部に派遣される魔女には装着されているが、真子には付けられなかった。
- 鎮死剤(ちんしざい)
- 魔法使いが生きるためのカプセル剤。飲まない場合は30時間後に全身の皮膚が裂けて血が噴出し、35時間後に内臓が溶けて死に至る。40時間が経過すると人の形ではなくなる。飲めばすぐに傷はふさがる。
- 記号番号はDR623G。ドレスデン製薬が製造しているが、基本的に研究所でしか入手できない。小五郎の調査によると、現物からの複製には半年から数年かかるという結果が出た。また、魔法使いの体が溶けるのは体内でプロテアーゼが分泌されているからであり、鎮死剤によってプロテアーゼの作用を止めていると考察されている。
- ドレスデン製薬
- 鎮死剤を製造していた製薬会社。一度倒産した後は一般的な薬を何も作っていない特殊な会社であり、ウェブサイトはおろか書籍化された文献にもほとんど情報がない。作中では良太らが鎮死剤を盗むために高山工場を訪れ、待ち伏せていた沙織と戦った。
- ドラシル
- ハーネストの中にいるアメーバのような生物。無数の目と口があり、イジェクトされるとハーネストから排出される。魔女にとって脊髄の役割を果たしている。良太たちは寄生体と考えていたが、美樹により、「ドラシルこそが魔女の正体」であると明かされる。魔女たちの意識は脳ではなくドラシルのものであり、成長して孵卵すると、巨大化して本体の人間を食いつくして完全な化け物になり、魔女だったころの記憶はそのままに周囲の人間を捕食する存在となる。孵卵の際は激しい頭痛が伴い、感情の高ぶりによって早まることもある。本来の脳にある記憶の残滓が見えることもあるが、研究所に入る前の記憶は研究所から与えられたものである。また、人間の脳を食わせて培養したドラシルには、その脳の人格が宿る。孵卵をコントロールする研究もされていたが、魔法使いはいつか必ず孵卵することしか判明しなかった。しかし、小野寺は孵卵に何らかの条件があることに気づいている模様。[20]
- グラーネ
- 高千穂が回収を最優先として九に指示したもの。1107番の中に埋め込まれている特別製のドラシル。美樹によると、グラーネを孵卵させた魔女は全生物の細胞を融解するラグナロクを引き起こし、永遠の若さを司る女神イズンになるとされており、イズンから選ばれたただ一人の人間が永遠の命を手にできるとのこと。しかしこれは九の嘘であり、実際にはイズン一人のみが全生物と引き換えに永遠の命を得られるだけだった。
- 1107番
- キカコがシノらのハーネストを回収した際に目撃した魔法使い。高千穂は生きていることを驚き、九に生死を問わず回収するよう命じた。放置していれば地球上の全生物が滅ぶとされている。その正体は鷹鳥小鳥。
- 7620番
- 長野県警の教会での魔女目撃報告から、研究所の男性スタッフが1107番と一緒に現場に居たと推定した魔女。その正体は黒羽寧子。
- ヴァルキュリア
- Sクラスの魔法使いに付けられるコードネーム。複数存在するらしく確認されているのは寧子、真子、フリストおよび研究員でありながら自らを魔法使いとしている小野寺。初期型のヴァルキュリアである寧子は通常の魔法使いと同じタイプのハーネストを付けられているが、真子以降の改良型のヴァルキュリアにはヴァルキュリア用のハーネストが付けられている。ヴァルキュリア用ハーネストは魔法を使える容量が通常の魔法使いよりも多く、蓋部分には黄道十二宮のサインが刻まれており一目見ただけではどういった機能を持つのか判別できず、そう簡単にハングアップを狙えない代物となっている。
- 宇宙人
- 小鳥の供述によると、内臓と筋肉で構成されたピンク色のもぞもぞと動く肉塊状の生物であり、魔女との反応を調査する実験が行われていた。佳奈も実験で同じものを見たが、宇宙人とは聞かされていない。研究所を作った人間は約100年前の1910年に宇宙人の遺跡をドイツのドレスデンの炭鉱内で発見した。
- ソーサリアン
- ロキと人間の子。
- 高千穂のリーダーが九の仕事として「ソーサリアンの組成」を挙げている。土屋が研修初日に紹介された「A008」と呼ばれるソーサリアンは物語開始の20年前に組成された出来損ないであり、DNAの塩基配列がATGCではない。また、地球上に存在しない分子が含まれている。
- 情報端末
- 茜が寧子に渡した手のひらサイズの端末。表に大きな縦長長方形のディスプレイがあり、下方にボタンが5つ並んでいる。起動には乾電池が2本必要。起動直後にはドイツ語による5行の文が表示され、画面をスクロールすると地図が表示された。カズミの意訳では「今すぐ魔女どもを殺せ ならば真実を伝えよう」。GPSチップも内蔵されている。後述の教会に残されていたパスワードを入力することで、へクセンヤクトとの連絡手段となった。また、別のパスワードを入力すれば鎮死剤の分子構造と合成方法が表示される。魔女狩りがそのパスワードを把握しており、グラーネの孵卵による危機の回避に天文部が協力したことで交換条件としてパスワードを提供し、鎮死剤の量産に成功した。
- 教会
- 上記の端末の地図に示されていた中軽井沢にあり、廃墟となっていた。瓦礫の様子から、壊されてあまり時間が経過していないことがうかがえる。壁にはドイツ語でニーベルンゲンの歌の第一章第一節が彫られており、文中の「偉大な英雄」の箇所に血が付けられていた。近隣には老婆のいる土産物屋がある。
- シリンダー
- 茜が寧子に渡した容器。寧子は「宇宙人の受精卵」と聞かされていた。良太に依頼された小五郎が調査した結果、実際に受精卵らしき細胞が入っていた。更に地球上の生物にはない塩基配列が含まれていたが、小五郎は良太にその事実を隠したまま、秋山に依頼して密かに多胚化させて培養している。
- その後、分割された一方はヘクセンヤクトに取引の際に引き渡され、もう一方は小五郎によってNASAへサンプルが送られる。
- 黒服は「神族の受精卵」、ヘクセンヤクトは「タリスマン」と呼称した。
注釈
- ^ バップ、ytv、YTE、ダックスプロダクション、日本ナレーション演技研究所、ジェンコ
- ^ BD-BOX IIおよびDVD-BOX IIに収録の映像特典。
出典
- ^ “極黒のブリュンヒルデ:「エルフェンリート」作者の人気作が4年の歴史に幕”. MANTANWEB (2016年3月31日). 2016年4月19日閲覧。
- ^ 原作コミックス第17巻帯の表記より
- ^ a b c d アニメDVD/BDボックス第1巻ブックレットより。
- ^ 真子や覚醒した寧子の台詞であり、作者コメントでも二人は似た顔と言及されているが、ヴァルキュリアとして対であるという以上の具体的な関係は作中で明示されていない
- ^ 単行本第2巻カバー下の人物紹介より。
- ^ 2012年2月29日の作者Twitterでの発言より。
- ^ 単行本第8巻カバー下の人物紹介より。
- ^ a b c “「極黒のブリュンヒルデ」 新キャストに沼倉愛美、内山夕実、能登麻美子”. アニメ!アニメ!. 2014年5月7日閲覧。
- ^ a b c アニメDVD/BDボックス第2巻ブックレットより。
- ^ 単行本第12巻カバー下の人物紹介より。
- ^ 『週刊ヤングジャンプ』2012年15号第7話175頁、180頁より。同誌同年28号第18話306頁では3メートルとなっている。
- ^ 単行本第6巻カバー下の人物紹介より。苗字の読みは『極黒のブリュンヒルデ The Moment』より。
- ^ 10巻で「極黒の原型のような」との作者コメントあり。
- ^ アニメ公式サイトより
- ^ フルネームと読みは連載第136話初出。
- ^ 単行本第14巻カバー下の人物紹介においても名前は設定されなかった。これにより名前を付けられる最後の機会を逃したため、同巻カバー下には「もう一生名前がない」とも記述されている。
- ^ 名前は『極黒のブリュンヒルデ The Moment』が初出。
- ^ 『週刊ヤングジャンプ』2014年42号第116話より。単行本では名前の部分が削除されている。
- ^ 単行本第1巻162頁より。なお、『週刊ヤングジャンプ』2012年15号第7話172頁ではAAA、AA、A、BBB、BB、Bという6段階だった。
- ^ 単行本第18巻111頁の小野寺の台詞に、連載時にはなかった「匂いで分かる」との説明が追記された
- ^ 単行本には収録しない旨が作者からコメントされている
- ^ 14巻155ページで、良太に小鳥の消息を尋ねてくる1年生男子
- ^ a b “TVアニメ「極黒のブリュンヒルデ」、BD-BOX/DVD-BOXの特典を発表! 第2巻には新作OVA「から騒ぎ」も収録”. アキバ総研. 2014年6月30日閲覧。
- ^ “「極黒のブリュンヒルデ」TVアニメ化!来年4月放送開始”. コミックナタリー. 2014年3月13日閲覧。
- ^ “岡本倫『極黒のブリュンヒルデ』2014年4月よりTVアニメ化 キービジュアル、スタッフ、放送局情報が初公開”. AniFav. 2014年3月13日閲覧。
- ^ “番組紹介:ラジオ 極黒のブリュンヒルデ カズミと小鳥の「いちばん星み〜つけた!」”. HiBiKi Radio Station. 2014年4月29日閲覧。
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