新卒一括採用 世界各国での新卒者の就職

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新卒一括採用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/15 16:05 UTC 版)

世界各国での新卒者の就職

アメリカ

アメリカでも将来のキャリア模索に熱心な者は大学大学院に在学中から学内で開催されるキャリア・デベロップメント・セミナーなどに積極的に参加、そしてジョブインタビュー(いわゆる面接)を行う現状が見られる。これは転職を繰り返しキャリアアップをすることが一般化している為で、十分な学位を得た暁には一年でも早く職業訓練を受けて職歴を身に付け、将来の転職を有利にするための一つの方法である。

アメリカの就職活動で、最も必要となるのは学歴・専攻・職歴・大学の成績の4つである。

日本の企業では、全学部全学科の学生を採用対象とするのに対し、アメリカの企業では、その人物のその専攻分野、その分野に特化された知識・技術が好まれる傾向が強い(例外もある)。

日本企業と大きく違うのは、アメリカの企業では大学の成績「GPA」を重視することである。採用では、GPAで応募者たちを脚切りする企業が多く、エリート職だとGPA3.5以上、普通の職でも3.0以上要求されるのが普通である。だから、アメリカの大学生たちは、大学の成績「GPA」で高い点数を取るために必死に勉強をする。

職歴を持てない大学生はインターンシップを行いそれを職歴の代わりとしレジュメに記載する。その為、アメリカでは、インターンシップ制度が非常に盛んで多くの学生・大学・企業が参加している。学歴・専攻・職歴・大学の成績が優れており人間性も問題ないとなれば万人に雇用のチャンスが設けられている。しかしインターンシップを在学中に受けてないと、一流大学で成績が良くても書類選考さえ通らない事が多く、インターンシップがアメリカ企業の就職に必要不可欠な物となっている。

採用時期は企業にもよるが一年を通して不定期で行っている場合がほとんどである。ポジションに空きが出たり好景気によりさらなる雇用が必要な場合は随時募集が行われる。その反面、アメリカ企業は基本的に終身雇用システムはないため、一旦就職しても不適当な人材と判断されれば「ワン・マンス・ノーティス」(「翌月解雇」の告知)がなされ、すぐに解雇されて新たな募集がかけられる。このような社会のため、アメリカでは労働力の流動性が非常に激しい。

ドイツ

ドイツの学生は卒業後、就職活動を開始するのが一般的。大学の教育の一部に、企業での実務実習が組み込まれている事も多い。特に新卒者用の求人はない。新卒者の多くは、最初の1、2年間は期限付きの雇用契約しか結べないことが多い。

フランス

スタージュと呼ばれるインターンシップ制度が充実していて、これにより職務経験を得て就職することになる。インターンシップ後、正式採用されることもあるが、期限付きの雇用契約しか結べないことが多い。

韓国

新卒一括採用があるが、新入社員募集時の年齢差別禁止が義務付けられるようになった。2009年から施行された年齢差別禁止法では、事業主が社員募集広告を出す時「xx歳以下」等の年齢制限をすると罰則または過怠金を受けることになる。この法が施行されれば募集・採用で退職・解雇に至るまで、雇用のすべての段階で、年齢を理由とした差別行為が禁止される。例えば、募集・採用広告に「xxxx年度以後出生者」、「満30歳以下」、「満25 歳以上29歳以下」 「2009年卒業(予定)者」、「大学卒業後2年以内」のような表現が入っていると差別になる。

サムスングループの2019年の事例では、採用時期を上半期、下半期に分けて採用している。上半期の採用スケジュールでは、3月中頃に募集が締め切られ、4月に行われる職務適性検査を経て、7-8月頃に入社となる[32]


  1. ^ OECD Economic Surveys: Japan 2019, OECD, (2019), Chapt.1, doi:10.1787/fd63f374-en 
  2. ^ 野村 (2007) p.57
  3. ^ リクルート p.6
  4. ^ 野村 (2007) p.92
  5. ^ 野村 (2007) p.58
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  7. ^ リクルート p.9
  8. ^ 野村 (2007) p.61-62
  9. ^ 野村 (2007) p.60
  10. ^ 野村 (2007) p.64
  11. ^ 野村 (2007) p.67 より引用
  12. ^ a b リクルート p.7
  13. ^ 野村 (2007) p.67
  14. ^ 野村 (2007) p.68
  15. ^ http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/087.html
  16. ^ 野村 (2007) p.70
  17. ^ 野村 (2007) p.70-71
  18. ^ 日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~』(プレスリリース)経済財政諮問会議、2007年1月25日、17頁https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/cabinet/2007/decision0710.html  - 閣議決定
  19. ^ 世耕大臣が唱える新卒一括採用の見直しは本当に必要か?ダイヤモンド・オンライン2016年8月10日付
  20. ^ 茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年10月10日内閣府
  21. ^ a b 関口 (1996) p.55
  22. ^ リクルート p.10
  23. ^ 関口 (1996) p.55-56
  24. ^ 【2030年】第1部 働く場所はありますか(5)30代社員の憂鬱 「企業は老化する一方だ」” (Japanese). 産経ニュース. 2010年3月18日閲覧。
  25. ^ 日本は若年層が安定的な職に就けるよう更なる対策が必要” (Japanese). OECD. 2010年3月18日閲覧。
  26. ^ 野村 (2007) p.69
  27. ^ http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/06/__icsFiles/afieldfile/2010/06/22/1294984_06_2.pdf
  28. ^ https://news.livedoor.com/article/detail/9151298/
  29. ^ シューカツ2010 新卒になりたくて…希望留年 大学側も支援の制度”. 朝日新聞社 (2010年3月31日). 2010年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月20日閲覧。
  30. ^ 不本意な内定より留年…「卒業せず」10万人超”. 朝日新聞社 (2014年7月20日). 2014年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月20日閲覧。
  31. ^ 「学歴フィルター」が炎上中、新卒採用も炎上中! なぜ違和感を覚えるの?(オトナンサー).2021年12月19日閲覧。
  32. ^ サムスングループが新卒採用スタート 今年1万人規模の見通し”. 聯合ニュース (2019年3月11日). 2019年3月15日閲覧。


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