持続可能な開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/07 05:27 UTC 版)
世界遺産における持続可能な開発
ユネスコ世界遺産は知名度が高いため、そこでの持続可能な開発の実践は関心を集めやすい[5]。
もともと世界遺産条約の条文に持続可能な開発・発展に関する文言の記載はないが、「遺産の保護と継承」という理念は乱開発から文化・自然を守る、持続可能な開発を呼び掛けるものと解釈できる。そこで2005年に「世界遺産条約履行のための作業指針」に、「自然遺産及び文化遺産を保護、保全することは、持続可能な開発に大いに資するものである。 」との一文が加筆された[6]。
また、1994年に世界遺産へ導入された文化的景観は、「人間と自然の共同作業」をキーワードに、自然の恵み(環境財)を享受し人間の営みを継続してきた「持続可能な利用」の具象例(主として景観)を採り入れたものである。この考え方は日本でも文化財保護法への重要文化的景観採用に影響したが、里山として古来より活用してきたものに近く、農業遺産での顕彰などへも波及している。
2010年の「世界遺産条約:保全と持続可能な開発に関するパラチ会議」と2012年の「世界遺産と持続可能な開発に関するオウロ・プレット会議」で世界遺産における持続可能な開発の方向性を確認し[5]、2012年(平成24年)に京都市で開催した「世界遺産条約採択40周年記念会合」[7]および直前に富山県で開催した「遺産と持続可能な発展-理念から実践へ-」[8]を通し、世界遺産における持続可能な開発への取り組みとして、地域社会や先住民居住区といったコミュニティが参加する開発計画や監視の重要性を説き、前項での持続可能な開発の担い手への期待を寄せている[9]。
この他、エコミュージアムやリビングヘリテージなどが、サステイナブルツーリズムとして持続可能な利用の好例として、世界遺産観光において奨励されている[10]。
注釈
出典
- ^ 外務省 > 外交政策 > ODAと地球規模の課題 > 地球環境 > 持続可能な開発(Sustainable Development)
- ^ "Report of the World Commission on Environment and Development" 国連総会決議42/187、1987年12月11日。2007年8月2日閲覧。
- ^ 国連開発計画(UNDP) > 新たな持続可能な開発アジェンダ
- ^ 狩野光伸 翻訳、SDSN Japan/蟹江憲史 監修「大学でSDGsに取り組む 大学、高等教育機関、アカデミアセクターへのガイド」オーストリア、ニュージーランド、太平洋版(岡山大学SDGs専用HP「岡山大学xSDGs」)
- ^ a b World Heritage and Sustainable Development UNESCO(英語)
- ^ 世界遺産条約履行のための作業指針 文化庁 文化遺産オンライン
- ^ 京都会合 外務省
- ^ 遺産と持続可能な発展に関する富山プロポーザル (PDF) 文化庁
- ^ 京都ビジョン (PDF) 文化庁
- ^ World Heritage and Sustainable Tourism Programme UNESCO(英語)
- 1 持続可能な開発とは
- 2 持続可能な開発の概要
- 3 世界遺産における持続可能な開発
- 4 脚注
- 持続可能な開発のページへのリンク