年末調整
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 05:53 UTC 版)
対象者
年末調整の対象となる者
年末調整は、本年最後の給与等を支払う時において、給与等の支払者に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している居住者のうち、本年中に支払うべきことが確定した給与等[注 2]の総額が2000万円以下の者に対して行われる(所得税法190条、所得税法施行令311条)[7]。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、その年最初の給与の支払いを受ける日の前日までに給与等の支払者を経由して所轄税務署長に提出しなければならないが(同法194条)、その年最後の給与の支払いがされる時までに提出されていれば、年末調整を行う[7]。
また、年の中途において退職・出国した者であっても、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しており、給与等の総額が2000万円以下であり、次に該当する場合には、年末調整の対象となる[8][9]。
- 年の中途で死亡により退職した人
- 著しい心身の障害のため年の中途で退職した人で、その退職の時期からみて本年中に再就職ができないと見込まれる人
- 12月中に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人
- パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる人を除く。)
- 年の中途で、海外の支店へ転勤したことなどの理由により、非居住者[注 3]となった人
年末調整の対象とならない者
上記に該当しない者、もしくは上記に該当するが別の条件が与えられる者は、年末調整の対象とならない。
すなわち、具体的には、次の者は年末調整の対象とならない[8][10]。
- 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない人(「源泉徴収税額表」の乙欄適用者)
- 2か所以上から給与等の支払いを受けている人で、他の給与等の支払者に「扶養控除等(異動)申告書」を提出している人(「源泉徴収税額表」の乙欄適用者)
- 本年中に支払うべきことが確定した給与等の総額が2000万円を超える人
- 上記のうち、災害により被害を受けて、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税および復興特別所得税の徴収猶予または還付を受けた人
- 年の中途で退職した人のうち、上記に該当しない人
- 非居住者
- 日雇労働者など(「源泉徴収税額表(日額表)」の丙欄適用者)
注釈
- ^ 「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与」をいう(所得税法28条1項、183条)。
- ^ 本年の中途で転職した場合には、転職前に支払いを受けた給与等も含む。
- ^ 「居住者(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人)以外の個人」をいう(所得税法2条3号、5号)。
- ^ その年の中途まで主たる給与等の支払者であった他の給与等の支払者が、主たる給与等の支払者でなくなった日までにその年中において支払うべきことが確定した給与等を含む。
- ^ 提出期限は通常その年の初めての給与支給日の前日であるが、同時に2以上の給与支払者から給与等の支給を受けている場合は1ヶ所にしか提出できない。
出典
- ^ “主要国の給与に係る源泉徴収制度の概要” (PDF). 財務省 (2018年1月). 2023年3月19日閲覧。
- ^ a b c d 谷本 2022, p. 49.
- ^ 金子 2021, pp. 1016–1017.
- ^ 源泉徴収制度の問題点…(立命館法政論集)
- ^ 大蔵財務協会 2022, p. 148.
- ^ 谷本 2022, pp. 49–50.
- ^ a b 谷本 2022, p. 52.
- ^ a b 大蔵財務協会 2022, p. 151.
- ^ 谷本 2022, pp. 52–53.
- ^ 谷本 2022, pp. 53–54.
- ^ 大蔵財務協会 2022, p. 152.
- ^ 谷本 2022, p. 59.
- ^ “法第190条《年末調整》関係”. 国税庁. 2023年3月19日閲覧。
- ^ a b 大蔵財務協会 2022, p. 153.
- ^ a b 谷本 2022, p. 55.
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