巨人の星 大リーグボール

巨人の星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/18 01:40 UTC 版)

大リーグボール

主人公星飛雄馬の駆使する一連の魔球。詳細は大リーグボールを参照。ここでは簡略化した記述にとどめる。

大リーグボール1号
バットを狙う魔球。
巨人に入団した飛雄馬が「自分の球質が軽い」というプロとしては致命的な欠点を克服するため、漁師や禅僧の言葉をヒントに伴と特訓を積み重ねて完成させた。当時大リーグの専売特許だった変化球の新発明を、日本人が最初にやったという意味で大リーグボール1号と名づけられた。ボクシングや剣道を体験して磨いた洞察力でバッターの動きを予測し、バットにボールを命中させ凡打に打ち取り、ランナーがいれば併殺を狙う。投球ごとに集中を要するため、疲労の激しいのが弱点。
大リーグボール1号進化形
作中では「大リーグボール1号の最も進化した姿」などと呼称された。
これは釣船の上で釣竿につるした五十円玉を狙って投球する特訓により、コントロールに更に磨きをかけたものである。打者のエンドグリップ(五十円玉に大きさに近い)を狙う。
大リーグボール2号
消える魔球。
原理は要約すれば「グラウンドの土ぼこりをまとったボールが自身が巻き上げる土煙の中に保護色によって消える」というものである。反則投球ではないのかという指摘は、作中では慎重に退けられている。
飛雄馬が自宅マンションの屋上で美奈という少女の鞠(まり)つきを見たのがヒントとなっている。
弱点は土煙を利用するために風や水に弱く、強風や雨天での試合では使えないことである。
大リーグボール3号
バットをよける魔球。
人差し指一本でボールを押し出すような、独特のアンダースローから投じられる超スローボール。ホームベース上で推進力がほとんどゼロとなり、プロ選手のスイングの起こす風圧によってボールが浮き沈みして正確なミートが出来ないという原理。張本勲いわく「大リーグボール1号の逆」。
弱点として、ボールを浮沈させるほどの強振をしないローパワーヒッターには弱い、という点がある。そのために、ほかをノーヒットにおさえながら投手に安打を許すようなケースが多かった。完成までに特訓を積み重ねたものの、ライバル達に次々と攻略された1号・2号と比較して、短期間で完成した3号は左腕の崩壊という犠牲を払った。3号は、中日に移籍した星一徹の策で攻略されているが、体力自慢の伴ですら疲労困憊して一塁走塁がやっとという有様で、実質的には相打ちに(一徹は敗北を認めている)終わった。
アニメ『新・〜II』の最終回では亡くなる運命にあった一徹への手向けに、本来左の大リーグボール1号から3号を一球ずつ右で投げており、精神的疲労の著しい大リーグボールを次々と繰り出して(一球だけなら腕に負担のかかる3号も投げられる模様)飛雄馬の成長を表していた。
大リーグボール右1号
『新巨人の星』で左の代打専門として巨人に復帰し、後に右投手に転向した飛雄馬が開発した「蜃気楼の魔球」。
バッターとキャッチャー、それに主審にのみ、ボールが3つに分身して見え、観客や他の野手たちからは平凡なストレートに見える。一徹が伴に説明した言い方では「消える魔球とは逆の変化」だが、作中でその原理は明かされなかった。本物のボールには影がある、という点を見抜かれ花形や左門に攻略される。キャッチャーもやはり影を見て捕球するため、晴れた日のデーゲームでしか使えないという弱点がある。また投球ごとに大変な疲労を伴うらしく、3球続けて投げると続投が難しくなるほどだった。
『新・巨人の星II』では、原作とは原理が根本的に異なる魔球「蜃気楼ボール」として登場。サイドスローで投げられたボールは、いくつもの分身をランダムに作り出し、捕球直前で元に戻る。原作のような目立った弱点は無く、飛雄馬は勝利を重ねていった。この魔球の弱点は「風に弱い」こと。小さな竜巻を受けると、残像が消えてしまう。
大リーグボール養成ギプス
大リーグボール養成のために作られた、全身エキスパンダー。
花形はこれを最初に見て「理想的な訓練法だ」と言ったが、彼自身は一徹・オズマコンビより先に「大リーグボール打倒ギプス」を採用せず、鉄球と鉄バットの訓練を選んでいる。
「打倒ギプス」で特訓したオズマは普通の球でも本塁打できるようになるが、「鉄球鉄バット特訓」を選んだ花形は一時的に1号以外打てなくなった。
河崎実と重いコンダラ友の会著『「巨人の星」の謎』と柳田理科雄著『空想科学漫画読本』では、バネが身体の一部を挟む危険性を指摘している。
アニメ『新・〜II』では花形もギプスを採用。星一徹が蜃気楼ボール打倒の為にギプスを作成し、鬼のコーチとして花形を特訓する。
タイトーより、ゲームプライズとして商品化されている(ただし、あくまでコスプレ用品であり、実用性は皆無)。
魔送球
肩を戦争で壊した星一徹が開発。
三塁から一塁送球の際に、ランナーをかすめて行く。これを見た川上哲治は、沢村栄治の話に例えて「ビーンボール」と言い、一徹が退団するきっかけとなった。飛雄馬も会得しており、使用したのは長島茂雄入団の際と自身の入団テスト時のみ。また、この魔送球が大リーグボール2号の元になった。

  1. ^ 津堅信之 『日本のアニメは何がすごいのか 世界が惹かれた理由』 祥伝社、2014年3月10日初版第1刷発行、82頁、ISBN 978-4-396-11359-9
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  62. ^ Suraj - The Rising Star Colors(Colors TV)
  63. ^ インドでも輝く?巨人の星 講談社、クリケット版放映へ(2012年1月 朝日新聞社) なお、この記事が掲載された当時は作品名が正式決定しておらず、仮題で『ライジング・スター』となっている。
  64. ^ 「インド版巨人の星」が放映 大リーグ養成ギプスも登場(2012年12月 MSN産経ニュース)
  65. ^ [1] インド版「巨人の星」の裏に意外な人脈図:日本経済新聞
  66. ^ インドではちゃぶ台を使う文化がないためテーブル的な家具
  67. ^ インド版「巨人の星」 競技はクリケット 魔球も(2012年1月 東京新聞)(2012年1月9日時点のアーカイブ
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  74. ^ しくじり先生 俺みたいになるな!! 3時間スペシャル - goo tv関東版,2017年3月13日放送分
  75. ^ 大下英治『日本 (ジャパニーズ) ヒーローは世界を制す』角川書店、1995年、92頁。ISBN 9784048834162






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