女流王将戦 女流王将戦の概要

女流王将戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 16:17 UTC 版)

女流王将戦
棋戦の分類 女流タイトル戦
正式名称 霧島酒造杯女流王将戦(第31期 -)
開催概要
開催時期 予選:前年11月 - 1月
本戦:4月 - 8月
タイトル戦:10月
初回開催 1978年度
持ち時間 3時間(番勝負)
25分(予選・本戦)
番勝負 三番勝負
主催 囲碁・将棋チャンネル・日本将棋連盟
協賛 霧島酒造
公式サイト 女流王将戦:日本将棋連盟
記録
現女流王将 西山朋佳(第45期)
永世資格者 清水市代/福間香奈
最多優勝 林葉直子(10期)
最長連覇 林葉直子(10連覇)
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概要

1974年の女流プロ名人位戦創設以降、公式戦はその一つのみだったが、1978年上旬に女流棋士の関根紀代子と創刊間もない将棋マガジンの田代編集長が、懇意にしていたニッソー社長に女流棋界の力になって欲しいと頼んだ事がきっかけで話が進み、将棋マガジン主催・中原誠将棋サロン[注釈 2]後援という形で1978年5月に女流王将戦(番勝負は翌年4月開始)が創設された[1]

その後、第15期(1993年度)までは将棋マガジンと株式市場新聞が共催[1][注釈 3]、第16期(1994年)から第30期(2008年度)までは日刊スポーツが主催。2004年に霧島酒造が協賛する形となってからは、正式名称を「ウエルネス都城霧島杯女流王将戦」とした[3][注釈 4]

2008年10月8日、日本将棋連盟は女流王将戦を第30期をもって休止する事を発表[4]。翌2009年、日本将棋連盟とサテライトカルチャージャパン[注釈 5]が主催し、霧島酒造が引き続き協賛する形で「霧島酒造杯女流王将戦」として再開[5]し、出場メンバーの選抜など大幅な縮小があったものの、タイトル戦三番勝負が2009年10月~11月に実施され、女流王将戦の中断は回避された。

第31期は8名の選抜、第32期では日本女子プロ将棋協会(LPSA)からの参加者を5名に限定の形であったが、第33期(2011年)からは基本的には所属に係わらず、全ての現役女流棋士が参加しているとともに、マイナビ女子オープンに続いて、小学校・中学校・高校・大学・一般の代表が招待される形でアマチュアに門戸が開放された[6]

本棋戦の本戦トーナメントは東京将棋会館の地下スタジオで行われ囲碁・将棋チャンネルで春から秋にかけて毎週土曜日に録画放送される。女流王将を決める三番勝負は、毎年10月に第1局を霧島酒造の本社のある宮崎県都城市の霧島創業記念館「吉助[注釈 6]」で対局し、第2局・第3局を東京将棋会館で行なわれ、生中継(囲碁・将棋チャンネルでは生放送、囲碁将棋チャンネルが運営するインターネット配信サービス『囲碁将棋プラス』では生配信)で放送されている[8]。将棋のタイトル戦では唯一の「テレビ棋戦[6]である[注釈 7]

2023年開始の第45期より棋戦名における冠名の表記順に変更があり、それまでの「期数・冠名・棋戦名」の順(第44期 霧島酒造杯 女流王将戦)から「冠名・期数・棋戦名」の順(霧島酒造杯 第45期 女流王将戦)の名称で行われている。

方式

予選と本戦と三番勝負で構成される。本戦の優勝者が現・女流王将と三番勝負を戦い、先に2勝した方が次の女流王将となる。

予選

女流王将とシード者(前期三番勝負敗者、前期挑戦者決定戦進出者、タイトル保持者)を除くすべての現役女流棋士、および主催者推薦を受けた女流アマチュア5名が参加する。アマチュア枠は第32期より設けられ、新設当初から「小学生・中学生・高校生・大学生・一般より各1名」選出されることが慣例となっている。予選通過者は本戦に進出する。女流棋士でない女性奨励会員については当棋戦の予選参加枠が設けられておらず、女性奨励会員が参加可能な他の女流棋戦(女流王座戦マイナビ女子オープン)でのタイトル獲得による本戦シード出場となる。

予選は、各組ごとに日程を分けて一日最大3局指し、その日のうちにその組の予選通過者を決める。

本戦

予選通過者とシード者の計16名でのトーナメントを行う。持ち時間は各25分(チェスクロック使用)、切れたら40秒将棋。

女流王将戦三番勝負

女流王将と本戦優勝者が三番勝負を戦い、勝者が新たな女流王将となる。持ち時間3時間(チェスクロック使用)、切れたら1分将棋[8]

方式の遍歴

女流王将戦番勝負 本戦 出場者 本戦予選
持ち時間
番数 持ち
時間
開催
時期
形態 出場
人数
本戦シード
1 三番
勝負
3時間 翌年
4月
挑戦者決定紅白リーグ 12名 - シードを除く全女流棋士 2時間
2-6 挑戦者決定リーグ 6名 前期番勝負敗者
前年度挑戦者決定リーグ上位5名
7-14 7名
15-16 主に
4-7月
8名
17-24 五番
勝負
25-30 トーナメント 12名 タイトル保持者
前期番勝負敗者
前年度本戦ベスト4
31 三番
勝負
25分
[注釈 8]
10月 トーナメント 8名 - 選抜8名[注釈 9] 25分
32-39 16名 タイトル保持者[注釈 10]
前期番勝負敗者
前年度本戦ベスト4[注釈 11]
シードを除く全女流棋士
アマチュア選抜 5名[注釈 12]
40- 3時間

注釈

  1. ^ 運営会社名は「株式会社 囲碁将棋チャンネル」、チャンネル名は「囲碁・将棋チャンネル」である。囲碁・将棋チャンネル公式サイト
  2. ^ 同サロンは、そのニッソー永原社長が愛棋家のために東京の幡ヶ谷駅近くに開いたもの。
  3. ^ その他1989年に女流王位戦が開始する前は一時期、三社連合なども主催に加わっていた[2]
  4. ^ さらに2007年度から2年間は、青森県おいらせ町の衣料品店であるナカトがスポンサーに加わり、「ウエルネス都城霧島杯&中戸賞女流王将戦」となった。その間「抜群の活躍をした者」に「中戸賞奨励賞」を贈呈した(受賞者は、2007年が里見香奈、2008年が鈴木環那
  5. ^ サテライトカルチャージャパンは囲碁・将棋チャンネルの運営会社であり、既に銀河戦を主催していた。2010年に囲碁将棋チャンネルに社名を改称。
  6. ^ 吉助は22期から番勝負の第1局を9年間開催していた[7]
  7. ^ 第31期から39期まではすべて録画放送であった。日本将棋連盟の機関誌 『将棋世界』 では、棋士タイトル戦・女流タイトル戦の番勝負は、全て棋譜を掲載するが、本棋戦については、番勝負が録画放送であった第39期までは、三番勝負の終了直後に発売される号(第33期は2011年12月号)で番勝負の結果と観戦記のみを掲載し、囲碁・将棋チャンネルで三番勝負が放送された後に発売される号(第33期は2012年2月号)で、新女流王将の表彰式の模様を報じる際に、はじめて三番勝負の棋譜を掲載する配慮をしていた。
  8. ^ 25分(チェスクロック使用) 切れたら40秒将棋
  9. ^ 第30期ベスト4(矢内理絵子鈴木環那千葉涼子岩根忍)、タイトル保持者2名(石橋幸緒里見香奈)、ポイントランキング上位1名(上田初美)、主催者推薦枠1名(笠井友貴女流アマ名人)
  10. ^ 第37期より、女性奨励会員を含む非女流棋士のタイトル保持者も参加可能となった。加藤桃子Twitter 2015年5月28日
  11. ^ ただし25期から30期までとは違いシードは最大で4名のため、シード対象のタイトルホルダーが複数以上いる場合は41期の和田あきのように前期ベスト4でもシードはされずに予選に回る。
  12. ^ 32期については連盟からは対象者全員、LPSAから5名のみが予選に出場した。
  13. ^ 女流王将10連覇を偉業を称えこの年にクイーンの称号が設けられた[9]
  14. ^ 女流王将戦は第1期より予選開始年を開催年として番勝負は主に翌年4月以降に行われていたが、15期以降は番勝負が行われた年度を開催年に改めれた。そのため1992年は開催を休止したわけではない。例えば林葉直子が女流王将10連覇を果たしたのは1990年度となっているが、実際に果たしたのは1991年4月である。
  15. ^ 最年少タイトル(14歳)
  16. ^ 最年少挑戦(13歳)
  17. ^ 前年にシードの林葉が退会したために欠番
  18. ^ 女流王将奪取により史上2人目の女流三冠
  19. ^ アトランタオリンピック開催の一か月前

出典

  1. ^ a b c 『近代将棋』1998年6月号 p104
  2. ^ 「道新スタッフブログ:【女流王位戦】女流王将戦を主催・取材のころ」
  3. ^ 女流王将戦第3局感想戦の模様
  4. ^ 女流王将戦の休止について|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2008年10月9日). 2017年10月20日閲覧。
  5. ^ 女流王将戦の再開について|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2009年7月31日). 2017年10月20日閲覧。
  6. ^ a b 女流王将戦再開までの経緯|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2010年3月24日). 2017年10月20日閲覧。
  7. ^ 『女流棋士の本』p144-145
  8. ^ a b 女流王将特設ページ|囲碁・将棋チャンネルホームページ”. 囲碁・将棋チャンネル. 2018年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月23日閲覧。
  9. ^ 女流棋界のあゆみ 『女流棋士名鑑2014』13頁。
  10. ^ 中野正「第18期女流王将戦第1局 女流棋界初の海外対局」、『将棋世界』(1996年7月号)、日本将棋連盟 pp. 62~67


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