天皇賞(春)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 00:37 UTC 版)
天皇賞(春) Tenno Sho(Spring)[1] | |
---|---|
開催国 | 日本 |
主催者 | 日本中央競馬会 |
競馬場 | 京都競馬場 |
創設 | 1938年5月15日 |
2024年の情報 | |
距離 | 芝3200m |
格付け | GI |
賞金 |
1着賞金2億2000万円 |
出走条件 | サラ系4歳以上(国際)(指定) |
負担重量 | 定量(58キロ、牝馬2キロ減) |
出典 | [2][3] |
概要
4歳以上の馬(外国産馬・外国馬を含む)による重賞競走(GI)。施行距離は1939年(昭和14年)以来3,200メートルで変わっておらず、現存する中央競馬の平地GI競走では最長距離[注 1]。
2008年(平成20年)よりメルボルンカップ(オーストラリア、GI)の前年度優勝馬[注 2]を招待するようになり[注 3]、本競走の優勝馬にも同年のメルボルンカップへの優先出走権が与えられる。
2017年(平成29年)より大阪杯、宝塚記念とともに同一年に行われる3競走を全て優勝した馬に褒賞金が贈られる[4][注 4]。
正式名称は「天皇賞」であるが、JRAでは天皇賞(秋)の距離が短縮された1984年(昭和59年)から「天皇賞(春)」と表記している[5]。
正賞は天皇賞、日本馬主協会連合会会長賞。
世界の中の天皇賞(春)
世界の競馬開催国は国際セリ名簿基準書においてパートIからパートIVまでランク分け[6]されており、主要な競走は国際的な統一判断基準で評価が行われている。日本は平地競走が最上位の「パートI」、障害競走は「パートIV」に分類されている[6]。
2024年(令和6年)現在、日本を含めパートIに分類されている国・地域のうち、3,000メートル級の平地G1競走を行っているのは、
- 日本 - 天皇賞(春):3,200メートル、菊花賞:3,000メートル
- イギリス - ゴールドカップ:約4,014メートル、グッドウッドカップ:約3,219メートル[7]、セントレジャー:約2,921メートル
- フランス - ロワイヤルオーク賞:3,100メートル、カドラン賞:4,000メートル、ロワイヤリュー賞:2,800メートル
- アイルランド - アイリッシュセントレジャー:約2,816メートル
- オーストラリア - メルボルンカップ・シドニーカップ:3,200メートル
以上の5カ国だけである[6][注 5]。天皇賞(春)はこの分類で、ゴールドカップ、カドラン賞に続く世界で3番目の長距離戦に該当し、優勝馬を招待しているメルボルンカップとは同じ距離である。
競馬の競走における距離別の区分法として定着しているSMILE区分によると、天皇賞(春)は2701メートル以上の「Extended(超長距離)」部門に分類される。国際競馬統括機関連盟(IFHA)が公表した「世界のトップ100GIレース」によると、天皇賞(春)は全体の54位にランクインした[8]。「Extended(超長距離)」のカテゴリーからランクインした競走ではゴールドカップ(38位)に次ぐ順位[9]で、日本国内ではランクインした9競走のうちの8番目にランクされている[8]。
競走条件
出走資格
4歳以上のサラ系競走馬(出走可能頭数:最大18頭)
- JRA所属馬
- 地方所属馬(優先出走権を得た馬のみ)
- 外国調教馬(優先出走)
出馬投票を行った馬のうち、以下の優先出走権を得ている馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI・JpnI競走における収得賞金」の総計が多い順に割り当てる。出馬投票締切の結果、出走申込頭数が出走可能頭数を超えた場合は、別に定めた方法または抽選で出走馬を決定する[10]。
優先出走権を得られる条件
- 出馬投票を行っている外国調教馬
- レーティング順位の上位5頭[注 6]
- 当該年に行われる以下の競走のいずれかで1着となった馬(中央・地方の所属は問わない)[10]
- 当該年に行われる以下の競走のいずれかで2着以内に入着した地方競馬所属馬[10]
競走名 | 格付 | 施行競馬場 | 施行距離 |
---|---|---|---|
阪神大賞典 | GII | 阪神競馬場 | 芝3000m |
日経賞 | GII | 中山競馬場 | 芝2500m |
地方競馬所属馬は、上記のほか大阪杯の2着以内馬も本競走に出走できる[11]。
負担重量
定量(58キロ、牝馬2キロ減[3])
コース
京都競馬場の芝コース、外回り3,200メートルを使用[12][13][3]。
スタート地点は観客席からみて向正面で、約1周半する。途中、第3コーナーから第4コーナーにかけて「淀の坂」と称される坂の上り下りがあり、天皇賞(春)ではこの坂を2度通過するため、「京都競馬場の難所」とされる[12][14]。
1周目はスタート直後から100メートル進む間に約2.1メートル上る急坂となる。その後も緩やかに280メートルかけて約1.8メートルを上る。第3コーナーが坂の頂上にあたり、第4コーナーまで3.5メートルを下る[13]。第4コーナーを回って直線に入るまで0.8メートルほどの下り勾配がある[13][12]。
2周目の第4コーナーを回り終えると最後の直線で、ゴールまでは残り約400メートルとなる[12]。
注釈
- ^ 現存する最長距離の平地重賞競走は「ステイヤーズステークス(3600m)」、障害競走も含めれば「中山グランドジャンプ(4250m)」が最長となる。過去に存在した平地競走では、いずれも4000mで争われた「中山四千米」や「日本最長距離ステークス」があった。
- ^ オーストラリアは8月から翌年7月を1シーズンとしている。
- ^ 2005年には2003・2004・2005年のメルボルンカップを優勝したマカイビーディーヴァ(Makybe Diva)が出走しているが、招待はされていなかった。
- ^ 通称春古馬三冠
- ^ このうち賞金額では、フランスのロワイヤルオーク賞が国内10番目、オーストラリアのシドニーカップは国内12番目、イギリスのセントレジャーは6番目、ゴールドカップは国内20番目に過ぎない。これに対し、オーストラリアのメルボルンカップは古馬の出走できる競走としては国内最高額である。日本の天皇賞(春)は国内4番目、菊花賞は7番目[6]。
- ^ 牡馬・騸馬は110ポンド、牝馬は106ポンド以上が条件。
- ^ 当時の阪神競馬場は現在のものと異なり、1937年に改称されるまで「鳴尾競馬場」を名乗っていた。現在の阪神競馬場が開設されたのは1949年[15]。
出典
- ^ IFHA Tenno Sho(spring) 2021年4月27日閲覧。
- ^ a b “重賞競走一覧(レース別・関西)” (PDF). 日本中央競馬会. p. 16. 2024年4月29日閲覧。
- ^ a b c d “2024年第3回京都競馬番組(第1~6日)” (PDF). 日本中央競馬会. 2024年4月29日閲覧。
- ^ 2017年度競馬番組等について日本中央競馬会、2016年11月16日閲覧
- ^ a b c d e f g h i j k “歴史・コース:天皇賞(春) 今週の注目レース”. 日本中央競馬会. 2024年4月29日閲覧。
- ^ a b c d “INTERNATIONAL GRADING AND RACE PLANNING ADVISORY COMMITTEE "INTERNATIONAL CATALOGUING STANDARDS and INTERNATIONAL STATISTICS 2022” (PDF). The Jockey Club Information Systems, Inc.. p. 89. 2022年4月25日閲覧。
- ^ European Pattern Committee announces changes to the 2017 European Programme / 01 Feb 17britishhorseracing.com、2017年2月2日閲覧
- ^ a b “世界のトップ100GIレースがIFHAから発表!”. 日本中央競馬会 (2022年1月26日). 2022年1月29日閲覧。
- ^ “The LONGINES World's Top 100 Group/Grade 1 Races for 3yos and upwards - 2021”. IFHA. 2022年1月30日閲覧。
- ^ a b c “競馬番組一般事項” (PDF). 日本中央競馬会. p. 18. 2024年4月29日閲覧。
- ^ “地方馬が出走できるG1競走等とそのステップ競走について【2024年度】” (PDF). 日本中央競馬会. 2024年4月29日閲覧。
- ^ a b c d “JRA公式HP 京都競馬場 コース紹介”. 日本中央競馬会. 2014年5月27日閲覧。
- ^ a b c 「京都競馬場」『競馬の基本』、238頁
- ^ “JRA公式HP 京都競馬場”. 日本中央競馬会. 2014年5月27日閲覧。
- ^ 『日本競馬史』3巻571 - 632頁
- ^ 中央競馬全重賞成績集【GI編】
- ^ “天皇賞の歴史”. 日刊競馬. 2016年4月25日閲覧。
- ^ 2005年・天皇賞(春)の成績表
- ^ “第3回 京都競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 1350-1351. 2016年3月9日閲覧。(索引番号:12047)
- ^ “第3回 京都競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 1388-1389. 2016年3月9日閲覧。(索引番号:12047)
- ^ 1次補正、審議始まる=異例の休日返上-衆院予算委 時事通信 2011年4月29日閲覧
- ^ 2012年・天皇賞(春)の成績表参照。
- ^ “4月25日(土曜)から5月31日(日曜)までの中央競馬の開催等について”. 日本中央競馬会 (2020年4月23日). 2020年6月20日閲覧。
- ^ “4月25日(日曜)からの無観客競馬の実施とウインズ等の営業取りやめ”. 日本中央競馬会 (2021年4月23日). 2021年4月25日閲覧。
- ^ “令和3年度の重賞競走の主な変更点について”. 日本中央競馬会 (2020年10月19日). 2020年10月20日閲覧。
- ^ a b 『天皇賞全史』(週刊Gallop臨時増刊)、週刊Gallop第22巻47号(通巻1139号増刊)、産業経済新聞社、2014、p16-1
- ^ https://db.netkeiba.com/race/195608020610/
- ^ グレード制導入後は3:25.4(第93回優勝馬 クシロキング)
- ^ 連覇としては池江泰郎(第103回・第105回)、岩元市三(第121回・第123回)、戸田博文(第147回・第149回)、清水久詞(第153回・第155回)、手塚貴久(第159回・第161回)が記録
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