国民健康保険 保険者

国民健康保険

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 18:42 UTC 版)

保険者

国民健康保険事業年報 平成22年度[5]
保険者数 世帯数(千世帯) 被保険者数(千人)
市町村国保 1,723 20,372 35,493
国民健康保険組合 165 1,542 3,227
1,888 21,914 38,769

加入者から徴収した国民健康保険料又は国民健康保険税(以下、「保険料」と略す)と国庫負担金等の収入によって、保険加入者が疾病、負傷、出産又は死亡したときに、保険給付を行う事業主のことを保険者という。以下が存在する(第3条)。

都道府県若しくは市町村または国保組合は、共同してその目的を達成するため、国民健康保険団体連合会を設立することができ、また連合会の区域内の保険者の3分の2以上が加入したときは、その他の保険者は、すべて当該連合会の会員となる(第83条1項、第84条3項)。

市町村国保

国民健康保険事業の運営に関する重要事項を審議するため、すべての都道府県及び市町村に国民健康保険運営協議会が置かれる(第11条)。協議会の委員は、被保険者代表、保険医保険薬剤師代表、公益代表各同数で組織される。

都道府県国民健康保険運営方針

都道府県は、都道府県等が行う国民健康保険の安定的な財政運営並びに当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の広域的及び効率的な運営の推進を図るため、都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の運営に関する方針(都道府県国民健康保険運営方針)を定めるものとする(第82条の2第1項)。

都道府県国民健康保険運営方針は、都道府県医療費適正化計画(高齢者の医療の確保に関する法律第9条1項)との整合性の確保が図られたものでなければならない。都道府県知事は、都道府県国民健康保険運営方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、当該都道府県内の市町村長の意見を聴かなければならない。都道府県は、都道府県国民健康保険運営方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。市町村は、都道府県国民健康保険運営方針を踏まえた国民健康保険の事務の実施に努めるものとする。都道府県は、都道府県国民健康保険運営方針の作成及び都道府県国民健康保険運営方針に定める施策の実施に関して必要があると認めるときは、国民健康保険団体連合会その他の関係者に対して必要な協力を求めることができる(第82条の2第5~9項)。

都道府県国民健康保険運営方針においては、次の1~4に掲げる事項を定めるものとするほか、おおむね次の5~8に掲げる事項を定めるものとする(第82条の2第2~3項)。

  1. 国民健康保険の医療に要する費用及び財政の見通し
  2. 当該都道府県内の市町村における保険料の標準的な算定方法に関する事項
  3. 当該都道府県内の市町村における保険料の徴収の適正な実施に関する事項
  4. 当該都道府県内の市町村における保険給付の適正な実施に関する事項
  5. 医療に要する費用の適正化の取組に関する事項
  6. 当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の広域的及び効率的な運営の推進に関する事項
  7. 保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策その他の関連施策との連携に関する事項
  8. 2~7に掲げる事項の実施のために必要な関係市町村相互間の連絡調整その他都道府県が必要と認める事項

国民健康保険組合

国保組合の内訳は以下となっている。

組合には組合会が置かれ、規約の変更、収入・支出の予算、決算等の事項については、組合会の議決を経なければならない(第27条)。また役員として、理事及び監事が置かれ、理事の定数は5人以上、監事の定数は2人以上、理事及び監事の任期は、3年をこえない範囲内において、それぞれ規約で定める(第23条)。

国民健康保険組合を設立しようとするときは、15人以上の発起人が規約を作成し、組合員となるべき者300人以上の同意を得て、主たる事務所の所在地の都道府県知事認可を受けなければならない。都道府県知事は、認可の申請があった場合、組合の地区を含む市町村長の意見を聴き、これらの市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさないと認めるときでなければ認可をしてはならない。組合は、設立の認可を受けた時に成立する(第17条)。組合は、その名称中に「国民健康保険組合」という文字を用いなければならず、組合以外の者は、「国民健康保険組合」という名称又はこれに類する名称を用いてはならない(第15条)。組合の規約には、以下の事項を記載しなければならない(第18条)。

  1. 名称
  2. 事務所の所在地
  3. 組合の地区及び組合員の範囲
  4. 組合員の加入及び脱退に関する事項
  5. 被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項
  6. 役員に関する事項
  7. 組合会に関する事項
  8. 保険料に関する事項
  9. 準備金その他の財産の管理に関する事項
  10. 公告の方法
  11. 前各号に掲げる事項のほか厚生労働省令で定める事項(施行規則第18条)
    • 保険給付に関する事項
    • 一部負担金に関する事項

市町村国保を原則とする立場から、厚生省1959年(昭和34年)以降、原則として新規設立を認めていないが、特例として認可されることもある。実例は以下の通り。

  • 1970年(昭和45年)に建設従事者対象の39組合
建設産業従事者を対象にした国保組合が新設認可された。これは、1970年(昭和45年)に、財政難を理由にした日雇健康保険一人親方擬制適用廃止の救済策として、建設系労働組合による要望を汲んだものである。のちに厚生省官僚は「カラスの鳴かない日はあっても、建設職人の地下足袋赤絨毯を踏まない日はなかった」と言わしめた程、粘り強い闘争の上に実現したと、語り継がれている。

注釈

  1. ^ 東京地裁平成10年7月16日判決では、在留資格のない外国人に被保険者資格を認めた。なお控訴審中に原告は在留特別許可を受け、被保険者資格を取得している。

出典

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