円の直径から、その1/9を引いたものを2乗すると円の面積になる(リンド・パピルス)
古代エジプトにおいては、リンド・パピルスの問題50に円の面積を求める方法が記録されている[注釈 1]。
リンド・パピルスでは、円の直径
円の面積は、円周 c を底辺、半径 r を高さとする直角三角形の面積に等しい
エウクレイデスは『原論』において、直径
円に内接する正6,12,24角形
アルキメデスは『円の計測』において、
- 命題1
- 円の面積は、円周の長さを底辺、半径を高さとする直角三角形の面積に等しい
- 命題3
- 円周と直径との比は、
『九章算術』劉徽による円に内接する正多角形を用いた円の求積
『九章算術』に註釈をつけた魏の劉徽は、円の内接する正6角形から正12角形、正24角形と辺数を増やしていくと、やがて内接多角形の面積は円の面積に差は無くなる、としている。
具体的には、円に内接する正n多角形のうち1つの三角形(△OAB)に対し、三角形の底辺とそのの二等分線と円周上の交点を高さとする長方形で囲まれる面積(□AA'B'B)を考えると、内接する正n角形の面積とその面積に長方形の面積を加えたものの間に円の面積がある、ということを利用している(右図)。
正n角形の面積を
、円の面積を
としたとき、
となり、半径10の円に対する正192角形までを評価して[注釈 5]、
を得た。
さらに内接多角形の辺を増やしていくことによって、
を得ている[19]。
日本
江戸時代初期に発行された算術書である吉田光由の『塵劫記』において、直径
の円の面積は、直径の自乗に「まるき法」を掛けて求める。ここで、まるき法は
に相当する値で、0.79 である。面積
で表せば、
である。
また、円周の長さ
の円の面積は、円周の長さを「円きめくり法」で割り、直径
を求めてから上記の方法を使って円の面積を求める。ここで、円きめくり法は円周率に相当する値で、3.16 である。面積
で表せば、
である。
円の面積の公式の導出
アルキメデスによる証明から、命題1における円周の長さを
、半径を
とすると、円の面積
は底辺が
、高さが
の直角三角形の面積なので、
となる。
命題3における円周の長さ
と直径の比を
とすれば、直径は半径の2倍の
なので、
であり、
を
に代入すると、
となり、円の面積の公式が得られる。