交響曲第3番 (シューマン)
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オーケストレーションの変更・改訂
かつてシューマンの交響曲は、様々な指揮者により様々なオーケストレーションの変更が行われていた。その理由としては、楽器の重ね過ぎを間引きするためや、楽器(主に金管)の性能向上によるパッセージの旋律化などが挙げられる。中でもこの曲はオーケストレーションに手を加えられる機会が他の交響曲よりも多かったようである。
代表的な例としてはグスタフ・マーラーによる「マーラー版」が挙げられる。マーラーが晩年に常任指揮者を務めていたニューヨーク・フィルハーモニックで1911年1月に演奏する際に用意したもので、一部で楽器の変更や奏法の変更がなされており、両端楽章ではトランペットとティンパニの出番が削減され、フレージングを明確にしたり、音量バランスの変更やテンポ変化の指示が加えられている。トスカニーニ、チェッカート、シャイー(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との新盤)、スダーンがマーラー版による録音を残している。ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社やウニヴェルザール出版社に依頼すればスコアの入手も可能[注釈 1][2]である。
マーラー版のオーケストレーションを一部採用した指揮者としては、ジュリーニ、ロジェストヴェンスキー、セル、ワルター、ヴァント、メータ、パレー、セムコフ、ムーティ(フィルハーモニア管)などが挙げられる。この中でもジュリーニ、ロジェストヴェンスキー、セルはかなりマーラー版に近い。
レイボヴィッツはマーラー版を下敷きとしながらも更に手を加えた、さながらレイボヴィッツ版とでもいうべき録音を残している。興味深いことに、シューリヒトはパリ音楽院管弦楽団との録音において、レイボヴィッツとほぼ同じ変更をしている。このことは、レイボヴィッツがパリ音楽院で教鞭をとっていたことと何か関連があるかも知れない。ちなみにシューリヒトはシュトゥットガルト放送交響楽団とこの曲を再録音しており、こちらも旧録音とほぼ同様の改訂を行っているが一部を原典通りに戻している。
クレンペラーもマーラー版を下敷きとしながら、一部クレンペラー独自の改訂を加えている。
注釈
- ^ マーラーは4曲すべてを編曲しているが、ブライトコプフのWebカタログ上でマーラー版が掲載されているのは交響曲第3番のみ(2010年2月6日確認)。
出典
- ^ ホルンとトロンボーンによるコラールは演奏が困難として有名。第1トロンボーンにアルト・トロンボーンが指定(当時は一般的であった)されているせいもあるが、その最高音は変ホ音である。これはラヴェルの『ボレロ』のトロンボーンのソロで使われている音域よりもさらに高く、しかも、いきなり4度上昇して変ホ音に達するため、20世紀以降の普通のオーケストラで使用されているテナー・トロンボーンではしばしば吹き損ねることで知られる(参考文献:近衛秀麿著『オーケストラを聞く人へ』改訂版、音楽之友社、1970年8月)。なお後述するマーラー版は演奏家に配慮した修正が見られるが、この部分は変更していない。
- ^ “hire material arranged by Gustav Mahler”. www.breitkopf.com. www.breitkopf.com. 2022年1月24日閲覧。
- 1 交響曲第3番 (シューマン)とは
- 2 交響曲第3番 (シューマン)の概要
- 3 構成
- 4 オーケストレーションの変更・改訂
- 5 脚注
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