世界真光文明教団 信仰の対象

世界真光文明教団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/26 03:43 UTC 版)

信仰の対象

  • 御親元主真光大御神(みおやもとすまひかりおほみかみ):「主(ス)の神」とも呼ぶ。創造神であるとしている。
  • 伊都能売大国魂大国主之大神(いずのめおおくにたまおおくにぬしのおほかみ):主の神と表裏一体といており、地上世界に強く働きかける神であるという。

主な祭神はこの二神であるが、教団の教義によれば神は「一神で多神で汎神」とし、多くの神の存在を認めている。なお世界真光文明教団では、「信仰」ではなく、神様へ向くことの意味で「神向」と記している。また信者を神と手を組むという意味で、「神組み手(かみくみて)」と呼ぶ。

歴史観

真光の述べる歴史は次のようなものである。スの大神が世界を創造し、神々を作り、ムー大陸に黄人、赤人、白人、青人、黒人の「五色人」という世界人類を作り、神々が天祖、皇祖、人祖をまつった。ムー大陸は陥没し、五色人は世界中に散った。日本はムー大陸の残った山頂で、日本人は五色人のうち黄人の直系の子孫である。万世一系の天皇は世界創造以来の全人類の王統が続いたものである。五色人のうち、南米に上陸しインカ帝国などを作ったのがアメリカ・インディアン、西に向かったのが朝鮮半島、アジア大陸中央、インド、西アジア(ユダヤ)の人々であり、釈迦の教えもイエスの教えも「五色人の血肉の兄弟の教え」である。「全人類が日の本の国に集って、霊的新文明を築く仕組みになっている」という。[9]

真光は大本の神話を継承・発展させている。真光では、人類誕生から天皇制まで、すべて日本が世界の霊的元地と位置づけられている。金沢大学の中村伸浩は、このイメージは、高度経済成長期の日本経済を反映した日本人のアイデンティティの世界的拡大に関係していると想像できると述べている。真光の天皇制は、ムー大陸の実在を主張したジェームズ・チャーチワードや超古代史を記した「竹内文書」の影響を受けており、神武天皇の前に数十代の天皇がいたとされ、現実の天皇制とも記紀神話の天皇制とも異なっている。極端な日本中心主義と、日本のもとで世界民族が共存するというコスモポリタニズムがあるが、世界の把握は象徴的で具体性に欠ける面がある。世界性は儀礼にも反映されており、「立春大祭」は、人種・国境・宗教を超えた「人類の祭り」として、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、アジアの信者も参加する。[9]

中村伸浩は、岡田光玉の国粋主義的言説には、「特有の諧謔とディタッチメント」があり、超古代論オーディオ・ビジュアル文化的な現代的発展(古代ピラミッド、UFOノストラダムス等)の始祖的な存在となっていると述べている[10]

手かざし

不幸の原因を霊の憑依や魂の曇りであるとして、手かざしにより魂を浄める事により霊の障りを取り除けると考える。手かざしを「真光の業(わざ)」とも呼ぶ。信者が対象者の前に座り右手を額の前にかざすと憑依霊が動き出す「霊動」が起こり、霊が悟ることで不幸が解決するとする。釈迦やキリストが行った奇跡の業と同様の行為であるが、3日間の初級の研修でだれでも可能であるとされている。これが真光の救済のシステムで、非常にシンプルなものである。

研修の最終日に、入信と同時に「おみたま」というペンダントを授けられ、これに生命力の根源とされる清めの光「真光」が受信され、その力が所有者に与えられるとされる。神から注がれる真光は通常でも受信しているが、「おみたま」も持つことで受信する力が格段に上がるとされている。すべての信者の力は同等ではなく、初級・中級・上級の講習会で与えるおみたまの大きさは異なり、与えられる力も異なる。これはちょうど蛇口の大きさに例えられる。

真光の「手かざし」は、大本の「み手代」世界救世教の「浄霊」につながるものであると考えられている[2]。宗教学者の島田裕巳は、真光の業と霊動の関係は、野口晴哉野口整体における「愉気」と「活元」を宗教的・霊的に解釈したものであると述べている。


  1. ^ a b c 島田(2007),pp.155-156.
  2. ^ a b c d e f g h i 沼田健哉「現代日本における新宗教の諸相 : カリスマを中心として」桃山学院大学社会学論集 19(1), 1-30, 1985-10-30, 桃山学院大学
  3. ^ a b c d e f g h i j Birgit Staemmler 「真光」クリストファー・パートリッジ『現在世界宗教事典』 井上順孝 監訳、 井上順孝・井上まどか・冨澤かな・宮坂清 訳、悠書館、2009年
  4. ^ 『真光』誌昭和49年9月号
  5. ^ 平成25年第1回(1月)伊豆市議会臨時会会議録”. 2020年9月1日閲覧。
  6. ^ 島田(2007),p.157.
  7. ^ a b 島田(2007),pp.157-158.
  8. ^ 島田(2007),p.158.
  9. ^ a b 中村(1999),pp.183-185.
  10. ^ 中村(1999),p.194.






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