三重殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 02:41 UTC 版)
実例
隠し球による三重殺
1929年4月30日のシカゴ・ホワイトソックス対クリーブランド・インディアンス戦の7回表、無死一・二塁からインディアンスの打者が打ったゴロを遊撃手が処理し、一塁送球する間に、二塁走者が一気に本塁を狙った。打者走者が一塁でアウトになった後、本塁を狙った走者は三塁・本塁間に挟まれ、三塁手が触球して2つ目のアウトを取った。この後ホワイトソックスのウィリー・カム三塁手は自分のグラブにボールを隠したまま、ランダウンプレイの間に三塁に達していた別の走者の離塁を窺い、塁を離れた所を触球して3つ目のアウトを取った。
「四重殺」
1962年7月12日、南海ホークス対東映フライヤーズ戦の1回裏、無死満塁で東映が記録した。
- 打者のケント・ハドリが外野飛球を打ちアウト。(一死)。
- 三塁走者の大沢啓二はタッチアップして本塁へ。二塁走者のバディ・ピート、一塁走者の野村克也もタッチアップを試みるが、両者とも触球されてアウト。(二死、三死)。
- その後、大沢のスタートが早かったとの守備側のアピールが認められ、大沢もアウト(第3アウトの置き換え)。
以上により形式的には「四重殺」が成立した。公式記録上は三重殺である(第3アウトの置き換えにより、大沢が第3アウトとなり野村には残塁が記録されたため)。
なお、このケースで守備側がアピールを怠っていれば、大沢の得点が認められ、いわゆる「ルールブックの盲点の1点」が入っていたことになる。
最も多くの野手が参加した三重殺
1969年8月29日にアトランタ・フルトン・カウンティ・スタジアムで行われたアトランタ・ブレーブス対シカゴ・カブス戦の1回表、無死二・三塁からの三重殺は、ブレーブスの7人の野手が参加した。一塁へのゴロで打者のビリー・ウィリアムズがアウトになった後、飛び出した三塁走者のランダウンプレイに投手、捕手と、オーランド・セペタ一塁手を除く残りの内野手の計5人が参加、3人目のアウトはリコ・カーティ左翼手が二塁手から受けたボールで走者にタッチし三重殺を完成させた。プレイシーケンスは、「3*-6-2-5-1-4*-7*」である。
1試合で二度の三重殺
1990年7月17日のボストン・レッドソックス対ミネソタ・ツインズ戦で、ツインズは1試合で三重殺を2度完成させた。1度目は4回裏の無死満塁の場面で、ゴロを捌いた三塁手が三塁を踏み二塁へ送球、続いて一塁へ送球して「5-4-3」の三重殺が完成。2度目は8回裏の走者一・二塁の場面で、同様に「5-4-3」で完成した。試合は三重殺を2度喫したレッドソックスが1対0で勝った。現在分かっている中で、1試合2度の三重殺はMLBの中でもこの試合のみである。この時の守備は三塁手がゲイリー・ガイエティ、二塁手がアル・ニューマン、一塁手がケント・ハーベックであった。
日本プロ野球では、1951年6月29日の大映対毎日戦で、大映が2度の三重殺を記録している。1回裏に毎日は無死一・二塁のとき、打者三宅宅三が二塁ライナー、二塁手酒沢政夫から遊撃手山田潔、一塁手伊賀上良平とわたって三重殺成立、次に延長10回裏に無死一・二塁で打者別当薫が遊撃ライナー、遊撃手・山田→二塁手・酒沢→一塁手・伊賀上とわたってこの試合2度目の三重殺が成立した。
- ^ 公認野球規則 10.12
- ^ a b Eric Bruntlett turns an unassisted triple play to end a game for the first time
- ^ “Cleveland Indians at Detroit Tigers Box Score, May 31, 1927”. Baseball-Reference.com. 2020年6月13日閲覧。
- ^ “Philadelphia Phillies at New York Mets Box Score, August 23, 2009”. Baseball-Reference.com. 2020年6月13日閲覧。
- ^ TOTAL BASEBALL Sixth Edition 243頁
- ^ 同著244頁
- ^ “White Sox Execute 9-3-2-6-2-5 Triple Play” (英語). DEADSPIN. (2016年4月22日)
- ^ “ホワイトソックス、珍三重殺!”. デイリー. (2016年4月24日)
- ^ “オリックス変則プレー 無死満塁から三重殺成立も1点奪われる”. スポニチ. (2015年3月8日)
- ^ “オリックス、西武栗山のゴロからトリプルプレー完成”. 日刊スポーツ. (2015年3月8日)
- ^ “西武、1点入る珍しいトリプルプレーをやられる”. サンスポ. (2015年3月8日)
- ^ “【西武】トリプルプレー!来日初先発エンスが初安打許した直後 ピンチに嫌な流れ1プレーで救う - プロ野球 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2022年4月10日閲覧。
- ^ “下関国際、大会史上9度目の三重殺 選抜Vの大阪桐蔭を5-4で破る”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2022年8月18日). 2022年8月18日閲覧。
- ^ “三重殺は史上9度目 流れ手繰り寄せた下関国際”. 中国新聞デジタル. 中国新聞社 (2022年8月18日). 2022年8月18日閲覧。
- ^ “Rare unassisted triple plays: Cuban League’s turn was more uncommon” (英語). cubanbeisbol.com. 2013年3月28日閲覧。
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