ロンドンタクシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 14:21 UTC 版)
日本への輸入
FX4は、後期モデル以降、断続的に日本に輸入される事例がみられるようになった。しかしその用途は、結婚式場等でのリムジンや、遊園地等のイベント用、個人(マニア)向など限定的であり、輸入数も少数に留まるのが現状である。これは、もともと本車種はタクシー用車両とはいえ、燃料が軽油であることや車両価格も高く、日本で主流のLPG燃料の国産のタクシー車両と比較するとタクシー営業にマッチしないためである[注 2]。
FX4は、当初藤城商店により輸入された。その後エンジンが日産製となる際に日産の関連会社「日産トレーデイング」の輸入となり、一時は日産ディーゼル(現「UDトラックス」)のディーラー網を通じ販売されたこともあった。その後光岡自動車により輸入されていたがディーゼル車の排ガス規制等を理由に輸入が中止された。2011年からは、岩本モータースの手により三菱製ガソリンエンジンを搭載した特別モデルであるTX4が輸入販売されている。
現在FX4は、観光地のタクシーや、個人タクシーの車両として人気があるほか、花嫁衣装での乗降のしやすさから、ウエディング送迎用の『リムジン特別仕様車TX4』が明治神宮・明治記念館などの結婚式場で利用されている。また、社会の高齢化に伴い、車椅子のまま利用出来るスロープ付き福祉車両が個人所有の介護車両や老人介護施設の送迎用にも採用されている。なお、リムジン特別仕様車TX4は後部座席乗降りの際、ドアだけでなく屋根の一部が上方に開口できるなど、花嫁衣裳や髪形に配慮できる点が好評である。
運転資格
一部の営業区域を除いて[注 3]普通自動車第二種免許があれば誰でも運転できる日本のタクシーとは異なり、ナレッジ[注 4]試験(The Knowledge of London、単に The Knowledge とも)と呼ばれる世界有数の厳しい試験に合格しなければロンドンタクシーの運転手にはなれない。この試験では運転技術のみならず、ロンドン市内の地理・道路・施設などを全て記憶し、出発地から目的地などへの最短距離を即座に示す事が求められる。そのためタクシードライバーになるには3 - 4年程かかる。
画像
- 歴代の車両と他国での使用例
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ノキアのラッピング広告が施された車両
注釈
- ^ 日本のタクシーの一部の地域におけるあんどんのように空車中に点灯する。
- ^ 自動車用LPG燃料(オートガス)を充填できるオートガススタンドは主な顧客がタクシーとなることから両替等のタクシー向けサービスを行う店舗が多いが、一般的なガソリンスタンドではこのようなサービスに対応していないことが多い。燃料単価の低さ以外に日本においてLPG車がタクシーの主流になっている理由のひとつである。ハイグレードタクシーに使用される車種のようなガソリン車であっても事業者によってはLPG併燃に改造するところがあるほどである。
- ^ 乗務員証の発行に法令および地理の試験を要する区域が存在する。
- ^ 日本語のナレッジはアメリカ英語由来(ナリッジ:[ˈnɑlɪdʒ])の転訛で、イギリス英語の発音としてはノリッジ([ˈnɒlɪdʒ])が近い。
- ^ 日本交通グループによる営業権取得に伴い代替され現存しない。
出典
- ^ “日産、ロンドン名物の「黒タク」新型モデルを公開”. AFP (フランス通信社). (2014年1月6日) 2014年1月8日閲覧。
- ^ a b c “New LEVC TX electric London taxi could be a game-changer”. The Sunday Times Driving (The Sunday Times Driving). (2017年12月5日)
- ^ “First LEVC TX London black cab now operational in capital”. Jim Holder (AutoCar). (2017年1月22日) 2018年1月24日閲覧。
- ^ 東京新聞:UDタクシー相次ぐ車いす拒否 トヨタに改善求め1万2000人署名:社会(TOKYO Web)
- ^ a b Malcolm Bobbitt. “Taxi! - The Story of the London Cab”. Veloce Publishing Limited. 2014年3月7日閲覧。
- ^ “London Taxi classics”. 2014年3月7日閲覧。
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