レアメタル 日本におけるレアメタルの状況

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/12 07:08 UTC 版)

日本におけるレアメタルの状況

日本での地下資源

日本の黒鉱ベルトの分布

日本でも黒鉱ベルト(グリーン・タフ)と呼ばれる、鉛、亜鉛、バリウム、アンチモン、ビスマスを豊富に含む鉱床が存在するが、硫化鉱と諸金属からの分離に手間がかかるために、従来は費用に引き合わなかったため採掘は行なわれていなかった。これも、21世紀から始まったレアメタルの価格高騰が続けば、今後の開発も現実味を帯びてくる[4]

海洋資源の開発

日本の排他的経済水域EEZ)内には、レアメタルの含有量の高いマンガンノジュールコバルトリッチクラスト熱水鉱床・レアアース泥などがあり、開発が期待される(詳細は、「日本の海底資源」を参照)。

石油天然ガス・金属鉱物資源機構は、2011年より資源エネルギー庁の委託により、企業2社も参加し、沖縄トラフ伊豆小笠原諸島沖の海底の金銀やレアメタルなど深海資源を採掘する技術の実用化に乗り出す。世界初の深海採鉱ロボット鉱石を掘り出し、パイプで母船へ送る採鉱システムを開発、約10年後の商業化を目指す[6]

日本不在の非鉄金属業界

世界の非鉄メジャーと呼ばれる企業群の中に日本企業の名前はなく(下の非鉄メジャー一覧を参照)、鉄鋼業界における日本の重要性とは全く異なる状況にある。日本の商社は日本企業向けのレアメタルの輸入を行なっているが、鉱山開発から精製、販売までの非鉄金属業界の中で自ら進んで戦略的に動く意思と能力は持っていない。

こういった中で、中国やロシアが「資源ナショナリズム」と呼ばれる自国資源の囲い込みを始めているため、日本の国内産業に不足するレアメタルを輸入するには資源国の示す価格条件を受け入れるしか選択肢がない状況である[1]

代替品開発

日本の経済産業省では、2007年より「希少金属代替材料開発プロジェクト」を発足させた。インジウム、ジスプロシウム、タングステンの3つのレアメタルの代替材料を産官共同で開発する計画である。文部科学省も同じく2007年より「元素戦略プロジェクト」を行なっている。代替品開発と希少金属元素の効率的な使用方法開発を目指している[4]


  1. ^ a b c d e 中村 2007 [要ページ番号]
  2. ^ 日経BP 2011, p. 30.
  3. ^ 非鉄製錬におけるマイナーメタルに関するシンポジウム”. 公式ウェブサイト. 一般社団法人 資源・素材学会 (MMIJ) (2017年). 2019年11月7日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 田中 2007 [要ページ番号]
  5. ^ レアメタルは持続可能か カギは「希少さ」より環境負荷朝日新聞2021年1月21日
  6. ^ 「海底レアメタル採掘へ 沖縄・小笠原に深海ロボ」『読売新聞読売新聞社、2011年1月7日。2019年11月7日閲覧。


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