ラキシス (競走馬) 競走馬時代

ラキシス (競走馬)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/20 16:48 UTC 版)

競走馬時代

食欲不振による体重減に悩まされたが、2014年の秋に復調すると、エリザベス女王杯でG1初制覇を果たした[19]

0〜1歳(2010-2011年)

2010年に『マジックストームの2010』(命名される前のラキシス)は北海道・安平町にあるノーザンファームで生まれた。『マジックストームの2010』は生まれたその年に、日本最大の競走馬の競り市セレクトセールに上場され、3000万円で「レディオスコーポレーション」名義で大島昌也が落札した[20][21]。『マジックストームの2010』は、「物語のキャラクター」から名をとって「ラキシス」と命名された[2]。(#関連項目節も参照。)

製造業を営む大島にとって、ラキシスは馬主として3頭目の所有馬だった[20]#血統表節にあるように、翌2011年の秋には、アメリカで従姉妹のドリルがアメリカのG1競走・デルマーフューチュリティステークスに勝った[16]

2歳時(2012年)

ラキシスの初出走は2歳の12月2日に阪神競馬場新馬戦(芝2000m)だった。ラキシスは2.9倍の本命で、スタートしてしばらくは最後方に控えたが、3コーナーから進出して直線で抜け出すと、2着に1馬身1/4差をつけて勝った。この時の騎手は川田将雅で、以後、川田が主戦を務めることになる[22]

ラキシスの2歳時の出走はこの1戦のみだった[23]

3歳時(2013年)

3歳になったラキシスは、2月のすみれステークス(オープン)、4月のフローラステークス(G2)と格上挑戦を続けたが、いずれも着外に敗れた[23][24][注 2]。この時期には食欲が悪く、体重が減るために十分な調教ができなかった[25]

ラキシスは夏場は出走せず、9月に自己条件(1勝クラス)の甲武特別(500万条件・芝2000m)に出走した。ラキシスにとっては初めての古馬との対戦だったが、中団からスムーズに抜け出すと、後続を2馬身半離して勝った。最後の直線では内にもたれて真っ直ぐ走らない面も見せたが、ゴール前では川田騎手が手綱を抑える余裕があった[26]

次走は3歳牝馬三冠戦の最終戦である秋華賞と同日の鳴滝特別(1000万条件・芝2200m)になった[注 3]。鳴滝特別は秋華賞の2つ前のレースで、ラキシスは1.8倍の本命になった。スローペースになって向こう正面では落ち着かない素振りもみせたが、直線へ向くと一番外から余裕をもって抜け出し、ゴール前は余裕を残しての勝利だった[27]。秋2戦は、春に懸念されていた食欲と馬体減の問題が解消し、十分な調教を行っても体重が増えていることが、成果につながったとの評価がなされている[26][27][25]

ラキシスは2連勝で11月のエリザベス女王杯に出走した。春にフローラステークスで大敗した相手であるデニムアンドルビーオークス3着、秋華賞4着の実績だったのに対し、ラキシスはG1初挑戦だったが、「鳴滝特別の勝ち方を見ると秋華賞に出ても勝っていたのではないか」と評するむきもあり[25]、6番人気になった。父ディープインパクトと母の父ストームキャットという配合の組み合わせは、同世代の日本ダービー馬キズナ桜花賞馬アユサンと同じということも、人気を後押しした[25]

スタートすると、ラキシスは外枠から先行し、人気馬は中団から後方へ控える展開になった。なかでも本命のヴィルシーナと2番人気のメイショウマンボは中団にいた。3コーナーから最終コーナーでメイショウマンボが外から追い上げ、ラキシスは2番手で直線に入った。メイショウマンボはゴールまで残り200メートルになったあたりから抜け出し、2着争いは接戦になったが、後方から追い込んだアロマティコを抑えてラキシスが2着に粘りきった[28][29]。優勝馬メイショウマンボとの着差は1馬身1/4(0.2秒差)で、ラキシスはメイショウマンボより3ポイント低い110ポイントのレートを得た[30]

4歳時(2014年)

古馬になったラキシスは、2月の京都記念(G2・2200m)に53キロの斤量で出走し、勝ち馬から0.3秒差の4着になった。3月には中日新聞杯(G3・2000m)で54キロを背負い、マーティンボロとハナ差の2着になった[23]。そのあと、福島県にあるノーザンファーム天栄で休養をしたあと、5月のヴィクトリアマイル(G1・1600m)に出走した[31]。しかし、ラキシスは終始後方のまま、18頭中15着に大敗した[32]。このときラキシスは体重が448キロと、デビュー以来最も減っており、これが敗因の一つと指摘されている[33][34]。レース後、ラキシスは3ヶ月の休養に入った[33][34][16]

ラキシスの復帰戦は9月末のオールカマー(G2・2200m)になった。通常オールカマーは中山競馬場で行われるが、この年は新潟競馬場で行われたため、苦手な長距離輸送となった[33][20]。ラキシスは7番人気とあまり注目されていなかったが、放牧明けのため馬体重は前年エリザベス女王杯2着の時と同じ456キロまで回復していた。ラキシスは序盤から3番手で先行し、最終コーナー手前で後続が外から一気に押し寄せたために直線入り口での順位はやや下げたが、直線に入ると勝ち馬と共に進出した。勝ち馬には半馬身離されたが、僅差で6頭が並んだ争いを制して2着を確保した[35][34]

エリザベス女王杯制覇

ラキシスの次の目標は11月のエリザベス女王杯だった。かねてより体重が減りすぎる傾向にあったため、オールカマーからエリザベス女王杯までの約6週間、ラキシスは馬体の回復に努めながらプール調教を併用し、体重増でエリザベス女王杯当日を迎えた[36][37][38]

ラキシスは前年のエリザベス女王杯では18頭中いちばん外の18番枠だったが、2014年は18頭中いちばん内側の1番枠になった。当年のオークス馬ヌーヴォレコルトが3.3倍の本命になり、前年の優勝馬メイショウマンボが5.6倍で2番人気になったが、ラキシスはG1どころか重賞未勝利の身でありながら差のない3番人気(6.8倍)になった。この2014年の秋競馬では、ここまでのJRAのG1競走全てで重賞未勝利馬が勝っていた。[36][34][20][23][注 4]

スタートすると、人気のヌーヴォレコルトとメイショウマンボが先行し、ラキシスはその直後につけた。ほとんどその体勢のまま最終コーナーまで進み、直線に入るとゴールまで残り300メートルでヌーヴォレコルトが内から先頭へ抜けだした。外をまわったメイショウマンボは早めに失速してしまい、後方にいたディアデラマドレが一番外から一気に追い込んできた。ラキシスは直線に入った時に一瞬できた狭い隙間をうまく抜け、先に抜けだしていたヌーヴォレコルトに迫ると、ゴールの寸前でこれを捉え、クビ差で勝った。ラキシスにとっては初めての重賞勝利がG1となったが、この秋のG1競走で4度続いてきた「重賞未勝利馬が優勝」がまたも現実になった。馬主の大島にとっても初めての重賞制覇で、川田騎手・角居調教師にとってはエリザベス女王杯の優勝は初めてだった[36][20][38][37][注 5]。父馬ディープインパクトからみると、ラキシスは15頭目のG1優勝馬である[39]

5歳時(2015年)

初戦の産経大阪杯に優勝するも、その後は勝ちきれないレースが続きエリザベス女王杯を最後に現役を引退した[4][40]


ラキシス血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系
[§ 2]

ディープインパクト
JPN 2002 鹿毛
父の父
*サンデーサイレンス
Sunday Silence
USA 1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母
*ウインドインハーヘア
IRE 1991 鹿毛
Alzao Lyphard
Lady Rebecca
Burghclere Busted
Highclere

*マジックストーム
Magic Storm
USA 1999 黒鹿毛
Storm Cat
USA 1983 黒鹿毛
Storm Bird Northern Dancer
South Ocean
Terlingua Secretariat
Crimson Saint
母の母
Foppy Dancer
1990 鹿毛
Fappiano Mr. Prospector
Killaloe
Water Dance Nijinsky
Luiana
母系(F-No.) (FN:16-h) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer 5×4*5[注 6] [§ 4]
出典
  1. ^ ラキシス 5代血統表、JBISサーチ、 2015年4月25日閲覧。
  2. ^ [41]
  3. ^ ラキシス 5代血統表、JBISサーチ、 2015年4月25日閲覧。
  4. ^ ラキシス 5代血統表、JBISサーチ、 2015年4月25日閲覧。





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