メトロシデロス・エクスケルサ 人間との関係

メトロシデロス・エクスケルサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/05 09:48 UTC 版)

人間との関係

先住民であるマオリは伝統的に死者と関連付けて神聖視してきた。#分布節で述べられた通り自生地はニュージーランド北島に限られているが、現代ではニュージーランドの至る場所に植栽されているものを見ることが可能である。

民俗

レインガ岬の突端には樹齢800年の pōhutukawa が生える。

ノースランド県北西端の[16]レインガ岬英語版: Cape Reinga)の突端に見られるものは樹齢800年であり、マオリは死者の魂が現世からハワイキ英語版[注 1]に跳び立つ樹と考えられ、タプ英語版マオリ語: tapu)、つまり神聖不可侵あるいはあらかじめ規定された儀式に則った扱いを要する聖なる存在とされた[14][18]。誰かが「ポーフトゥカワの根を滑り降りた」という表現は〈死去した〉という意味となる[10]

また、よく普及している民間伝承としては、花が早咲きすると長く暑い夏になる、というものがある[10][19]

利用

花木

若木は庭木として人気があり、入植者はニュージーランド各地に植栽した[14]。海岸地の庭木、街路樹防風生け垣などに向いている[8]

冨樫 (1972) によれば日本でも栽培された例はあるが、「開花に及ぶ大木は目下見られない. 所々に栽培を見受けるがみな小さく, 栽培はむずかしいようである」と評されている。栽培する場合は水はけの良い土壌と直射日光を必要とする[2]が、逆に言えば水はけがよければ土の種類を問わずよく育つ[3]。冬は温室内に入れ春から室外で管理し[2]、秋に実生するか、初夏に半熟枝を挿して増殖させる[3]挿し木苗は定植後2-3年で開花する[3]。花糸が黄色い園芸品種、アウレア('Aurea')が存在する[6]

木材

本種の濃赤色の材は硬く重いうえに耐朽性もあり、造船や重構造材に用いられる[20]


注釈

  1. ^ Hawaiki。マオリの神話伝説上の故郷にして、死者が帰る地[17]
  2. ^ 直訳すれば「ギンバイカの錆」。学名: Austropuccinia psidii(シノニム: Puccinia psidii[21]中南米およびカリブ海地域を原産とするサビキン目の菌類で、ニュージーランドではケルマデック諸島ラウル島英語版: Raoul Island)において初めて同定され、在来のカヌカ(学名: Kunzea ericoides)、ギョリュウバイ、ラタ(#関連項目を参照)、ramarama(学名: Lophomyrtus bullata)、rohutu(学名: Lophomyrtus obcordata)や外来のフェイジョアユーカリ類といったマオリによって利用されるフトモモ科植物に害を及ぼすことが懸念されている[22]。和訳例としては単に「さび病菌[23] とした例が見られ、この菌による病害の名称は「オヒアさび病」とすることが提案されている[24]

出典

  1. ^ a b Hassler (2018).
  2. ^ a b c d e f g h 冨樫 (1972).
  3. ^ a b c d e f g 藤野 (1989).
  4. ^ 『朝日百科 植物の世界』(1997).
  5. ^ a b 植村猶行「メテロシデーロス」 『日本大百科全書(ニッポニカ)』(コトバンク). 2018年12月11日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l ラッセル (2017).
  7. ^ a b 小学館ランダムハウス英和大辞典 第2版 編集委員会 (1994).
  8. ^ a b c d 坂﨑 (1998).
  9. ^ a b c d e f g リズデイルら (2007).
  10. ^ a b c d ボウラー (2007).
  11. ^ 塩田 (2007).
  12. ^ Māori Dictionary. 2018年12月10日閲覧。
  13. ^ スミソニアン協会 (2012).
  14. ^ a b c d 塩田 (2007).
  15. ^ a b c d ブリッケル (2003).
  16. ^ 由比濱 (2007).
  17. ^ 内藤 (2007b).
  18. ^ 内藤 (2007a).
  19. ^ Clarke (2007:21).
  20. ^ 堀田 (1989).
  21. ^ Kirk (2018).
  22. ^ Lambert et al. (2018:123–4).
  23. ^ 「植物検疫措置に関する国際基準案についての説明会」議事次第 (農林水産省). 2018年12月11日閲覧。
  24. ^ 川西ら (2008).
  25. ^ Fears for sacred Cape Reinga pohutukawa”. NZ Herald (2017年5月11日). 2018年12月11日閲覧。
  26. ^ a b Wotherspoon & Wotherspoon (2002:382).





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