ポルトガル語 語彙

ポルトガル語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/23 00:29 UTC 版)

語彙

参考として、食べ物を表すポルトガル語とラテン語、そして英語の単語を示す。順にポルトガル語、ラテン語、英語、日本語である。

ポルトガル語もスペイン語と同様にアラビア語からの借用語はあるが、スペイン語に比べて少ない。レコンキスタが早期に完了したポルトガルではイスラム教徒の強制改宗や追放などもスペインより早く行われ、それに伴いアラビア語系の借用語も追放されていった。現在でもポルトガル人がスペイン人を指して「あいつ等スペイン人はモーロ人との混血だ」と優越感に浸る事があるという(同様の感情は、アンダルシア、ムルシア人に対するスペインの他の地域の住民の反応にも見られる)。

ポルトガル語の挨拶

  • Bom dia. - おはようございます
  • Boa tarde. - こんにちは
  • Boa noite. - こんばんは、おやすみなさい(両方の意味で用いる)
  • Durma bem. - おやすみなさい
  • Tchau. / Adeus. - さようなら[7]
  • Passe bem. / Fique bem. - お元気で[7]
  • Até amanhã. - また明日[7]
  • Obrigado. (男性形) / Obrigada. (女性形) - ありがとう
  • Tudo bem? - お元気ですか?(「調子はどう?」といった(英語におけるHow are you?のような)挨拶にも用いる)
  • Tudo bem. / Bem. / Mais ou menos. / Mal. / Tudo mal. - 元気です / 良好です / まあまあです / 悪いです / 最悪です
  • (Há) Quanto tempo! - お久しぶりです(Quanto tempo não o vejo!の略)
  • Quem está a falar? (葡) / Quem está falando? (伯) - どちら様ですか?(電話を受けたとき等。直訳すると「誰が話していますか?」)
  • Quem é você? - どちら様ですか?(見知らぬ人と遭遇したとき)
  • Socorro! - 助けて!
  • Pare com isso! - 止めろ!
  • Vem cá! - こっちに来い!

日本語とポルトガル語

在日ブラジル人向けに日本語とポルトガル語が併記されている群馬県大泉町の標識

16世紀中頃にポルトガル人が種子島に漂着した(鉄砲伝来)。それ以来、イエズス会によるキリシタン布教とマラッカマカオを相手とする南蛮貿易(主に近畿から九州地方)において、ポルトガル人が主要な役割を果たした。ポルトガル語は日本に最も早く伝来した西欧の言語の一つであり、この時代に入った文物とともに、名詞などが日本語に定着した(オランダやイギリスといった日本語特有の外国名の慣用も多くがポルトガル語に由来する)。英語フランス語など、主に19世紀以降に流入した外来語はもっぱら片仮名で表記されるのに対し、ポルトガル語由来の借用語は漢字の当て字や平仮名で表記する名詞も多く、深い浸透が伺える。アゴスティニョ(小西行長)、内藤如安細川ガラシャなど、当時のキリシタンの洗礼名もポルトガル語に由来する。

1603年から1604年にかけて長崎でイエズス会によって出版された『日葡辞書』は、出版されたものとしては最古の日葡辞典であり、当時の日本語の語彙や発音を知る上で貴重な資料となっている。

16世紀末から、マニラ貿易およびフランシスコ会ドミニコ会などの布教活動を通じてスペイン人との接触も密になった。そのため、ポルトガル語とスペイン語には同源・同形の単語も多いのでいずれが起源か判別しがたく、両者から同時に広まった可能性が高いものもある。

ポルトガル語から日本語への借用の例

日本語 漢字による当て字 ポルトガル語 備考
アルヘイトウ 有平糖 alféloa アルフェニン(alfenim)」に由来するという説もある。
イギリス 英吉利 Inglez
イルマン 伊留満、入満、由婁漫 irmão 助修士、平修道士。バテレンの下。
オラショ oratio
オランダ 和蘭陀 Holanda
オルガン órgão
カッパ 合羽 capa
カボチャ 南瓜 abóbora 「ぼうぶら」「ボーボラ」などの地方名も、ポルトガル語でカボチャやウリ類を意味する「abóbora」に由来するとされる。
カステラ castella
カピタン 甲比丹 capitão
カルタ 歌留多 cartas
カルメラキャラメル caramelo
ギヤマン diamante 元は原義と同じくダイヤモンドを意味し、切子細工にそれを用いたことに由来する。
キリシタン 切支丹 cristão
ギリシャ Grécia
キリスト Cristo
クルス 久留子 cruz
コレジオ collegio
コロッケ croquete オランダ語に由来するという説もある。
コンペイトー 金平糖 confeito
サラサ 更紗 saraça
ザボン 朱欒、謝文 zamboa
シャボン sabão
ジバン 襦袢 gibão
ジョウロ 如雨露 jarro 異説あり。
セミナリヨ seminário
タバコ 煙草 tabaco
チャルメラ charamela
チョッキ jaque 英語の「jacket」に由来するという説もある。
デウス deus
テンプラ 天麩羅、天婦羅 tempero 当時のイエズス会宣教師達が行なっていた肉を断食する儀式、またその時期に食べていた精進料理に似た揚げ物「Têmporas」に由来するという説もある。
トタン tutanaga
トルコ 土耳古 Turco
ノビシャド noviciado
バテレン 伴天連、破天連 padre
バッテラ bateira
パン 麺麭 pão
バンコ banco 縁台、腰掛けを指す九州地方の方言。
ビードロ vidro ビー玉も同語源。
ビスケット biscoito
ビルマ Birma オランダ語に由来するという説もある。
ビロード veludo
ピン pinta 「賽の目の一の数」「最上等のもの」を意味する方。ピン芸人はこれに由来。
フラスコ frasco
ブランコ balanço 擬態語の「ぶらり」や「ぶらん」に由来するという説もある。
ベランダ varanda
ボーロ bolo
ボタン botão
先斗町 ponto 「先(岬のように尖った地形)」を意味する「ponta」に由来するとも言われる。
マルメロ marmelo
マント manto オランダ語の「mantel」が先に由来したという説もある。
ミイラ 木乃伊 mirra
メリヤス 莫大小 meias
モール mogol
ラシャ 羅紗 raxa
ランビキ alambique
ロザリオ rosário



ポルトガル語の分布
ポルトガル語の話される地域
国または地域 母語話者
話者 人口
(2005年)
アフリカ州
アンゴラ[表1 1][表1 2] 60% 約80% 11,190,786
カーボベルデ[表1 3] 4% 72% 418,224
ギニアビサウ[表1 4][表1 5] 不明 14% 1,416,027
モザンビーク[表1 1] 9% 40% 19,406,703
サントメ・プリンシペ[表1 4][表1 3] 50% 95% 187,410
赤道ギニア[表1 4][表1 3] 50% 95% 523,040
非公式:
ナミビア[表1 4][表1 6] 20% 20% 2,030,692
南アフリカ共和国[表1 6] 2% 2% 44,344,136
アジア州
日本[表1 7] 0 0.21% 127,214,499
東ティモール[表1 4] 不明 15% 1,040,880
中華人民共和国マカオを含む) 2% 3% 1,395,380,000
非公式:
ダマンとディーウ, インド[表1 4] 10% 10% 不明
ゴア, インド 3-5% 5% 不明
ヨーロッパ州
ポルトガル 100% 100% 10,566,212
非公式:
ルクセンブルク[表1 6] 14% 14% 468,571
アンドラ[表1 7] 4-13% 4-13% 70,549
フランス[表1 7] 2% 2% 60,656,178
スイス[表1 7] 2% 2% 7,489,370
アメリカ州
ブラジル 98-99% 100% 194,000,000
非公式:
パラグアイ[表1 7] 7% 7% 6,347,884
バミューダ[表1 7] 4% 4% 65,365
ベネズエラ[表1 7] 1-2% 1-2% 25,375,281
カナダ[表1 7] 1-2% 1-2% 32,805,041
オランダ領アンティル[表1 7] 1% 1% 219,958
アメリカ合衆国[表1 7] 0.5-0.7% 0.5-0.7% 295,900,500
  1. ^ a b 公式統計、モザンビーク - 1997年; アンゴラ - 1983年
  2. ^ ポルトガル語系ピジン言語と簡易ポルトガル語が共通語として他部族とのやり取りに使われている。アンゴラ人の30%はポルトガル語のみを解するモノリンガルである。他の国民もポルトガル語を第二言語とする。
  3. ^ a b c ポルトガル語系クレオール言語の話者数
  4. ^ a b c d e f 政府、カトリック教会による予測
  5. ^ ポルトガル語系クレオール言語話者の大部分
  6. ^ a b c 公的なポルトガル語教育
  7. ^ a b c d e f g h i j 移民の人数から
  1. ^ 「事典世界のことば141」p459 梶茂樹・中島由美・林徹編 大修館書店 2009年4月20日初版第1刷
  2. ^ Cruz-Ferreira (1995:91)
  3. ^ Sobre os Ditongos do Português Europeu. Carvalho, Joana. Faculdade de Letras da Universidade do Porto. ページ 20. 引用: A conclusão será que nos encontramos em presença de dois segmentos fonológicos /kʷ/ e /ɡʷ/, respetivamente, com uma articulação vocálica. Bisol (2005:122), tal como Freitas (1997), afirma que não estamos em presença de um ataque ramificado. Neste caso, a glide, juntamente com a vogal que a sucede, forma um ditongo no nível pós-lexical. Esta conclusão implica um aumento do número de segmentos no inventário segmental fonológico do português.
  4. ^ Bisol (2005:122). 引用: A proposta é que a sequencia consoante velar + glide posterior seja indicada no léxico como uma unidade monofonemática /kʷ/ e /ɡʷ/. O glide que, nete caso, situa-se no ataque não-ramificado, forma com a vogal seguinte um ditongo crescente em nível pós lexical. Ditongos crescentes somente se formam neste nível. Em resumo, a consoante velar e o glide posterior, quando seguidos de a/o, formam uma só unidade fonológica, ou seja, um segmento consonantal com articulação secundária vocálica, em outros termos, um segmento complexo.
  5. ^ http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7405985.stm
  6. ^ http://www.afpbb.com/articles/-/2704072 「ポルトガル語圏で「ブラジル式」に表記統一へ、国民は混乱」 AFPBB 2010年03月02日 2015年6月20日閲覧
  7. ^ a b c ブラジルでは「さようなら」の挨拶としては「Tchau.」をよく用いる。「Adeus.」はポルトガルでの「さようなら」の挨拶で、ブラジルでは永遠の別れを意味するので使用は控えたほうがよい。「Passe bem.」、「Fique bem.」は「ごきげんよう」といった挨拶で、ややフォーマル。「Até amanhã.」は直訳すると「明日まで」で、次も会うことが決まっている場合。「また来週」なら「Até semana que vem.」(直訳すると「来たる週まで」)。
  8. ^ Cabo Verdeは本来ポルトガル語 (緑の岬 の意味)だが、スペイン語でも同じCabo Verdeである。スペイン語、ポルトガル語両方ともCaboは"岬"、Verdeは"緑色の"という意味である。





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