ホビット 思いがけない冒険 キャスト

ホビット 思いがけない冒険

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/28 18:11 UTC 版)

キャスト

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製作

ピーター・ジャクソン監督・脚本・製作による『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(2001年 - 2003年)が商業的、批評的に成功した数年後、J・R・R・トールキンの小説『ホビットの冒険』(1937年)の映画化企画に入った。ジャクソンは当初、製作にまわり、ギレルモ・デル・トロが『ホビット』2部作を監督する予定であった[4]。デル・トロはジャクソンら製作チームと共に約2年の作業に係わるが、2010年5月にメトロ・ゴールドウィン・メイヤーの財政難問題で撮影開始が遅れていることを理由に監督を降板した[5]。同年10月にジャクソンが監督することが発表された[5]

『ホビット』シリーズは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのように全作分一気に撮影される。主要撮影は2011年3月21日にニュージーランドで始まり[6]、266日の撮影を経て、2012年7月6日に完了した[7]。『思いがけない冒険』のピックアップ英語版も同様に2012年7月に行われた[8]。『思いがけない冒険』の作業はウェリントンでのプレミアの2日前の11月26日まで行われた[9]

ストーリー

  • 物語はシリーズ初の回想形式で進行し、ビルボがフロド宛に自身の冒険談を本に書いて残すという形式になっている。実際は劇中に何度か現在のビルボを登場させるつもりだったが、2時間40分と長尺なことや、映画のテンポを考慮して、現在のビルボは冒頭の登場のみに留まっている。
  • 前シリーズよりもより原作に忠実な部分が多い。ビルボの旅と同時に冥王サウロンの復活の予兆、エルフ族とドワーフ族との対立に至るまでの過程も描かれる。

キャラクター、キャストなど

  • 前シリーズの重要人物で原作には登場しないキャラクターとしてフロド、ガラドリエル、サルマンがわずかに登場する。
  • ラダガストは原作に名前が登場するのみだったが、本作で重要な役割を担う。「泥棒!火事だ!人殺し!」という台詞は、原作でスマウグがビルボにカップを盗まれたのに気づいた時の叫び声であり、原作ファンにしかわからないお遊び。
  • トーリン[10]、バーリンは『ロード・オブ・ザ・リング』で名前のみ登場している。グローインは『ロード・オブ・ザ・リング』で裂け谷の会議に参加している。
  • ビルボ一行を捕らえるトロルの3人組は『ロード・オブ・ザ・リング』にもわずかに登場する。誕生会でビルボが子供たちに語っていたエピソードもこれである。
  • オークの首領アゾグは原作では『指輪物語・追補編』に登場する。こちらではモリアの戦いで本当に死んでおり(殺したのはトーリンではなくダインという違いがある)オーク軍の指揮官として登場するのは息子のボルグである。映画オリジナルに脚色してトーリンの宿敵として登場させた。
  • 太古の竜スマウグの目玉は冥王サウロンの目に意図的に酷似させている。

音楽

ホビット 思いがけない冒険
ハワード・ショアサウンドトラック
リリース
録音 2011-12年
時間
レーベル ウォータータワー・ミュージック英語版デッカ・レコード
プロデュース ハワード・ショア
テンプレートを表示

『思いがけない冒険』の音楽はハワード・ショアが作曲した。2012年12月11日にオリジナルサウンドトラック盤が発売された[11]。通常版と特別版の2種類が発売され、どちらも2枚組である[12]。録音はロンドンのアビー・ロード・スタジオで行われた[9]。『ロード・オブ・ザ・リング』の一部の音楽が再利用されている[13]

通常版

Disc 1
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「新愛なるフロド」  
2.「旧友」  
3.「思いがけないお客たち」  
4.「斧か剣か?」  
5.「霧ふり山脈」(歌: リチャード・アーミティッジとドワーフ・キャスト)  
6.「冒険のはじまり」  
7.「世界が待っている」  
8.「いにしえの敵」  
9.「茶のラダガスト」  
10.「ヒツジのあぶり肉」  
11.「トロルのお宝」  
12.「死人遣いの丘」  
13.「ワーグの斥候」  
Disc 2
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「隠れ谷」  
2.「月光文字」  
3.「穢れの王」  
4.「白の会議」  
5.「山の上」  
6.「雷合戦」  
7.「山の底」  
8.「くらやみでなぞなぞ問答」  
9.「真鍮のボタン」  
10.「一難去って」  
11.「吉兆」  
12.「はなれ山の歌」(歌: ニール・フィン英語版)  
13.「袋小路屋敷を夢見ながら」  

特別版

特別版では6曲が拡張され、ボーナストラックが6曲追加された。

Disc 1
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「My Dear Frodo」  
2.「Old Friends」(拡張版)  
3.「An Unexpected Party」  
4.「Blunt the Knives」(歌: ドワーフ・キャスト、追加されたボーナストラック)  
5.「Axe or Sword?」  
6.「Misty Mountains」(歌: リチャード・アーミティッジとドワーフ・キャスト)  
7.「The Adventure Begins」  
8.「The World is Ahead」  
9.「An Ancient Enemy」  
10.「Radagast the Brown」(拡張版)  
11.「The Trollshaws」(追加されたボーナストラック)  
12.「Roast Mutton」(拡張版)  
13.「A Troll-hoard」  
14.「The Hill of Sorcery」  
15.「Warg-scouts」  
Disc 2
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「The Hidden Valley」  
2.「Moon Runes」(拡張版)  
3.「The Defiler」  
4.「The White Council」(拡張版)  
5.「Over Hill」  
6.「A Thunder Battle」  
7.「Under Hill」  
8.「Riddles in the Dark」  
9.「Brass Buttons」  
10.「Out of the Frying-Pan」  
11.「A Good Omen」  
12.「Song of the Lonely Mountain」(performed by Neil Finn、拡張版)  
13.「Dreaming of Bag End」  
14.「A Very Respectable Hobbit」(追加されたボーナストラック)  
15.「Erebor」(追加されたボーナストラック)  
16.「The Dwarf Lords」(追加されたボーナストラック)  
17.「The Edge of the Wild」(追加されたボーナストラック)  

配給

マーケティング

1本目の予告編は2011年12月21日、ジャクソンが製作した映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』のアメリカ合衆国での上映時に公開され[14]、また同日にインターネットでも公開された[15]

ジャクソン、フリーマン、マッケラン、アーミティッジ、アーキス、ウッド、フィリッパ・ボウエンらは2012年のコミコン・インターナショナルでプロモーションのために登場し、また12分のフッテージが上映された[16]

2012年10月8日、『思いがけない冒険』のプレミアが行われるウェリントン市長のセリア・ウェイド=ブラウン英語版は、1週間限定で都市名を「Middle of Middle-earth」に改名することを発表した[17]

封切り

ワールド・プレミアが行われたウェリントンのエンバシー・シアター外に設置されたスタンディ。

ワールドプレミアは2012年11月28日にニュージーランドのウェリントンで行われた[18]。ニュージーランドでは2012年12月12日に公開された。ヨーロッパでは12月13日、インド、カナダ、アメリカ合衆国、日本では14日[19][20]、オーストラリアでは26日(ボクシング・デー)に公開される。2012年12月12日には第65回ロイヤル・フィルム・パフォーマンス英語版で上映される[21]

約10万人がこの映画のプレミアのためにコートニープレイスのレッドカーペットを並んだと言われ、イベント全体はニュージーランドのテレビ中継だけでなく、インターネットでストリーミングもされた[22]

ホームメディア

ワーナー・ブラザースは2013年第4四半期にエクステンデッド版のBlu-rayとDVDを発売する予定である[23][24]

日本での発売アイテム

発売元はワーナー・ホーム・ビデオ

  • 【初回限定生産】ホビット 思いがけない冒険 ブルーレイ&DVDセット(3枚組、2013年4月17日発売)
  • 【初回限定生産】ホビット 思いがけない冒険 3D&2D ブルーレイセット(4枚組、2013年4月17日発売)
  • ホビット 思いがけない冒険 DVD(1枚組、2013年4月17日発売)
  • 【初回限定生産】ホビット 思いがけない冒険 エクステンデッド・エディション Blu-ray(5枚組、2013年11月13日発売)
  • 【初回限定生産】ホビット 思いがけない冒険 エクステンデッド・エディション DVD(5枚組、2013年11月13日発売)

興行収入

2013年3月9日時点で全世界で10億149万5997ドルを売り上げている[2]

アメリカ合衆国とカナダでは2012年12月14日に4000館以上で封切られ、初日深夜に1300万ドル、初日全体で3750万ドルを売り上げ[25]、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の3450万ドルという12月の初日興行収入記録を塗り替えた[26]。初週末3日間では8460万ドルを売上げ、『アイ・アム・レジェンド』(7720万ドル)を超えて、12月公開作品としては歴代最高の初動成績となった[27][28]


注釈

  1. ^ 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでガンダルフの日本語吹き替えを務めた有川博が2011年に逝去しているため。
  2. ^ 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでは「長島雄一」名義。

出典

  1. ^ THE HOBBIT - AN UNEXPECTED JOURNEY (12A)”. British Board of Film Classification (2012年11月29日). 2012年11月29日閲覧。
  2. ^ a b The Hobbit: An Unexpected Journey”. Box Office Mojo. 2020年8月10日閲覧。
  3. ^ 2013年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟 2020年8月10日閲覧。
  4. ^ Netburn, Deborah (2008年4月24日). “Guillermo del Toro to direct 'The Hobbit' and sequel”. Los Angeles Times. 2012年9月22日閲覧。
  5. ^ a b Alexander, Bryan (2010年11月5日). “Guillermo del Toro on Losing the 'Hobbit': 'I Have a Huge Heartbreak'”. The Hollywood Reporter. 2012年9月22日閲覧。
  6. ^ Trumbore, Dave (2011年3月20日). “Production Officially Begins on Peter Jackson’s ''The Hobbit; Plus Two New Images and the Official Synopsis”. Collider. 2012年9月22日閲覧。
  7. ^ Zakarin, Jordan (2012年7月6日). “'The Hobbit' Completes Filming, Peter Jackson Posts Facebook Message (Photo)”. The Hollywood Reporter. 2012年9月22日閲覧。
  8. ^ Masters, Kim (2012年8月1日). “No One Knows How Much Peter Jackson's New 'Hobbit' Film Will Cost”. The Hollywood Reporter. 2012年9月22日閲覧。
  9. ^ a b Watercutter, Angela (2012年11月26日). “Peter Jackson Races to Complete The Hobbit in Time for Premiere”. Wired. 2012年11月28日閲覧。
  10. ^ 未公開シーンを収録して再編集したスペシャル・エクステンデッド・エディションに登場。
  11. ^ Vlassoff, Nadya. “The Hobbit Soundtrack Cover Art and Track Details Revealed”. DeadBolt. 2012年11月18日閲覧。
  12. ^ "The Hobbit: An Unexpected Journey" soundtrack will be released at all retailers on December 11”. Salt Lake Tribune. 2012年11月18日閲覧。
  13. ^ Morgan, Bobby. “Howard Shore’s ‘The Hobbit: An Unexpected Journey’ Score Streaming For Free”. Geeks of Doom. 2012年11月18日閲覧。
  14. ^ Eames, Tom (2011年12月16日). “'The Hobbit' trailer confirmed to air before 'Tintin' in US”. Digital Spy. 2012年9月22日閲覧。
  15. ^ Chaney, Jen (2011年12月20日). “‘The Hobbit’ trailer: Once more into Middle-earth”. Washington Post. http://www.washingtonpost.com/blogs/celebritology/post/the-hobbit-trailer-once-more-into-middle-earth/2011/12/20/gIQAN9dJ8O_blog.html 2012年9月22日閲覧。 
  16. ^ Vary, Adam B. (2012年7月14日). “'The Hobbit' Comic-Con panel: Peter Jackson gifts a bounty of footage upon Hall H”. Entertainment Weekly. 2012年9月25日閲覧。
  17. ^ “Wellington: The Middle of Middle-Earth”, The New Zealand Herald, (8 October 2012), http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=10839152 2012年10月23日閲覧。 
  18. ^ Bulbeck, Pip (2012年6月6日). “New Zealanders to See 'The Hobbit: An Unexpected Journey' on Nov. 28”. The Hollywood Reporter. 2012年9月24日閲覧。
  19. ^ Facebook 'The Hobbit UK' annoucement(19 October 2012). "[1]."
  20. ^ McClintock, Pamela (2012年8月31日). “Third 'Hobbit' Film Sets Release Date”. The Hollywood Reporter. 2012年8月31日閲覧。
  21. ^ Kemp, Stuart (2012年9月24日). “'The Hobbit: An Unexpected Journey' Gets Royal Appointment”. The Hollywood Reporter. 2012年9月24日閲覧。
  22. ^ “Live Stream of the Hobbit Premiere”. 3 News NZ. (2012年11月28日). http://www.3news.co.nz/Entertainment/TheHobbit/Livestream.aspx 
  23. ^ Warner Bros. confirms Hobbit extended edition” (2012年10月5日). 2012年10月5日閲覧。
  24. ^ THE HOBBIT Extended Edition Confirmed for 2013; Plus DARK KNIGHT TRILOGY Collector's Edition Set for Q3 2013 Release” (2012年10月5日). 2012年10月5日閲覧。
  25. ^ Box office update: 'The Hobbit' earns $13.0 million at midnight showings”. Entertainment Weekly. 2012年12月16日閲覧。
  26. ^ Friday Report: 'The Hobbit' Steals $37.5 Million”. Box office Mojo. 2012年12月15日閲覧。
  27. ^ Weekend Report: 'Hobbit' Takes December Record, Misses $100 Million”. Box Office Mojo. 2012年12月17日閲覧。
  28. ^ Box office report: 'The Hobbit' breaks December record with $84.8 million weekend”. Entertainment Weekly. 2012年12月16日閲覧。


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