ピール地区教育委員会 民族的・文化的な許容度

ピール地区教育委員会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/23 06:23 UTC 版)

民族的・文化的な許容度

カナダの学区において、ピール委員会は最も民族的・文化的に多様性がある。ピール地区教育委員会は、様々な文化や民族集団を受け入れて包括することを意図した手続きや方針を制定しており、教育委員会理事ブライアン・ウッドランドはこの地区では多様な宗教が受け入れられていると語った[12]。様々な背景の学生を収容するために、教育委員会はカリキュラムを随時変更している。 例えば、宗教・文化的背景から学生が人物を描くことを禁じられている場合、学校は美術のカリキュラムを変更する。ピール地区は、学生が教室でもキルパン英語版[注釈 1]を着用できるようにした、カナダで最初の教育委員会のひとつである。当教育委員会は、宗教指導者が学校内で礼拝式典を執り行うことは認めていない[12]

プログラム

成人と継続教育

ピール委員会は、様々な成人用プログラムを昼夜と週末に提供している[13] 。中学校のディプロマ(学位)修業を目指す成人を支援するクレジットプログラム、英語能力の発展向上を目指す成人を支援するアダルトESLプログラム、特定の技能向上を目指す成人を支援するリテラシー&基礎スキルコースなどがある。

2011年に設計された、(移民の)新カナダ人が教職に就くことを支援する外国人教師養成コースは、メディアでも報じられた[14]

ピール委員会はまた、学齢者向けの国際語学プログラムも週末に提供している[15]。中等段階では、中学校のディプロマに向けて単位を取得することが可能である。生徒達は、夜間学校や夏季学校、語学や数学の支援、オンライン教室にもアクセス可能である[16]

代替プログラム

ピール委員会のオルタナティブ校 (PAS) では、学生の個々の要望に合わせて設計された多彩な代替プログラムを提供している。 以下のプログラムがある。

  • 「基盤プログラム(Foundations Program)」-は9学年と10学年の学業を満たしていない高校3年生[注釈 2]のためのプログラム。小規模の学級と個別指導で、学期ごとに3単位の取得を行うもの。
  • 「休学・退学でのフレッシュスタートプログラム(Fresh Start Suspension and Expulsion Programs )」-はピール委員会の学校から休学退学になった学生のうち、行動を変える(再び学びたい)意欲がある者が、フレッシュスタートに参加できる。このプログラムを通して、学生たちは学業を続ける一方で、学校や地域社会の集団関係でうまくやっていくのに必要な技能を学ぶ。
  • 「中学・高校の代替プログラム(Junior High, Intermediate, and Senior Alternative Programs)」-は学校から落伍してしまう(授業についていけなくなる)危険のある生徒を対象としている。小規模の学級と個別指導を通じて、学校や社会に対する社会的スキルや態度を改善向上させる。
  • 「監督されつつの代替学習(Supervised Alternative Learning、SAL)」-は様々な理由により学校を中退してしまう危険がある、14歳から17歳の生徒向けのプログラムである。SALは、オンタリオ州の中学校のディプロマを取得したり、その他の教育的・個人的な目標を達成するための取り組みを支援するために作られた。
  • 「一時的な外部学習リンク(Temporary External Learning Link、TELL)」-は少なくとも高校3年生(日本の学校教育でいう高校2年生)を対象としている。これらの学生は、家庭や仕事の約束のために柔軟なスケジュールを必要としている。
  • 「ティーン教育と母性プログラム(Teen Education and Motherhood Program、TEAM)」-は14歳から20歳、9学年から12学年で妊娠または子供がいる学生を対象としている。学業プログラムは、各学生のニーズを満たすために個別化されている。子育てに焦点が当てられており、生徒たちはピール地区の看護婦により実施される毎週のワークショップ(体験講座)に参加している。

地域プログラム

地域プログラムは、6学年、7学年(日本でいう小学校6年、中学1年)あたりから始まる。地域プログラムの学生は、オンタリオ州のカリキュラムの全要件を満たしつつも、自分の興味のある分野を重点学習できる (秋に翌年受けるカリキュラム選択がある)。分野としては、芸術、フレキソ印刷国際バカロレアアドバンスト・プレイスメント、国際ビジネス、科学技術、スポーツ、弦楽器、などがある。

フランス語浸け

フランス語イマージョン・プログラムは1学年から始まり、エクステンディド・フレンチ[注釈 3]は7学年より始まる。ピール委員会は、フランス語浸けにすることが子供のために適切かどうかを決める方法およびフランス語学習に関するその他情報について、オンライン情報を保護者に提供している[18]

専門家の高技能プログラム

専門家の高技能を学べる主要プログラムは11学年(日本でいう高校2年)から始まり、以下の分野で提供されている。

  • 芸術
  • ビジネスと起業の研究
  • 建設業
  • 環境
  • 健康とウエルネス
  • 接客業と観光業
  • 情報通信技術
  • 司法、地域社会の安全と緊急サービス
  • 製造業
  • スポーツ
  • 運輸業

地域強化プログラム

ピール地区教育委員会はIELC地域強化プログラムを運営している。これはギフテッド教育プログラムで、「正規の学校プログラムで通常提供されるものを超えた深さと幅の、差別化された学習経験を必要とする、尋常ではないほど高度な全般的知能[19]」を有する、と定義づけられる生徒が対象となる。

中学校段階の強化プログラムのカリキュラムには、このギフテッドに挑戦するための特別な課題やプロジェクトが含まれる。高等学校の段階では、コース教材は同じだが、教授法と課題は生徒のニーズに応じて異なる 。

ピール地区には強化センターとして指定された高等学校が5校あり、9学年から12学年までの強化プログラムとカリキュラムを提供している[20]。強化コースの詳細は学校によって異なるが、ほとんどの学校では強化の核となる必須コースが提供される。強化コースの学生のためのバスと交通は当教育委員会によって提供される[20]

中学校ランキング

ピール地区教育委員会はフレーザー研究所英語版ランキング制度[注釈 4]を正式にサポートしておらず、学校のランク付けをしていない。同研究所による最新ランキングはフレーザーのウェブサイトで確認できる。


  1. ^ シーク教の戒律で常に着用が義務付けられている、信仰の証としての短剣。
  2. ^ 北米は学校教育が5.3.4制なので注意。日本の6.3.3制で例えると、これは中学3年と高校1年の学業を満たしていない「高校2年生」を指す。詳細はアメリカ合衆国の教育を参照。
  3. ^ いくつか他の教科(例えば体育)を、フランス語で教わることを言う[17]
  4. ^ カナダの公共政策シンクタンクであるフレーザー研究所が定期的に調査発表する、各学校の学術的な格付け報告書(School Report Cards)のこと。
  1. ^ a b Budget201415”. Peel District School Board. Peel District School Board. 2016年7月4日閲覧。
  2. ^ Peel board names Peter Joshua as new director of education”. Peel District School Board. 2016年5月25日閲覧。
  3. ^ Peel District School Board”. Peelschools.org (2011年9月30日). 2012年6月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月12日閲覧。
  4. ^ ONTARIO REGULATION 107/08”. e-Laws, Ontario (2008年4月24日). 2012年6月10日閲覧。
  5. ^ Work In Peel Why you should consider a career with us”. Peel District School Board. 2012年6月10日閲覧。
  6. ^ Work In Peel Associate Director of Operational Support Services/Treasurer”. Peel District School Board. 2012年6月8日閲覧。
  7. ^ Peel District School Board (2006年9月1日). “School board to launch websites in 25 languages”. The Brompton News 
  8. ^ Peel board launches "new public signature" Visual identity reflects diversity, student-focus of schools”. Peel District School Board (2005年9月6日). 2012年6月11日閲覧。
  9. ^ welcome centres http://www.peelschools.org/englishHTML/welcome/index.htm
  10. ^ Toronto Sun article http://www.torontosun.com/2011/11/07/mississauga-high-school-cancels-muslim-prayers)
  11. ^ 2011 annual report http://www.peelannualreport.com/
  12. ^ a b Aubin, Benoit and Jonathon Gatehouse. "Do immigrants need rules? The debate rages on." Maclean's. March 5, 2007. Retrieved on October 11, 2012.
  13. ^ Alternative Programs: Adult Education”. Peelschools.org. 2012年6月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月12日閲覧。
  14. ^ Course for foreign teachers”. BramptonGuardian Article (2011年3月7日). 2012年6月12日閲覧。
  15. ^ Alternative Programs: International Languages”. Peelschools.org. 2012年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月12日閲覧。
  16. ^ Alternative Programs: Continuing Education”. Peelschools.org. 2012年6月12日閲覧。
  17. ^ 伊東治己「カナダのイマージョン教育の成功を支えた教授学的要因に関する研究」『鳴門教育大学研究紀要』第22巻、2007年、138-160頁。156頁の解説より。
  18. ^ www.peelschools.org/parents/facts/french.htm
  19. ^ Getting to know special education programs and services”. Peel District School Board. 2011年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月7日閲覧。
  20. ^ a b Enhanced Programs at Secondary Schools in the Peel public board and the Dufferin Peel Catholic separate board”. Association for Bright Children - Peel Chapter. 2011年6月7日閲覧。
  21. ^ Grewal, San (2011年2月4日). “Tribunal to probe Peel school board discrimination”. Toronto Star. https://www.thestar.com/news/crime/2011/02/04/tribunal_to_probe_peel_school_board_discrimination.html 
  22. ^ Research Report: Hiring and Promotion at the Peel District School Board”. Peel Schools. Turner Consulting Group (2013年1月22日). 2018年12月23日閲覧。
  23. ^ a b c d Brown, Louise (2013年1月23日). “Peel school board launches plan to hire on the basis of merit, not nepotism”. The Star. https://www.thestar.com/yourtoronto/education/2013/01/23/peel_school_board_launches_plan_to_hire_on_the_basis_of_merit_not_nepotism.html 


「ピール地区教育委員会」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ピール地区教育委員会」の関連用語

ピール地区教育委員会のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ピール地区教育委員会のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのピール地区教育委員会 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS