ヒトリシズカ 特徴

ヒトリシズカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/24 20:03 UTC 版)

特徴

横に這う短い地下茎から、数本から多数のが直立する多年草であり、高さ10–50センチメートル (cm)[3][14][4]。若い茎はふつう赤紫色であり (下図2a)、後に緑色になる[3][14]。茎の下部3–4節には三角形または広卵形の膜質の鱗片葉 (長さ4–5ミリメートル (mm)) がつき、上部の2節に大型の葉が十字対生する[3][14]。この2節間は非常に狭いため、4枚の葉が輪生しているように見える[3][4] (下図2b)。葉の葉柄は 0.5–1.5 cm、葉身は楕円形、卵状楕円形または広楕円形、4–14 × 2–8 cm、表裏とも無毛で薄いが光沢があり、先端は急に狭まり細く尖り、基部は鋭形、葉縁には鋭い鋸歯がある[3][14] (下図2b, c)。葉脈は羽状、側脈は6–8対[14]

2a. 若い茎はふつう赤紫色
2b. 2対の十字対生した葉
2c. 葉

花期は4–5月、密にをつけた1本 (まれに2本) の穂状花序が頂生する[3][14] (上図2b, 下図3a)。花序は花期には 1–2 cm、果期には伸長して 2–3 cm になる[3][14]。花は両性、花被を欠き、は半円形から三角形で長さ 0.5 mm、先端が平らまたは浅く2–3裂している[3][14]雌しべ子房の側面 (背軸側) に雄しべがついている。雄しべは白色、3個が基部で合着し (1個の雄しべが3裂したともされる[15])、3本の葯隔が糸状に伸びる (長さ 3–5 mm)[3][14] (下図3a, b)。ふつう中央の葯隔にはがなく、左右の葯隔の基部外側にそれぞれ1個の黄色の葯がある[3][14] (下図3a, b)。雌しべの子房は長さ約 1 mm、柱頭は切形[3] (下図3a, b)。果期は5–6月、果実は淡緑色、球形で長さ 2.5–3 mm[3][14]。染色体数は 2n = 30[16]

3a. 花序
3b. 花序
3c. 花後

注釈

  1. ^ a b 真の Chloranthus japonicusフタリシズカ (Chloranthus serratus) のシノニムとされる[13]
  2. ^ もともとは同属のフタリシズカの漢名である[10][11]

出典

  1. ^ a b c d e Chloranthus quadrifolius”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年8月14日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ヒトリシズカ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年4月4日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n 米倉浩司 (2015). “センリョウ科”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 52–53. ISBN 978-4582535310 
  4. ^ a b c d e 林弥栄 & 門田裕一 (監修) (2013). “ヒトリシズカ”. 野に咲く花 増補改訂新版. 山と渓谷社. p. 22. ISBN 978-4635070195 
  5. ^ "吉野静". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年8月14日閲覧
  6. ^ "眉掃草". 動植物名よみかた辞典 普及版. コトバンクより2021年8月14日閲覧
  7. ^ "蛍草". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2021年8月14日閲覧
  8. ^ a b c d e はかなくも可憐な花「ヒトリシズカ」”. 養命酒製造株式会社 (2019年4月). 2021年8月14日閲覧。
  9. ^ a b "ヒトリシズカ". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年7月14日閲覧
  10. ^ a b Chloranthus serratus”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月15日閲覧。
  11. ^ "及己". 動植物名よみかた辞典 普及版. コトバンクより2021年8月13日閲覧
  12. ^ 牧野富太郎 (1961). 牧野 新日本植物図鑑. 北隆館. pp. 74 
  13. ^ Chloranthus serratus”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年8月14日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l 大森雄治 (1999). “日本のドクダミ科・コショウ科・センリョウ科植物”. 横須賀市博物館研究報告 自然科学 46: 9-21. NAID 40003710131. 
  15. ^ Kong, H. Z., Chen, Z. D. & Lu, A. M. (2002). “Phylogeny of Chloranthus (Chloranthaceae) based on nuclear ribosomal ITS and plastid trnL‐F sequence data”. American Journal of Botany 89 (6): 940-946. doi:10.3732/ajb.89.6.940. 
  16. ^ a b Chloranthus japonicus”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年8月15日閲覧。
  17. ^ ヒトリシズカ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2022年7月18日閲覧。
  18. ^ ヒトリシズカ”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2021年8月14日閲覧。
  19. ^ 堀田清・野口由香里. “ヒトリシズカ”. 薬用植物園. 北海道医療大学. 2021年4月23日閲覧。


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