パルプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/01 04:32 UTC 版)
製法
パルプは製法によって、機械パルプと化学パルプに大別される。
機械パルプ
物理的な力で木材を破砕することでパルプ化する方法で、できたパルプを機械パルプ「MP」(Mechanical Pulp)と呼ぶ。種類には砕木パルプ(GP、Ground Pulp)、 リファイナーグランドパルプ(RGP、Refiner Ground Pulp)、サーモメカニカルパルプ(TMP、Thermo-Mechanical Pulp)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP、Chemi-Thermo-Mechanical Pulp)などがある。パルプ繊維が剛直であるのが特徴である。また、繊維中にリグニンなどを大量に含むので、長時間保存すると褪色する。その代わり、木材からのパルプ収率は80パーセント程度と高い。
化学パルプ
化学的な反応で、木材(チップへの破砕は必要)を分解・リグニンなどを分離する(蒸解と呼ぶ)ことでパルプ化されたパルプを、総じて化学パルプ「CP」(Chemical Pulp) と呼ぶ。種類にはクラフトパルプ(KP、Kraft Pulp)、サルファイドパルプ(SP、Sulfide Pulp)、アルカリパルプ(AP、Alkaline Pulp) などがある。
パルプ繊維はかなり高い純度のセルロース繊維であるためしなやかである。しなやかに絡み合うため、紙にしたときの強度は強い。ただし、セルロース純度が高くなるために、木材からのパルプ収率は50パーセント程度となる。
このパルプは色が茶色なので、セメント袋など以外の用途には漂白処理をして紙にする。この漂白工程で塩素系漂白剤を多く使っていたので環境汚染が問題になったこともあったが、酸素、オゾン、過酸化水素などを用いる酸素系漂白の技術が発展し、現在では日本でもほとんどの製紙工場で酸素系漂白が主流になった。(無塩素漂白パルプなど参照のこと。)
分解・分離した残りの50パーセントは木材繊維を固めているリグニンや樹脂成分であるが、この廃液(薬品を含む)を濃縮したものを黒液と呼び、回収ボイラーで燃焼させ、製紙プラントのエネルギーとして利用されているほか、マツ材からでるものはロジンの原料にもなる。
現在、日本のバージンパルプは環境・社会・経済の面から適切に管理された植林木チップを原料とするKPが主流である。
- ^ “小麦わらパルプ”. www.jrsj.jp. JRS(レッテンマイヤージャパン株式会社). 2023年6月24日閲覧。
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- ^ “琵琶湖ヨシ紙”. www.alphath.jp. 2023年6月23日閲覧。
- ^ “琵琶湖畔のヨシでノート作り、コクヨが京都・滋賀で販売”. ITmedia エンタープライズ. 2023年6月23日閲覧。
- ^ 樺太林業史編集会 『樺太林業史』 p34 1960年(昭和35年) 農林出版株式会社
- ^ “2004年(平成16年)1 - 12月度こうして倒産した・・・”. 東京商工リサーチ. 2020年11月11日閲覧。
- ^ アマゾンで植林・チップ生産輸出事業に取り組む(2010年(平成22年)) - 日本ブラジル中央協会 2020年(令和2年)11月11日閲覧
- ^ 地理 統計要覧 2014年(平成26年)版 ISBN 978-4-8176-0382-1 P,101
- ^ “森の恵み生かし、牛を元気「モリモリ」にする製紙工場…余ったパルプで飼料生産” (2023年12月14日). 2024年1月1日閲覧。
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