ハジラミ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 13:23 UTC 版)
ハジラミの起源
ハジラミの祖先はチャタテムシのコナチャタテ亜目Nanopsocetae下目であると見られる。自然の中で地衣類やカビを食べ自由生活をしていたチャタテムシが、三畳紀、ジュラ紀といった中生代初期から新生代の初期である古第三紀の間に羽毛を持つ動物の巣に寄生する生活を経て、生きた鳥の羽毛にとりつき寄生するようになったと考えられるが、化石は発見されていない。ちなみに、近年では羽毛は鳥の祖先の恐竜の一部の系統で既に発達していたことが知られるようになってきているので、初期のハジラミは鳥の出現以前に恐竜に寄生していた可能性もある。
系統学的解析により、ハジラミは2つの系統が別々に進化したことがわかっている。哺乳類・鳥類に外部寄生するという特徴的な生態により、収斂進化が進んだ。うち1つの系統は、咀嚼性から吸収性へと進化したシラミを生み出した。
ある種のハジラミは2種以上の鳥に寄生することがあるが、それは鳥の進化の速さがハジラミのそれを上まわったためと考えられている。つまり、宿主が環境に適応して変化しても、ハジラミにとっての生活環境である鳥体表面の条件、つまり食物の栄養や、温度条件などはあまり変化しないからだというのである。これをV・L・ケロッグは遅滞進化と名付けた。例えばアフリカのダチョウと南アメリカのレアには共通のハジラミが寄生しており、今日では形態も分布も異なっているとしても、これらのダチョウは共通の祖先から分化したことを物語っている。ミズナギドリの仲間には16属124種のハジラミが知られているが、ハジラミの知見は大筋においてミズナギドリの分類系と一致するといわれている。
アジアゾウ、アフリカゾウなどに寄生するゾウハジラミは体長3mm足らずの小さなシラミで、長い吻をもち吸血するが、その先端に大顎をもち完全にハジラミの形態をそなえており、ハジラミとシラミの間を結ぶ中間型とされる。
- ^ “Phthiraptera.info”. International Society of Phthirapterists. 2015年10月25日閲覧。
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