ヌカカ 概要

ヌカカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 04:04 UTC 版)

概要

和名のヌカカは、「粒のように小さい蚊」という意味から命名された。地域によってはイソヌカカ(磯糠蚊)やヌカガ(糠)、鳥取県西部の弓ヶ浜半島では干拓事業が行なわれた後にわいたとされていることからカンタクムシ(干拓虫)と呼ばれている。まくなぎ(蠛蠓)、めまといもヌカカの一種で、夏の水辺などをひと塊になって飛んでいる。キャンプ場などに棲息しており、身体が小さいために網戸などを抜けて人家に侵入することもある。また衣服の中へ這い入ることもある。

上から見た感じは黒ゴマの粒のように見え、よく観察すると薄く透明なに、黒い斑紋を装うものが多い。

蚊と異なり、刺咬された直後は刺された感触もほとんどないが、数時間後に痒みが始まり、翌日以降に腫れと強い痒みが起こり、小さな水ぶくれができることもある。完治まで1週間以上かかることもある。

対処法としては、皮膚科医の診察を受けることである。医療機関では、炎症アレルギー反応を抑える錠剤、痒みを抑える錠剤とプロピオン酸クロベタゾール軟膏を処方することが多い。

虫除けとしては、イカリジン(KBR3023[3])やジエチルトルアミド(ディート)を配した虫よけスプレーが有効といわれる。

長距離移動

下層ジェット気流がユーラシア大陸から日本へ流れる梅雨期に東シナ海上でウシヌカカが捕集されていることから、海を越えて日本に飛来している可能性が指摘されており[4]、2020年6月には鳥取県米子市鹿児島県奄美大島などでの被害の増加が報じられている[5]

病原体の媒介

反芻動物に感染し、流産、早産、死産、先天異常を起こすアカバネウイルス、アイノウイルス、チュウザンウイルスなどの病原体を媒介する[4]

ニワトリヌカカ
鶏のロイコチトゾーン病を媒介する[6]

脚注


  1. ^ a b c 栗政明弘, 宮野佳子, 矢倉はるな, 養藤繁, 古川秀生, 岩崎裕子「米子市弓ヶ浜半島におけるヌカカ類による刺咬被害状況,被害発生環境および対処方法に関するアンケート調査」『米子医学雑誌』第66巻第2-3号、米子医学会、2015年5月、19-35頁、CRID 1050015354550841472ISSN 00440558 
  2. ^ 馬場まゆみ、「奄美大島における 2011 年から 2018 年のヌカカ刺症の検討」 『西日本皮膚科』 2019年 81巻 3号 p.196-200, doi:10.2336/nishinihonhifu.81.196, 日本皮膚科学会西部支部
  3. ^ Repellent efficiency of BayRepel against Culicoides impunctatus (Diptera : Ceratopogonidae)”. The University of Aberdeen. 2020年6月23日閲覧。
  4. ^ a b 梁瀬徹、「ヌカカの長距離飛翔とウイルス感染症の媒介」 『日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集』 2011年 63巻 第63回日本衛生動物学会大会 セッション ID:S02, p. 32, doi:10.11536/jsmez.63.0_32_2, 日本衛生動物学会
  5. ^ “猛烈なかゆみ、網戸すり抜ける「スケベ虫」被害増加”. 産経ニュース (産経新聞社). (2020年6月19日). https://www.sankei.com/article/20200619-S3C555Z5KJIXZEKGU6KRII5ADY/ 2020年6月20日閲覧。 
  6. ^ 秋葉和温、「鶏のロイコチトゾーン症の研究史における暗中模索からの脱出記録(25)」『畜産の研究』 2014年 68巻 7号 p.771-776, 養賢堂


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