ナベカムリ属 ナベカムリ属の概要

ナベカムリ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 15:29 UTC 版)

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ナベカムリ属
分類
ドメ
イン
: 真核生物 Eukaryota
: アメーボゾア Amoebozoa
: ツブリネア綱 Tubulinea
亜綱 : Elardia
: ナベカムリ目 Arcellinida
亜目 : ナベカムリ亜目 Arcellina
: ナベカムリ科 Arcellidae
: ナベカムリ属 Arcella
学名
Arcella
Ehrenberg1832

本文参照

図版・下に本属のものがある

特徴

有殻アメーバは殻を持ち、殻の下面にある口から葉状の仮足を出すアメーバのグループである。本属はこの仲間を代表するものである[1]。その中で本属の特徴は分泌物で作られる殻を持ち、その表面にほとんど砂粒など外部の物質をつけないこと、その形は円盤状などやや扁平な形を持ち、その下面の中央に殻の口(偽口部)を持つことである[2]。殻の成分はキチン質とされてきた。またこの殻は6角形の小さな構成単位からなっている[3]。これは通常 areole と呼ばれる。殻の大きさは日本でよく見られるナベカムリ A vurgalis で殻の径が100-150μm程度[4]。殻は往々に褐色を帯び、上から見ると殻口が透けて見え、その部分の色が薄く見えるので、ドーナツのように見える[5]

アメーバの方は殻内に細胞質があり、底面中央の口から仮足を伸ばす。仮足は棒状でアメーバ属 Amoeba のものよりかなり細い。細胞には普通は2核があるが、それ以上を持つ例もある[6]

種と分布

本属に記載されている種は130を超える[7]。ただし形態的特徴以外に大きさや各部の大きさの比率などが重要で、しかも環境等で形態に変異を生じることもあって判断が難しいこともある。また古い記載はその内容が不十分で、また少数の標本に基づいて行われた例もあり、判断を困難にしていることもある[8]。世界的に広域分布する種が多いが、限られた地域にのみ分布する種もある。まだまだ詳しく調べられていない地域も多く、特に南半球からはまだ多くの新種が発見されると考えられている。

生態など

淡水産であり、湖沼や水たまりのほか、よく湿ったコケに見られるものもあり、少数ながら湿った土壌からも発見される[9]。餌としては藻類などを食べる[10]

繁殖は分裂による。分裂に際しては古い殻と底面を接するようにして新しい殻が形成され、その間は細胞質はその両方を何度も行き来する。殻が完成すると、その後に細胞分裂が起き、2つになった細胞質はそれぞれの殻に収まり、離れる[11]


  1. ^ 月井(2010),p.34
  2. ^ 水野・高橋編(1991),p.338
  3. ^ Lahr & Lopes(2009),p.128
  4. ^ 水野(1964),p.27
  5. ^ 一瀬・若林監修(2005),p.71
  6. ^ 月井(2010),p.34
  7. ^ この項は主としてFeres et al.(2016)
  8. ^ Lahr & Lopes(2009),p.128
  9. ^ Tsyganov & Mazei(2006)
  10. ^ 一瀬・若林監修(2005),p.71
  11. ^ 月井(2010),p.34
  12. ^ 岡田他(1988),p.38
  13. ^ 水野・高橋編(1991),p.346
  14. ^ Gomaa, F., Mitchell, E. a. D., & Lara, E. (2013). “Amphitremida (Poche, 1913) Is a New Major, Ubiquitous Labyrinthulomycete Clade.”. PLoS ONE 8 (1): e53046. doi:10.1371/journal.pone.0053046. 


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