ティーチ・フォー・アメリカ
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沿革
1989年にプリンストン大学の4年生であったウェンディ・コップ(en)が卒業論文において論じたアイデアがこのプログラムの出発点である。大学を卒業したコップはモービル石油、ハーツレンタカー、モルガン・スタンレーなどから26000ドルの資金と事務所、自動車6台の提供を受けてプログラムをスタートさせ、1990年募集の1期生において定員500人に対し4000人弱の応募者を獲得する人気となった。この数字を実績としてティーチ・フォー・アメリカは更にアップルコンピュータ、ロス・ペロー、ユニオン・カーバイド、ヤングアンドルビカムなどの大企業・資産家から250万ドルの寄付金を獲得。1991年より実際に公立学校に講師を送り込んだ。
このプログラムには当初懐疑的な意見もあったが、プログラムが送り込んだ講師の評価はまずまず高く、またこのプログラムを終了した人材の優秀性も認められたことから、プログラムは特にエリート大学の学生に最初の就職先として大人気となっている。渡邊(2007)によると、このプログラムに採用される学生の半数がエール大学、ダートマス大学、コロンビア大学、シカゴ大学、デューク大学などの名門私立校、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ミシガン大学等の名門州立校出身者であるという。
なおTFAプログラムの講師は赴任先では他の教員と平等に遇されている。
評価
TFAプログラムの出身者が運営する各種学校は2007年9月時点で282にも上る他、学部学生の最初の就職希望先(転職が当たり前であるアメリカでは「キャリアをスタートさせるに相応しいと考える場」と表現される)として、2006年の43位から2007年には並み居る大企業を押しのけて10位に躍進している。こうした人気の背景には、ジェネレーションYと呼ばれる1980年代以降生まれの世代の、共同体意識としたたかな心性を併せ持つ若者たちが就職年齢に達した状況があるとも指摘されている。またプライスウォーターハウスクーパース(大手会計事務所)やデロイトアンドトウシュ(大手会計事務所)、グーグル、ゼネラルエレクトリックはティーチ・フォー・アメリカと提携し、採用内定学生が就業前の2年間TFAプログラムに参加することを認めている。JPモルガンもやはり採用内定学生のTFAプログラム参加を認め、更にこうした学生への契約金支払いをTFAプログラム参加前に行い、加えてTFAプログラム参加中の採用内定学生の為のサマーキャンプを実施するなどの対応を採っている。
これら大企業がTFAプログラムに参加する人材を優遇する背景には、TFAプログラム参加者が創造性やリーダーシップにおいて優れているとの評価が確立しているという状況がある(前出ビジネスウィーク誌記事)
なおティーチ・フォー・アメリカはファストカンパニー・ドットコムが毎年選出している「45の社会的起業家たち」に複数回選出されており、2008年版ではティーチ・フォー・アメリカの他、ティーチ・フォー・アメリカからスピンアウトしたザ・ニューティーチャー・プロジェクト、ナレッジ・イズ・パワー・プロジェクトも選出されている[3]。
資金源
現在、ティーチ・フォー・アメリカは数多くの大企業から何百万ドルもの寄付金を提供されており、現在のプログラム規模(派遣講師数3500)を倍増させる計画を2005年に発表している。
- ^ Teach for America Taps Titans
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ Decker, Paul; Mayer, Daniel; Glazerman, Steven: Mathematica Policy Research, Inc. (2004).
- ^ Darling-Hammond, Linda; Holtzman, Deborah; Gatlin, Su Jin; Vasquez Heilig, Julian (2005).
- ^ Wendy Kopp, One Day All Children, Publicaffair 2001, p96-p99.
- ^ なお、これらの施策はアメリカ合衆国の学制と社会を前提としてデザインされたものであり、日本社会とは前提となる社会条件が全く違うことに注意されたい。例えばKIPPプログラムの対象者の中には英語以外を母語として育った子供も多い
- ^ Impact Highlights
- 1 ティーチ・フォー・アメリカとは
- 2 ティーチ・フォー・アメリカの概要
- 3 議論
- 4 参考文献
- ティーチ・フォー・アメリカのページへのリンク