タリビー (原子力潜水艦) 概要

タリビー (原子力潜水艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/04 03:36 UTC 版)

概要

ノーチラスにおいて原子力を、アルバコアにおいて涙滴型船殻を手に入れたアメリカ海軍は、両者を結合したスキップジャック級において、潜水艦にとって長年の夢であった「潜航可能な船(submergible ship)」ではない「真の潜水艦(submarine)」を手に入れた。しかし、これは新たな課題のはじまりでもあった。潜航しているのが常態となった潜水艦は、その探知手段が音響的な手段(ソナー)に限定されるが、その際に自身が発する水中雑音もソナーの妨げになり、水中戦においては不利である。また、涙滴型船殻と核動力の組み合わせによる水中高速力は武器になるはずだったが、同時に大きな騒音の源ともなり、対潜水艦部隊からの探知を招く危険があった。

こうした問題の解決のため、1956年、当時の海軍作戦部長アーレイ・バーク海軍大将はノブスカ計画(Project Nobska)を指令し、官民共同の米国立科学アカデミー水中戦委員会に研究を委託。最終的な研究報告は、大きな探知距離を備えたソナー、高度の静粛性、よりいっそうの深深度潜航能力の3つを備えた潜水艦を提案した。これに基づき、1958年度計画で攻撃型の試験艦として建造されたのが本艦である。

同時期のパーミット級と同等のソナーと兵装を備えつつ、静粛性の向上のために原子力ターボ・エレクトリック方式の導入が、また、水中運動性能の向上のために艦型の縮小が、それぞれ行われた。これらによって、所期の目的は達され、水中戦におけるハンター・キラーというコンセプトも達成を見た。だが、一方で、小型の艦形は原子炉をサイズ・出力とも小さいものに制限したため、速力は極めて限定されたものとなり、兵装搭載量も乏しかった。この結果、タリビーの運用構想はきわめて限定され、敵潜水艦基地前面での待ち伏せ攻撃に特化されることになったが、このような構想は消極的に過ぎるとみなされたため採用されず、建造も1隻のみにとどめられた。スケート級に次いで、過小な船型は原子力潜水艦にとってメリットがないことが証明されたことになる。

なお、原子力ターボ・エレクトリック方式による米原潜は、他にもグレナード・P・リプスコム1974年就役)があるが、2005年現在、これら2隻のみで、他にも開発の予定はない。この方式は、米海軍では、メリットが小さいと判断されているためである。







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