ストリーム・プロセッシング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/21 02:53 UTC 版)
代表的なストリームプロセッサ
Imagine
スタンフォード大学のWilliam Dally教授が率いるImagine は、非常に柔軟なアーキテクチャで高速かつエネルギー効率が高いことが示されている。1996年に発想されたプロジェクトには、アーキテクチャ、ソフトウェアツール、VLSI の実装および開発ボードが含まれ、DARPA、インテル、テキサス・インスツルメンツに資金を提供されていた。2002年に登場したファーストシリコンは 3.5GFPS の性能をコアの消費電力わずか 1.6 ワットで達成した。
Merrimac
別の スタンフォード大学 によるプロジェクト Merrimac は、ストリーム型のスーパーコンピュータの開発を目的としている。Merrimac はストリームアーキテクチャと高度な通信ネットワークを用いて、同じような技術で構築されたクラスタ型の科学計算用コンピュータに対して一桁大きい性能/コストを実現する。
Imagine
Stream Processors, Incによる Storm-1 ファミリは、Standford の Imagine プロジェクトからスピンオフしたもので、ISSCC 2007の基調講演で発表された。このファミリには 30~220 16bit GOPS (毎秒10億回の演算)の範囲に4つのメンバーがあり、すべてTSMCの130ナノメータープロセスで生産される。これらはビデオ会議、プリンタ複合機や映像監視装置などを含むハイエンドDSPの市場をターゲットとしている。
Graphics Processing Unit
パーソナルコンピュータに搭載されるGraphics Processing Unit (GPU) は、一般消費者向けのストリームプロセッサ[2]と見ることができる。NVIDIAおよびAMD (旧ATI) が、グラフィックスだけでなく汎用的なストリームプロセッシング用途 (GPGPU) にも活用可能な高性能なGPUを製造している。かつてはS3 Graphicsもコンシューマー向けGPUを手掛けていたが撤退している。
- NVIDIA GeForce/NVIDIA Quadro/NVIDIA Tesla
- G80以降でストリームプロセッシング開発環境CUDAが利用可能になった。
- AMD Radeon/AMD FirePro/FireStream
- R6xxで倍精度浮動小数点演算に対応し、R7xx (RV770PRO) で1チップでは世界初の1TFLOPSを達成。
- S3 Chrome
- Chrome 400 / 500シリーズにてOpenCL 1.0に対応したことによりGPGPUへの活用の幅が広がった。
Cell
ソニー・コンピュータエンタテインメント、東芝、IBMが開発したCellは、適切なソフトウェアのサポートのもとストリームプロセッサのように動作できるハードウェアアーキテクチャである。Cellは、Power Processing Elementと、Synergistic Processor Elementと呼ばれる複数の SIMD コプロセッサからなり、それぞれが独立したプログラムカウンタとローカルストア領域を持つ、実質的な MIMDマシンである。ネイティブのプログラミングモデルでは、すべてのDMAおよびプログラムのスケジューリングはプログラマが行う。ハードウェアはローカル通信のため高速なプロセッサ間のリングバスを提供する。命令とデータを配置するローカルメモリは256KiBと小さいため、このアーキテクチャを有効に活かすことができるプログラムは、メモリ消費が小さいか、ストリームプログラミングモデルに忠実なもののみである。適切なアルゴリズムの元では、Cellの性能は純粋なストリームプロセッサに比肩するが、これにはアルゴリズムとソフトウェアの完全な再設計が必ずと言っていいほど必要となる。(PS3はメインCPUにストリームプロセッサが据えられている点でPCのアーキテクチャとは大きく異なると言える。)
固有名詞の分類
並列コンピューティング |
Pluribus SIMD ストリーム・プロセッシング IWarp Linda |
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