ジャガー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 22:12 UTC 版)
生態
熱帯林や浸水林・乾燥林・低木林などの様々な森林・樹木が多い草原・マングローブからなる湿地などに生息する[4]。開けた環境には生息しないが、草原内の林地や水辺には生息する[4]。密生した熱帯雨林からまばらな林、草原や沼地に至るまで様々な環境に生息し、主として夜行性で単独生活をしている。
食性は幅広く、同所的に分布する大型の有蹄類が少ないため、同属他種と比較すると小型哺乳類や爬虫類などの割合が大きい[4]。ペッカリー類、マザマ属Mazama・アメリカヌマジカなどのシカ類、バク類、アグーチ属Dasyprocta・オマキヤマアラシ属Coendu・カピバラ・ヌートリアなどの齧歯類、オオアリクイ・コアリクイ属Tamanduaといったアリクイ類、ココノオビアルマジロ属、フタユビナマケモノ科・ミユビナマケモノ科といったナマケモノ類、ホエザル属・ヨザル属Aotusなどの霊長類、カワウソ類・ブタバナスカンク属Conepatus・オセロット・ハナグマ属Nasua・キンカジュー・タテガミオオカミなどの他の食肉類、オポッサム属Didelphis、ホウカンチョウ属Crax・アメリカトキコウ・シロエンビコウCiconia maguari・アメリカヘビウ・ナンベイアオサギArdea cocoi・レアなどの鳥類、ナンベイヨコクビガメ属・ナンベイリクガメ属などのカメ、グリーンイグアナ、カイマン属のワニ、オオアナコンダ・ボアコンストリクターなどのヘビ、カエル、ナマズ類やピラルクーなどの魚類を食べる[6]。主に地表で狩りを行うが、カピバラやワニ類などの水中にいる獲物に襲いかかったり、水に浮かびながら獲物を待ち伏せ水辺にいる獲物に水中から襲いかかることもある[4]。ネコ科広範にみられるように獲物の喉に噛みついて窒息死させることもあるが、大型の獲物も含めて頭部(主に後頭部)や頸部を噛み砕いて殺す[4]。地域によっては、産卵のために上陸したウミガメ類(オサガメも含む)も捕食する[4]。淡水棲のカメ類やリクガメ類は甲羅を噛み砕き、大型のウミガメ類は頸部に噛みついて仕留める[4]。仕留めた獲物は茂みに隠し、大型の獲物であれば数日にわたって食べる[4]。動物の死骸も食べる[4]。家畜を襲うこともあり、地域によっては食性の大きな割合を占めている(ソノラ州北東部で摂取量57.7 %、パンタナル南部31.7 %)という報告例もある。数平方キロに及ぶ縄張りを単独で維持し、排泄物や爪とぎでマーキングしている。
出産は2年に1回。妊娠期間は91 - 111日[4][6]。1回に1 - 4頭の幼獣を産む[4][5][6]。生後16 - 24か月で独立する[4]。生まれた子は2年以上母親と暮らし、狩りの技術を習得する[14]。
注釈
- ^ 発音 [ˈdʒægwɑr, -yuˌɑr]
- ^ 発音 [ˈdʒægyuər]
出典
- ^ Appendices I, II and III (valid from 26 November 2019)<https://cites.org/eng> (downroad 08/05/2020)
- ^ a b UNEP (2020). Panthera onca. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (downroad 08/05/2020)
- ^ a b Quigley, H., Foster, R., Petracca, L., Payan, E., Salom, R. & Harmsen, B. 2017. Panthera onca (errata version published in 2018). The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T15953A123791436. doi:10.2305/IUCN.UK.2017-3.RLTS.T15953A50658693.en. Downloaded on 08 May 2020.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa Luke Hunter 「ジャガー」山上圭子訳『野生ネコの教科書』今泉忠明監修、エクスナレッジ、2018年、217-225頁。
- ^ a b c d e f g 成島悦雄 「ネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、150-171頁。
- ^ a b c d e f g h i Kevin L. Seymour, "Panthera onca," Mammalian Species, No. 340, American Society of Mammalogists, 1989, Pages 1-9.
- ^ a b W. Christopher Wozencraft, "Order Carnivora," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 532-628.
- ^ Rodrigo Nunez, Brian Miller and Fred Lindzey, "Food habits of jaguars and pumas in Jalisco, Mexico," Journal of Zoology, Volume 252, Issue 3, 2000, Pages 373-379, doi:10.1111/j.1469-7998.2000.tb00632.x
- ^ “Jaguar SSP - Facts Sheet”. 2012年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月3日閲覧。
- ^ ジュリエット・クラットン=ブロック(2005)『ネイチャー・ハンドブック 世界哺乳類図鑑』新樹者, 289頁
- ^ 『世界哺乳類和名辞典』平凡社、1988年、317頁。
- ^ Kitchener, A. C.; Breitenmoser-Würsten, C.; Eizirik, E.; Gentry, A.; Werdelin, Lars; Wilting, A.; Yamaguchi, N.; Abramov, A. V. et al. (2017). A revised taxonomy of the Felidae : The final report of the Cat Classification Task Force of the IUCN Cat Specialist Group. p. 70. ISSN 1027-2992 .
- ^ Wultsch, Claudia; Caragiulo, Anthony; Dias-Freedman, Isabela; Quigley, Howard; Rabinowitz, Salisa; Amato, George (2016-10-26). Paiva, Samuel Rezende. ed. “Genetic Diversity and Population Structure of Mesoamerican Jaguars (Panthera onca): Implications for Conservation and Management”. PLOS ONE 11 (10). doi:10.1371/journal.pone.0162377. ISSN 1932-6203. PMC 5082669. PMID 27783617 .
- ^ “ジャガー|ナショナル ジオグラフィック日本版サイト”. 2022年8月10日閲覧。
- ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理) (環境省・2020年5月8日に利用)
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