シルベスター数列
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/24 13:50 UTC 版)
「シルベスター数列」という名称は、1880年にこの数列を最初に調査したジェームス・ジョセフ・シルベスターに由来している。数列の各項の値はシルベスター数 (英: Sylvester number) と呼ばれることもある。
シルベスター数列の値は二重指数関数的に増加し、その逆数の和は他の単位分数の級数よりも速く1に収束する。シルベスター数列を定義する漸化式は、各項の数の素因数分解をより容易にさせるが、数列の増加速度が急速であるために、完全な素因数分解はいくつかの項に対してしか知られていない。
シルベスター数は1のエジプト式分数表現、佐々木・アインシュタイン多様体、オンラインアルゴリズムの実装などに応用されている。
形式的定義
シルベスター数列の第 n 項は次の式で定義される:
0個の項の積 (空積) は 1 であるため、s0 = 2 である。
あるいは、次のような漸化式で定義してもよい:
閉形式での表現とフェルマー数
シルベスター数列は n の関数として、二重指数関数的に増加する。具体的には
という形式で書くことができる。ここで E はおよそ 1.2640847353...である[1] (オンライン整数列大辞典の数列 A076393)。
シルベスター数列が二重指数関数的増加を示すことは、フェルマー数列 Fn と比較すると驚くべきことではない。フェルマー数は通常、二重指数関数による表式 によって定義されるが、これはシルベスター数列のような総積を使った漸化式によっても定義が可能である[2]:
補注
- ^ 数列の増加速度と級数の無理性については、例えば数列 {an} が十分に速く増加するとき、 が無理数となることが知られている (Erdős & Graham 1980, p. 64)。
- ^ Andersenはこの区間で1167の素因数を見つけた[6]ため、おそらくこれは誤記である。
- ^ p < 5 × 107 かつ n ≦ 200 を満たす範囲において、全てのシルベスター数 sn の素因数 p はVardiによってリストされている。Ken Takusagawa は s9 までの素因数分解[9]と s10 の素因数分解[10]をブログに記している。それ以外の因数分解については、Jens Kruse Andersen によるリスト[6]を出典としている。
- ^ 佐々木多様体でもあるアインシュタイン多様体
- ^ 論文中でSeidenとWoegingerは、シルベスター数列を Salzer (1947) の仕事にちなんで「Salzer's sequence」という名前で言及している。
出典
- ^ Finch (2003, p. 444)
- ^ Golomb (1963), Aho & Sloane (1973, §2.5)
- ^ Curtiss (1922)、Miller (1919) あるいは Soundararajan (2005) を参照。
- ^ Erdős & Graham (1980)
- ^ Guy & Nowakowski (1975).
- ^ a b Andersen (2007–20)
- ^ Jones (2006).
- ^ Odoni (1985).
- ^ Takusagawa (2006a)
- ^ Takusagawa (2006b)
- ^ Boyer, Galicki & Kollár (2005, §7)、特に Prop. 44–Prop. 48
- ^ Brenton & Hill (1988)
- ^ Domaratzki et al. (2005).
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