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ショック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 06:32 UTC 版)

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日本語では末梢循環不全あるいは末梢循環障害といい、重要臓器の血流(特に微小循環)が障害されて起こる急性の疾患群のことを指す。細胞障害を生じるため、末梢血管の虚脱、静脈還流量の減少、心拍出量の低下、組織循環能力の低下等の循環機能障害を呈する。

症状

古典的には5P'sといわれる症状が有名である。これは顔面蒼白 (pallor)、虚脱 (prostration)、冷汗 (perspiration)、脈拍触知せず (pulseless)、呼吸不全 (pulmonary insufficiency)が生じるとされている。血圧低下や頻脈徐脈も良く見るが、頭蓋内出血によるものであれば血圧・脈拍は正常の範囲であることが多い。血圧の低下ではなく循環動態のパラメーターを重視する考え方もある。ショックが重篤であったり、遷延すると意識障害代謝性アシドーシス、高乳酸血症、尿量減少を伴う[2]

原因

ショックの原因と分類[2]

心原性ショック(cardiogenic shock)
心筋性(心筋梗塞,心筋症)
機械性(弁膜症,心筋症)
不整脈
循環血液量減少性ショック (hypovolemic shock)
出血性ショック
脱水
血液分布異常性ショック (distributive shock)
感染性ショック(septic shock)
アナフィラキシーショック
閉塞性ショック (obstructive shock)
心タンポナーデ
緊張性気胸
肺塞栓症

出血・血管拡張

外科的・外傷腹腔臓器出血・消化管出血等が主原因。急速な出血(13程度以上)や過度の血管拡張[1]のため循環血液量が減少し、十分な血圧が保てなくなったためにショックに陥る。治療は、アドレナリン投与、急速な輸液、あわせて輸血を行う。慢性的な出血の場合は代償的に組織から水分が血管内に流入するためショックとはならず貧血になる。

熱傷

熱または化学薬品による重症熱傷の際、毛細血管の浸透性が亢進して血漿が組織へ流出してしまい、細胞外液が致命的に不足するためにショックに陥る。急速輸液と、血漿成分の輸血を要する。輸血に関しては、初期から輸血してもすぐ流出しまうため、超急性期を過ぎてから行う場合も多い。また、熱中症による大量発汗(細胞外液逸失)でもショックは起こりうる。

重症感染症(敗血症)

細菌の全身感染症によって起こる細菌性ショックと、ある一定の細菌(グラム陰性菌)が放出する菌体毒素エンドトキシン)によるエンドトキシンショックに分類される。エンドトキシンショックは毒素によって血管平滑筋が麻痺して末梢血管抵抗が低下し、静脈還流が減少するためにショックに至る。起因菌に対し有効な抗生物質を投与し、大量輸液を要する。

心不全

心タンポナーデ心筋梗塞等で心臓から送り出される血液量が低下しているために、十分な血流を保てずショックに陥る。原因が鬱血性心不全である場合は利尿剤を投与する。ジギタリス等の強心剤は心機能低下を一時的に改善できる可能性があるが、長期予後はむしろ悪い。なお、利尿剤により循環血液量減少が生じると循環血液量減少性ショックに至る可能性もある。

アナフィラキシー(薬物過敏症等)

I型アレルギー反応の一つ。外来抗原に対する過剰な免疫応答が原因で、好塩基球表面のIgEがアレルゲンと結合して血小板凝固因子が全身に放出され、毛細血管拡張を引き起こすためにショックに陥る。ハチ毒、食物、薬物[3]等が原因となることが多い。アナフィラキシーの症状としては全身性の蕁麻疹と以下のABCD(喉頭浮腫、喘鳴、ショック、下痢腹痛)のうちどれかがある。特に後咽頭浮腫、口蓋垂浮腫、喉の締め付け感、嗄声の存在がある場合は進行する可能性が高い。全身蕁麻疹以外の下記の症状が認められたら速やかなアドレナリンの投与が必要である。

蕁麻疹以外の症状 代表的な症状
A (air way) 喉頭浮腫
B (breathing) 喘息
C (circulation) ショック
D (diarrhea) 下痢、腹痛

その他の疾患

肺塞栓症アジソン病糖尿病アシドーシス、不適合輸血(異なったABO血液型の輸血)[4]などでも、ショックを引き起こす。

診断

以下の内容は、鈴木昌(2011)「ショック」[2]より引用し改変

  1. 血圧低下
    収縮期血圧 90 mmHg以下
    • 平時の収縮期血圧が 150 mmHg以上の場合:
    平時より 60 mmHg以上の血圧下降
    • 平時の収縮期血圧が 110 mmHg以下の場合:
    平時より 20 mmHg以下の血圧下降
  2. 小項目(3 項目以上を満足)
    1. 心拍数 100回/分以上
    2. 微弱な脈拍
    3. 爪床の毛細血管のrefilling遅延(圧迫解除後 2 秒以上)
    4. 意識障害(JCS2 桁以上またはGCS10 点以下)、不穏、興奮状態
    5. 乏尿・無尿(0.5 ml/kg/hr以下)
    6. 皮膚蒼白と冷汗、または 39℃ 以上の発熱(感染性ショックの場合)
    7. 頻呼吸 (呼吸数 > 22回/分、動脈血二酸化炭素分圧〔PaCO2〕 < 32torr)[2]
    8. 脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が、30以下
  • 血圧低下と小項目 3 項目以上でショックと診断する。(JCS:Japan Coma Scale,GCS:Glasgow Coma Scale)

なお、β遮断薬などの投薬の影響や迷走神経機能の異常と頻脈が同時発生し、見かけ上の脈拍が正常範囲内に見えることがある。

スコア 収縮期血圧(mmHg) 脈拍数(回/min) BE(mEq/l)) 尿量(ml/h)) 意識
0 100 ≦ SBP PR ≦ 100 -5 ≦ BE ≦ 5 50 ≦ UV 清明
1 80 ≦ SBP < 100 100 < PR < 120 ±5 ≦ BE ≦ ±10 25 ≦ UV < 50 興奮または反応遅延
2 60 ≦ SBP < 80 120 < PR < 140 ±10 ≦ BE ≦ ±15 0 ≦ UV < 25 重度の反応遅延
3 SBP < 60 140 < PR ±15 ≦ BE 0 昏睡

小川のショックスコア[5]では0-4点は非ショック、5-10点を中等症ショック、11-15点を重症ショックと判定している[6]


  1. ^ a b ショック メルクマニュアル プロフェッショナル版
  2. ^ a b c d e 鈴木昌、ショック 『日本内科学会雑誌』 100巻 (2011) 4号 p.1084-1088, doi:10.2169/naika.100.1084
  3. ^ 医療事故調、「注射剤によるアナフィラキシー」で6つの提言 日経メディカルオンライン 記事:2018年1月27日
  4. ^ 遠山博、「赤血球型不適合輸血の機構と予防」 日本輸血学会雑誌 1982年 28巻 5号 p.423-433, doi:10.3925/jjtc1958.28.423
  5. ^ 小川龍、「ショックの定量的評価 : ショック スコアの提案」 救急医学 3, 329, 1980, NAID 10016372471
  6. ^ ショック・スコア(Shock Score;SS)


「ショック」の続きの解説一覧

ショック!!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/19 15:15 UTC 版)

ショック!!』は、1969年2月20日から同年7月31日、および1970年10月5日から1971年3月31日まで日本テレビ系列局で放送されていた日本テレビ製作のドキュメンタリー番組である。


  1. ^ 毎日新聞毎日新聞社、1969年2月20日付のラジオ・テレビ欄。 


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