ゴリアテ (兵器)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 08:08 UTC 版)
評価
ゴリアテは各型合計7,564台も生産されているが、兵器として成功作であるとは認識されていない。
その主な理由としては、
- 使い捨ての兵器としては高い単価(300ライヒスマルク)
- 9.5 km/hという低速な移動速度と、越えられる段差が11.4 cmまでという低い走行性能
- ケーブルを切断されるとコントロールできなくなる
- 小銃などで容易に撃破可能な弱い装甲
- 振動や衝撃に弱く、保守点検が大変なコントロール装置
が挙げられる。
これらに対しSd.Kfz.303a, Sd.Kfz.303bでは改良が加えられていったが(上記性能表参照)、それでも充分とは言えなかった。
全ての型の共通の弱点として、ケーブルを切断されると停止してしまうのは致命的であり、前述したようにワルシャワ蜂起で用いられたゴリアテも、これによって多くが目的を果たせなかった。アンジェイ・ワイダ監督の映画『地下水道』では、スコップによりケーブルを叩き切られ、停止してしまう様子が描かれている。なお無線誘導型も試作されていたらしく、クビンカ戦車博物館に展示されているが、詳しい資料は確認されていない。
しかし、遠距離から操縦できるという安全性などから前線での評判は悪くなかったとされ、ワルシャワ蜂起の際にはポーランド国内軍兵士たちから恐れられていた。
事実、第二次世界大戦以降の兵器でもリモコン式自走爆雷の開発が継続されているように、走破性とコントロール性が伴えば強力な兵器と成り得る。しかし、積載にこだわったこととエンジンなどの小型化が技術的に不可能だったために評価が低くなっている。
日本では1944年(昭和19年)9月28日の日本ニュース第226号において「独新兵器『走る爆弾』」と題し、日本陸軍航空部隊とタイ空軍の戦闘機隊や、大陸打通作戦における戦果の報道とともに、同盟国ドイツの新兵器としてこのゴリアテがナレーションを交え映像で紹介されている[3]。
- ^ 『WWII ドイツ軍兵器集 〈火器/軍装編〉』 ワールドフォトプレス〈Wild Mook 39〉、1980年。p.160
- ^ ただし、目視限界という地理的な条件から、実質的には6 - 8 kmであった。
- ^ NHK戦争証言アーカイブス 日本ニュース 第226号 - 2020年11月15日閲覧
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