オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ 対人関係

オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 15:25 UTC 版)

対人関係

アントワネットとの関係

最初からマリー・アントワネットに尽くしているかのように映るが、彼女が嫁いできた当初は特に肩入れしておらず、宮廷で自由に振る舞う彼女を見てその行く末に不安を感じていた。また、ルイ15世の娘たちに唆されたアントワネットがデュ・バリー伯夫人と激しく対立した際は、同盟の破綻による戦争の危機というフランスの一大事の元凶になる可能性があったにもかかわらず、どちらにも味方せず他人事として捉えていた。しかし、オスカルの人気に目を付けたデュ・バリー伯夫人と、彼女に対抗心を抱くアントワネットが、同時にオスカルの母・ジョルジェットを侍女にと願い出たことで、2人の諍いに自身と家族が巻き込まれてしまう。

しかし、フランスとオーストリアの同盟破綻を防ぐためデュ・バリー伯夫人に声をかけざるを得なくなったアントワネットが、フランス王室は娼婦に敗北したと涙を流す姿を見て、彼女の誇り高い心に感動し生涯の忠誠を誓った。母親が巻き込まれる形でアントワネットに深く関わったことで、初めて真の意味でアントワネットをフランスの女王だと認識する。終生の忠誠を誓うが、国家と国民のために有益であるか否かがオスカルの価値基準の根本であったため、民衆の苦しみを知ろうとしないアントワネットと袂を分かつことになる。

父・レニエとの関係

思春期の頃までは父親を尊敬し、その教えを疑うことなく受け入れていたが、徐々に王室に何処までも忠誠を誓う父レニエとは相反する道を選ぶようになる。ロザリーの異母姉ジャンヌ・バロアが起こした「首飾り事件」に続いて「黒い騎士」ベルナール・シャトレが暴れていた頃から王侯貴族の支配に疑問を抱いて民衆に心を寄せるようになる。加えて、父曰く「謀反人どもか平民の読む本」とされるジャン・ジャック・ルソーヴォルテールの書物を読み耽り、反抗期の子供の如く自身を「人形扱い」していると父レニエに反発するようになり、彼の言葉に耳を貸そうとはしなくなる。しかし、結婚騒動の際に女性でありながら男性・軍人として生きる心の拠り所として慕う母ジョルジェットから、父親の後悔・両親の我が子を想う親心を諭されて誤解を悟り、父親に謝意を述べた上で「生涯を武官として、軍神マルスの子として生きます。」とレニエに告げる。

アンドレとの関係

子供の頃から、乳母の孫で馬丁でもあったアンドレと生活を共にし、軍人となってからも相棒のような存在であった。そのため、あまりに近すぎたアンドレの想いに気づかぬままフェルゼンに密かな想いを寄せるようになり、正体を隠して生涯に1度だけドレスを着用し女性としてフェルゼンの前に現れる。自らフェルゼンへの想いを断念し、近衛を辞めることを決意した夜に強姦まがいの告白をされるまでアンドレの想いに気づかず、完全に圏外に置いて彼の苦悩に気づかなかった。父の反対を退けて勝手に衛兵隊に移ったあと、求婚者が出現するもジェローデルだと知って何の気の迷いだと彼の真摯な想いを知らずに突っぱねたが、ベルサイユ中の独身男性を集めた舞踏会を台無しにした直後、女性としての幸福を求めていることを理解してくれていることにほだされかけた。父レニエに対する誤解とアンドレが無理心中を図ったこともあり、アンドレを不幸に出来ないと真摯に語るオスカルをみて潔く身を引いたジェローデルの姿に改めてアンドレとの関係を考えるようになる。

雨の降るある日、司令室で着替えるアンドレの半裸を見て彼を異性として意識するが、衝撃のあまり部屋を飛び出し絶叫してしまった。近すぎて兄妹として以上に考えたことがなく、初めてアンドレを男性として認識したのだった。同じ恋心を抱く恋敵ゆえにジェローデルは彼が分身だと看破していた。

その後、パリ市内で暴徒に襲われたのをフェルゼンに救われた際に「私のアンドレ」と叫んで漸くアンドレを愛している自身の心を自覚し、相思相愛になった後に結ばれた。

ジェローデルとの関係

近衛連隊長の職を託したジェローデルが求婚者として現れ「最初から女性としてしか見ることが出来なかった」と彼に熱い想いを告げられるが、女性としての自己評価の低さゆえに「地位か財産目当てのプレイボーイくずれに違いない」と思い込んでいた勢いも手伝い、女性として扱う彼に「忘れてやるから頭を冷やせ」と吐き捨てて部屋を後にする。近衛時代、ジェローデルを部下として指揮を任せており、信頼はしていたものの異性としてはアンドレと同様に思いも寄らないことだった。レニエが他の求婚者を集めて縁談をやめるつもりがないため、舞踏会で女性を誘惑して踊り明かして台無しにして噂を広めることで縁談を潰そうと企む。しかし、ジェローデルに女性としての葛藤を看破され、やすらぎを与えたいと告げる彼に陥落しかけて意識がなかったのにアンドレに口づけされた時の感触を思い出し、ジェローデルの手から逃げ出してしまう。その矢先の、アンドレの無理心中未遂と父レニエに対する誤解が解けたことを経て、ジェローデルを呼び出し、たとえ話のように「アンドレを不幸にしないために誰とも結婚はしない」という回答に彼を愛しているのかと問われて「アンドレを愛しているかはわからないが、彼が不幸になるなら自身も不幸になる。」と真摯にその時点で理解しうる自身の心情を告白、身を引くという愛の形を示してジェローデルは去り、誰とも結婚しないことをアンドレに告げる。


  1. ^ プロジェクトX〜挑戦者たち〜2005年12月6日放送「ベルサイユのばら 愛の逆転劇 ~宝塚復活~」より[信頼性要検証]
  2. ^ Oscar”. ONLINE ETYMOLOGY DICTIONARY. 2020年4月19日閲覧。
  3. ^ 小林明 (2019年9月13日). “池田理代子さん 「ベルばら」オスカルはなぜ女性に”. 日本経済新聞社日経BP. p. 3. 2019年9月15日閲覧。
  4. ^ 当時のフランス人としては、かなりの長身である。また、史実でのアントワネットが輿入れした時のルイ16世と同じ。
  5. ^ 『ベルばら』執筆当時の作者のスリーサイズである。
  6. ^ 書籍『永遠のベルサイユのばら』。原作者のコメントより。
  7. ^ 史実では当時の准将は1779年に創設されたBrigadier des armées du roiと呼称される旧准将であり、現准将の呼称であるGénéral de brigadeは当時の少将-Maréchal de campを1793年に改称したものでNATO創設まで少将であったため全くの別物である。また、旧准将は1788年に廃止されている。
  8. ^ 原作では影のつもりのピンクが強すぎて全体的にピンクに見えるが、実は「ウェディングドレス」のつもりなので白いドレス。原作は首元まで首飾りと布で覆われていたが、アニメは布を取り払ったが、「ベルサイユは~」では原作に近いものの胸元から背中にぐるりと横にラインがあり色はピンク。






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