ウェスタン・エレクトリック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/06 14:20 UTC 版)
技術的発明
1928年、ウェスタン・エレクトリックは初めて受話器と送話器が一体化した電話機を開発した(それまでの電話機は本体に送話器がある燭台型だった)。このモデル「102」は本体底面が丸いのが特徴で、1930に登場した後継の「202」はほとんど同じ形状だが底面が楕円形になっている。
次の大きなアップグレードは1937年の「302」である。工業デザイナーであるヘンリー・ドレイファス (ヘンリー・ドレフュスとも、英: Henry Dreyfuss) の設計によるもので、いわゆる黒電話の原型となった四角い底面が特徴である。なお、「302」より前の電話機は別に回路を収めた箱が必要だったが、「302」ではそれを電話機本体に内蔵している。1949年以降はモデル「500」がリリースされ、適宜更新されていった。細かい改良として、ダイヤルをより静かによりスムーズにしたり、回路基板をプリント基板にしたりといった更新が行われた。モデル500は1986年に押しボタン式電話機に完全に取って代わられるまで、製造が続いた。世界でも最も多数製造された電話機である。
他の発明としては、1950年代に小型化しダイヤル部分が光るようにして寝室での利用を考慮した Princess Phone(プリンセス・フォーン)と呼ばれるモデルが登場した。また、1960年代には受話器の中央部分にダイヤルを配置して本体を極限まで小型化した Trimline(トリムライン)が登場した。その後、DTMFの開発と共にダイヤル式の電話機は徐々に廃れていった。
1929年ごろ、ウェスタン・エレクトリックは映画館の音響システムの製造も行っていた。ウェスタン・エレクトリックの Universal Base(ユニヴァーサル・ベイス)は、サイレントの映写機しかない映画館でトーキーを上映できるようにするシステムであった。また、映画館用広音域ホーンスピーカーも設計している。これは効率が高く、3ワットのアンプで映画館全体に音を響かせることができた。当時、高出力のオーディオ用真空管はほとんどなかったため、この開発は重要だった。
AT&Tへの機器供給業者として以外に、ウェスタン・エレクトリックはプロ用の録音再生機器も開発販売していた。以下のようなものがある。
- ヴァイタフォン - トーキー映画システム
- プロ用電気録音機器(1920年代末)- それまでは、レコードへの録音は蓄音機のホーンに向かって音を発することでレコードに溝を刻んでいた(アコースティック録音)。ウェスタン・エレクトリックは初めてマイクロフォンと増幅器と電磁式の針を使った録音を可能にした。
- オーソフォニック - 電気録音されたレコード用の蓄音機
- オプティカル・サウンド
- モノラルの装置でも再生可能なステレオレコード録音方式
- ^ 原語の英語では「BELL SYSTEM PROPERTY — NOT FOR SALE」。
固有名詞の分類
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