ウィラメット川
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ダムと橋梁
ダム
ウィラメット川の支流には大型ダムが20か所を超えて存在し、治水のために堤防や水路が複雑に張り巡らされている。
ウィラメット川本流に唯一存在するダムがウィラメット・フォールズ・ダムで、河水を隣接する工場群や水力発電所へ導水するために設けられた、堤高の低い日本においては堰に分類されるダムである[88]。ウィラメット滝に閘門が設けられたのは1873年である。他の場所には小型の流量調整施設が数多く設けられ、水運と治水を容易にするために河水を比較的幅の狭く水深の深い水路に導流している[47]。
ウィラメット川の主要な支流に存在する大型ダムの用途は、治水と貯水、そして水力発電である。このうち13か所のダムが1940年代から1960年代にかけて建設され、陸軍工兵隊が管理しており[89][90]、うち11か所が発電用ダムである[89]。工兵隊が管理する治水目的ダムは、ウィラメット川の流量のうち27パーセントを貯留可能である。増水を軽減し、夏の後半から秋にかけての流量低下を補い、洪水を抑止するために調整用水路へ分流することにより、川の流れを一定の範囲に調整している[47][73][88][91][92]。貯水池の水のうち、灌漑に回されるのは比較的少量に過ぎない[93]。
サウス・フォーク・マッケンジー川のクーガー・ダムとノース・サンティアム川のデトロイト・ダムは、ウィラメット川流域における堤高の高いダムの双璧である。デトロイトダムは堤高が141メートル (463 ft)で貯水量が561,234,200立方メートル (455,000 acre⋅ft)ある[94]。ミドル・フォーク・ウィラメット川のルックアウト・ポイント・ダムは、貯水容量が589,234,300立方メートル (477,700 acre⋅ft)と流域において最大でルックアウト・ポイント湖を形成する。残る10のダムは、ノース・サンティアム川のビッグ・クリフ・ダム、サンティアム川のグリーン・ピーター・ダムとフォスター・ダム、ブルー川のブルー・レイク・ダム、ロング・トム川のファーン・リッジ・ダム、ミドル・フォーク・ウィラメット川のヒルズ・クリーク・ダムおよびデクスター・ダム、フォール川のフォール・クリーク・ダム、コースト・フォーク・ウィラメット川のコッテージ・グローヴ・ダム、ロウ川のドリーナ・ダムである[91]。
このダム群が原因で、キングサーモンやニジマスが本来の棲息地や産卵場のうち半分から締め出されている。従来通りの繁殖行動がとれないため、これらの種は「絶滅に瀕した状態」となっている[95]。絶滅危惧種の調査とその後のウィラメット・リバーキーパーが起こした訴訟を経て、2008年に在来魚の個体数回復を目指し、魚道の改修などの措置を講じる計画が立てられた[96]。 計画は遅々として進まず、工兵隊は技術的困難と経費を理由として、当初合意された期限の2023年までに効果的な救済システムの構築が間に合わない可能性を表明した[95]。
ウィラメット川流域には工兵隊以外が所有するダムもあり、例えばクラカマス川にある複数の水力発電用ダムはポートランド・ゼネラル・エレクトリックが有している。 同社が管理するダムにはリバー・ミル・ダムやハリエット・ダム、ティモシー・レイク・ダムなどがある[97]。
橋梁
ウィラメット川には50か所を超える橋梁がかけられており、その中にはヴァン・ビューレン・ストリート橋のような歴史的価値のある旋回橋も存在する。この橋は合流点から211km上流のコロンバスで1913年に架橋され、オレゴン州道34号線(コーバリス=レバノン・ハイウェイ)が通っている。橋の旋回機構は1950年代に撤去された[98][99]。 1922年竣工のオレゴン・シティー橋は1888年に完成した吊橋から架け直されたもので、合流点から42km上流に位置しオレゴン・シティーと対岸のウェスト・リンを結ぶオレゴン州道43号線が通っている[100][101]。
合流点から23kmにあるロス・アイランド橋には、国道26号線(マウント・フッド・ハイウェイ)が通っている。これはポートランド市内に架かる10の橋梁の一つで延長が1,130メートル (3,700 ft)あり、オレゴン州で唯一のゲルバートラス橋である[102][103]。
ティリクム・クロッシング橋は全長520メートル (1,720 ft)の斜張橋で、ライトレールと自転車・歩行者専用である[104]。この橋の供用は2015年9月12日で、ポートランド都市圏におけるウィラメット川を横断する橋の開通は1973年以来である[105][106]。
その下流には、ウィラメット川に架けられた現存する道路橋としては最古となる1910年竣工のホーソーン橋があり[107]、合衆国内で最古となる現役の昇開橋であり[108]、ポートランドで最古の道路橋でもある。この橋は自転車と公共交通の通行量が多く、一日当たり自転車は8,000台を超え[109]、TriMetのバスは延べ800台(乗客数としては17,400名)が通行している[108]。
ホーソーン橋の下流側にスティール橋というもう一つの歴史的橋梁があり、1912年の竣工当時は世界最長の伸縮機構のある昇開橋であった[110]。この橋は2段構造となっており、上段にMAX(都市間急行)ライトレールと自動車道が、下段に鉄道と歩行者・自転車道が通っている[111]。小型の船舶が橋下を通行する必要がある場合、2段あるうち下段のみを上昇させ、上段の通行を留めることなく運用することが可能である。上下段の双方を稼働させる場合は、水面から50メートル (163 ft)まで上げることができる。このスティール橋は上段と独立して下段のみを昇降可能な、世界で唯一の二重昇開橋と考えられている[110]。
スティール橋のすぐ下流にあるブロードウェイ橋は、1913年の完成当時において世界最長であった二葉の跳開橋である[112]。さらに下流にあるセント・ジョーンズ橋は、ポートランドで最後に残されたウィラメット川の渡船の代替として1931年に完成した鋼鉄製のつり橋である[113]。合流点から6キロメートルに位置し、国道30号線バイパスが通る[114]。この橋梁の主塔はゴシック様式で築かれている[115]。橋に隣接する公園とポートランドの街区であるカテドラル・パークの名称は、主塔のゴシック様式の聖堂に似た外観から名づけられている。またこの橋はポートランドにおいて最も高い橋で、主塔の高さが122メートル (400 ft)、水面から橋桁までの高さが62メートル (205 ft)である[113]。
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