イ長調 特徴

イ長調

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 00:34 UTC 版)

特徴

18世紀中期から19世紀初期にかけて、当時の鍵盤楽器調律法と弦楽器調弦法の都合によりこの調はソナタ形式で作曲できる楽曲主調の限界と考えられていた。この調より調号の多い調、例えばホ長調では第一主題にホ長調、第二主題に属調ロ長調という調設定を慣例的にしなければならず、主調・主題にロ長調が避けられた当時(ロ長調の特徴を参照)は都合が悪く、ソナタ形式ではホ長調を主調(第一主題)にすることはほとんどなかった。したがって主調(第一主題)は調号が3箇所のイ長調までに限られた(例外も若干ある)。

ヴァイオリン演奏の際は嬰ヘ音(F Sharp)が入るので、人指し指をE線で前後させる必要がなく弾きやすい。ト長調ニ長調に並ぶ弾きやすい調である。

古典派時代までの管弦楽曲ではホルンの音が甲高く、10倍音までしか出せない事が多かったので単純な響きのする調であった。そして、オーボエの響きが悪い調だったので単独で旋律を吹かせないようヴァイオリンユニゾンか二人一組で長い持続和音を奏する書法が基本であった。

このように古典派の様式では管弦楽法的に制限の多い調であったのであまり多く書かれなかった。

クラリネットにはA管があり、B♭管よりも柔らかく内省的な響きがする。モーツァルトはこのA管クラリネットを好み、クラリネット曲を中心にイ長調の曲を多く残している。

マルカントワーヌ・シャルパンティエはこの調について「陽気で牧歌的」と述べている。マッテゾンは「輝かしくはあるが、非常に攻撃的」と述べている。また「気晴らしよりは、嘆き悲しむような情念の表現に向いている」とも考察している。

イ長調の曲の例

Category:イ長調を参照。

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