アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜 アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜の概要

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アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/28 16:39 UTC 版)

アトリエシリーズ > 黄昏シリーズ > アーシャのアトリエ 〜黄昏の大地の錬金術士〜
アーシャのアトリエ
〜黄昏の大地の錬金術士 (PS3)〜
アーシャのアトリエPlus
~黄昏の大地の錬金術士~ (PS Vita)
ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 PlayStation 3
PlayStation Vita (Plus)
PlayStation 4
Nintendo Switch
開発元 ガスト
発売元 ガスト
日本一ソフトウェア
コーエーテクモゲームス
キャラクターモデル フライトユニット
音楽 阿知波大輔
柳川和樹
下田祐
人数 1人
メディア BD-ROM (PS3)
PlayStation Vitaカード (PS Vita)
発売日 PS3:
2012年6月28日
2013年3月5日
2013年3月8日
PS Vita:
2014年3月27日
PS4 Switch:
2019年12月25日
対象年齢 CEROB(12才以上対象)
ESRBT(13歳以上)
ACB:M
コンテンツ
アイコン
[CERO]セクシャル
売上本数 102,145本 (PS3)[1]
その他 ダウンロードコンテンツ対応
PlayStation®Network対応
インストールデータ容量:2300MB
セーブデータ容量:1800KB以上
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錬金術によるアイテム作成を主題としたアトリエシリーズの14作目(外伝的作品を除く)である。本作の物語は、錬金術で栄華をきわめた文明が衰退し、滅びを迎えつつある黄昏の大地を舞台に、薬師の少女アーシャが行方不明になった妹のニオを取り戻すために、錬金術と光る花の秘密を知る旅に出るというものである。キャラクターデザインはが担当している。

2014年3月27日にはPlayStation Vita版『アーシャのアトリエPlus 〜黄昏の大地の錬金術士〜』が発売された。

ゲームシステム

システムは大きく分けてフィールドパートとワールドマップパート、戦闘パートに分かれている。街エリアで態勢を整え、ワールドマップで行きたい場所に移動し、そこで採取や戦闘をしつつ目標の達成を目指す。

ダンジョン内では10区切りのゲージが存在し、これが0になると1日進む。ゲージは採取や戦闘で減少する。

戦闘パート以外では、スタートボタンを押すとメインメニューが開き、アイテムの入れ替えや装備の着脱、ステータスの確認、別エリアへの移動などができる。セレクトボタンを押すとノートが開き、目標を確認することができる。

各パートでは時折イベントが発生し、ストーリーや目標にかかわる重要なものもあれば、思わず笑いを誘うような変わったものもある。また、イベントがたまっていると、そのエリアから出てもう一度入ることで発生させることができる。

前作までのイベントシーンではキャラの立ち絵が挿入され、そのキャラが感情に応じて表情を変える形で進行していたが、本作以降は3Dで描かれたキャラがそのまま身振り手振りで感情表現をする演出に変更され、臨場感が増した。

採取をする際も本作から主人公や仲間のキャラが台詞を喋りその台詞が画面右下に黒枠で対応したキャラの顔アイコンと共に表示されるようになった。エリアでの採取や討伐が完了すると、キャラがそのように公言するようにもなったため非常に分かり易い。

採取の方式は前作までは「リストに表示された採取物の中から選んで採取する」というものであったが、本作以降は採取物は全て自動で採取するようになり、リストからは選べなくなった。また本作のみ、カゴの容量が埋まる条件は「異なる採取物を採った場合」という法則があり、同じ採取物を複数採った場合は数字として採った数がカウントされるようになっており、他作品に比べカゴが埋まりにくい。最高の数字である「99」以上採取物が有る場合は「99+」として表示される。ただし、調合により作ったアイテムは従来通りにカゴの容量を埋める。

本作には制限時間が設けられており、開始からちょうど3年となる4年目の4月1日にゲーム終了となる。行動できるのは前日の3月30日(このゲームではひと月が30日)までであるため注意が必要。ゲームオーバーになることはなく、状況に応じたエンディングとスタッフロールが流れる。スタッフロール後にクリアデータをセーブすることができ、このデータをロードすることで一部のデータが引き継がれた2周目がプレイできる。

従来作にあった、ストーリーにかかわる短期的なクリア目標は廃止された[2][3]:pp.22-23。別ゲームで言えば、メタルマックスシリーズと同等である。参加必須なイベントもなく前述の通り時限式でのゲームオーバーもないため、極端な話4年目の4月1日までずっとアトリエから出ずに寝て過ごしてもクリア可能。

本作以降、エンディングの条件を複数満たした場合はどのエンディングを見るかを選択出来る仕様になった。これにより、従来までのように一回一回周回をする必要は無くなり、利便性が向上した。なお、本作ではラストボスを倒さなければバッドエンド以外は絶対に見ることは出来ない。他方、他のシリーズに有る、樽のオブジェクトを調べると主人公が「たーる」の台詞を発する所謂お約束は、今回はアトリエの庭の樽以外は無い(樽のオブジェクト自体は数か所に配置されている)。

調合

概要
アトリエシリーズの基礎とも言えるシステム。採取や戦闘で得たアイテムを調合し、様々な効果を持ったアイテムや素材を生み出す。調合はアトリエや街エリアの借家で行うことができ、強力な攻撃・回復アイテムを作ったりもできる。特にアーシャは戦闘スキルがないため、敵が強力になる中盤以降は調合で作った攻撃アイテムが頼りになる。また、ストーリー進行にも関わる重要なシステムでもある。
レシピは各街で売り出している他、ダンジョンや戦闘イベントで入手することができる。今回は失敗などはしない代わりに錬金レベルがアイテムごとの規定値に達していないと調合が行えない。
各素材には品質・属性値・特性・潜在能力といった特徴が存在しており、調合で組み合わせることで同じアイテムを作るにしても全く異なる結果となる場合がある。なお、[金属]などカテゴリ単位で指定される場合もある。カテゴリは図鑑で確認可能。
本作ならではの特徴としては、素材の投入順序と調合スキル(後述)がある。素材の持つ特性は投入する順序によって結果が異なるようになっている。
CP
素材を投入する際、そのアイテムのレベル分だけ消費されるポイント。錬金レベル×2+ボーナスの値を持つ。
不足するとそのアイテムの特性などは一切付与されないので有用な特性は先に投入しておくと良い。逆に、低品質なアイテムを投入する前にCPを使い切ることで品質低下を防ぐこともできる。この概念が追加された分、MPが消費される事は無くなった。
調合スキル
1つの素材を投入する前に実行できる特殊コマンド。計4つ存在し、いずれかを選択して使うことができる(習得には錬金レベルが必要)。使用回数に制限はないものの素材とは別にコストを消耗するため、多用はできない。
なお、調合以外でのみ入手できるアイテムは武器防具以外は品質等全てアイテムごとに同一の特性を有している(武器防具は品質がランダム)。そのため、本作では素材にランダム性がなく、製作可能なアイテムの質は全て素材の選択と順序とスキルによって決定すると言っても過言ではない。
力を引き出す
潜在能力値を一定値だけ上昇させる。コスト消費が少なめでノーリスクなため、CPに余裕があるなら使っておくと良い。後述の「力を移す」実行時などに余計な潜在能力が追加されないように調整するのにも有用。
力を注ぐ
次に投入する素材を、コストが割増になる代わりに再投入できるようにする。一度このコマンドで投入した素材にも再度調合スキルは使用できるため強力アイテムの作成には欠かせないが、スキルコストも増加コストも馬鹿にならないため使いどころが難しい。
力を移す
素材の持つ潜在能力を全て作成アイテムに付与する。ただし、後から潜在能力が追加されれば押し出されて消えてしまうので、基本的に最後の投入で使うことが多い。なお、付与される潜在能力は一番上にある項目が一番下に来るというスタック方式。
力を打ち消す
作成アイテムに現在付与されている潜在能力を、任意に一つ消すことが出来る。唯一コストは0なので、CPを使い切った状態でも使用できる。性質上、最初に投入するアイテムには使用不可。必要な潜在能力が押し出されないように不要な項目を消すのに使う。
属性値
素材ごとに決まっている、火・水・風・土の属性をどの位含んでいるかを示す値。作成アイテムは素材の各属性値の総和によって効果が変化する(基本的に多ければより有用な効果となる)。どのような効果になるかは、一度その効果を引き出さない限りわからない。
属性値は素材の属性と反対の属性であっても相殺するといったことはなく、完全個別に加算されていく。
なお、アイテムの効果や後述の特性・潜在能力の説明は、図鑑で確認することができる(特性と付与された潜在能力はセレクトボタンを押すことでその場で確認可能)。
特性
素材の持つ、調合時における影響。0~3個存在し、調合で生み出された素材であっても元の素材の影響は受けず常に固定である。素材投入時に「ストックヤード」と呼ばれるエリアに5つまで蓄積され、超過分は古い順に消えていく。特定の組み合わせになると合成され、強力な効果となる。効果を発揮するのは素材を投入した後であるので、ほとんどの特性は投入時点では何の影響もない。
「火の力」「鉱石と合う」などの属性・カテゴリ依存で属性値にボーナスが入るものや「消耗を抑える」などのコスト関連のものなどがある。純粋なマイナス効果はないが、「増殖効果(できる個数が増えるがコストが増える)」のような善し悪しなものはある。
最高の品を作るのにかなり高い属性値を複数種類求められる場合もあるので、特性を把握して運用するか否かで本作の難易度は天と地ほどの差となること請け合い。
潜在能力
アイテム使用時に発揮する性質で、主効果に対する補正がメイン。特性とは逆に使用時のみに機能するため、「力を移す」使用時以外は素材アイテムの持つ潜在能力は無意味。
作成アイテムごとに内包する潜在能力が決まっており、投入する素材のレベル総和などによって順次発生する。ストックヤードの特性同様、最大数は5で超過分は古いものから消滅していく。また、攻撃・回復・補助・武器・防具・装飾・素材といった分類ごとに付与できる潜在能力が異なる。なお、武器・防具は同一の潜在能力を付与することはできない。
クリアする程度ならさほど気にする必要性はないが、最上位モンスターとの戦闘では気にしないとどうにもならないハイエンド向けの要素である。作りこめばただの通常攻撃が他キャラの必殺技クラスにすらなる。
特定の組み合わせの潜在能力が同一アイテムに付与されると合成が発生し、ワンランク上あるいは複数の特性を持つ潜在能力へと変化する。特に最上位の潜在能力は合成以外では取得が困難なものがある。

戦闘

概要
戦闘はコマンド入力で操作し、攻撃とスキル、アイテムを使う日本製RPGではスタンダードなスタイルである。ただし、対象モンスターを中心として四方に移動することができ、背後からの攻撃はダメージが増加するなど位置取りも重要となっている。
配置上、プレイヤー側がバックアタックを受けることはないが、その代わりなのか強力な攻撃が結構ある。
行動内容によって待機時間が異なるため、それを踏まえた戦闘行動の構築が必須となる。
エンカウント
フィールド上にいる敵キャラクターと接触すると戦闘パートに移行する。なお、シンボルエンカウントの常として、接触される前に攻撃を当てられればアーシャが最初に行動できる他、パーティメンバーが隣り合った位置に配置される。
戦闘後は若干の猶予があり、その間は敵に触れても戦闘にはならないため、敵が密集していても安全に回復アイテムが使用できる。また、圧倒的に弱い相手に攻撃を当てると戦闘に入らずアイテムだけ奪うことが出来る(前述のゲージも消費しない)。
アクティブコマンド
仲間が2人以上いる場合、ゲージがたまると一定時間内に△、□ボタンを押すことでアクティブコマンドが使える。共通のものでは攻撃を行う時に追撃を加えたり敵が攻撃してきた時に仲間をかばうことができる他、キャラごとにダメージ軽減・ステータス強化・敵の行動阻害といった効果がある。使用できるコマンドはゲージ数と敵味方の位置関係によって異なる。2人がアクティブコマンドを使える場合、L1、R1ボタン、あるいは方向キー←→を押すことで使うキャラクターを変更できる。
スキル
仲間キャラクターはそれぞれ戦闘で使える「スキル」を持っており、それを使うことで戦闘を有利に進めることができる。レベルが上がると使えるスキルが増え、最終的に4種類の技が使えるようになる。また、それ以外にも常に発動するパッシブスキルも存在する。
一定のレベルに達すると強力な「必殺技」が使えるようになり、通常モンスターならほぼ一撃で倒せる上、体力の多いボスモンスターを相手にする時は重宝する。ただし、使う際は必殺ゲージが満タンになっている必要がある。必殺技ゲージは攻撃・被弾・アクティブコマンドの使用で増加する。なお、必殺技は止めか否かで演出が変化する他、それが最後の一体だった場合はBGMもキャラ固有のものに変化する。
アーシャのみ、スキルではなくアイテムを使用することができる。なお、アイテムによってはMPを消耗するものもあり、不足すると効果が下がってしまう。
装備品
本作では、武器と防具は市販品の他にはイベントなどを除けばスラグ系モンスターかボスを撃破した時にのみ入手できる。ドロップするのは、戦闘参加メンバーが装備可能なものに限る。作成は不可能であり、潜在能力の付与のみ可能。
今回の装備品の性能は全体的に低く設定されているため、ステータス強化系の潜在能力がいくつかつくだけで下位ランク装備が上位ランク装備を上回ってしまうこともある。武器で言えば各キャラ3,4種と種類も少ないので、種類を吟味する価値はあまりない。なお、金属・布・木材カテゴリの素材として使用できる(カテゴリは種類による)。
これら装備品を強力なものとするためには前述の潜在能力の調整が不可欠となってくる。武器は「砥石」、防具は「染料」を使うことで武器・防具の持つ潜在能力を引き出せる他、砥石や染料次第ではこれらの持つ潜在能力を複写することができる。
また、装備品の元々の品質はランダムで変化するが、使用後の品質は砥石・染料の品質となるので、こちらでもランダム要素を気にする必要はない。高品質であれば基本性能に補正が掛かる。
調合スキル「力を移す」同様に、複写される能力はスタック方式である。

その他システム

依頼
アトリエシリーズでは資金稼ぎの代表格であるが、本作の依頼は従来シリーズとは異なりランダム発生は一切ない。
各街の依頼者が条件を満たすと新たな依頼を出し、それを解決することでまた次の依頼が発生する。当然スルーすると新規依頼は増えないままとなってしまう。
目標期限はあるがそれをいくら越えようと依頼破棄にはならず、報酬金は減額されるが報酬アイテムは一切影響がない。
必然的に取得できる資金には制限が掛かるため、計画的に使わないとあっと言う前に困窮することになる。戦闘やアイテムの売却で得られる金額は多くはないので尚更である。
バザー
毎月10~19日に発生する定期イベント。中止になるというようなことはなく、鉱石店など普段は利用できない系統の店を利用できる。
最初に出店しているのはウィルベルとレジナのみだが、ユーリス・リンカ・ニオは条件を満たすことで出店するようになる。
品評会
毎年6月と12月に、黒猫の散歩道でメリエッタに話しかけることで参加可能なイベント。
4人の参加者がアイテムを持ち寄り、審査員の評価によって順位が決定する。参加しなくても一部エンディングの条件になっている以外は影響はないが、順位によって賞金と商品を獲得することができる。特に賞金は前述通り資金難に陥りやすい本作では看過できる額ではない。
審査員はストーリー進行で変化していき、高評価を得られるアイテムの傾向が変化していく。事前に各出品物がどの程度得点できるか評価予想という形で知ることが出来る。
評価は基礎点数と浮動点数が存在し、浮動点数はランダムで変化するためロードするたびに勝てるかどうかが変わる。
出品したアイテムは失われてしまうが、黒猫の散歩道に全員分売り出されるので失いたくないものがあれば買い戻しておくといい。ただし、次の品評会の品が並ぶと消滅してしまう。
店舗
バザー専門の店舗や行商を含め、本作では様々な店舗が存在している。陳列される商品はイベントの進行などで増加する。
売り出されるアイテムは在庫が決まっており、下一桁が1の日に在庫が補充される。10日間しか開店しないバザーは必然的に入手数が限られる。
いくつかの店では調合で作成できるアイテム[4]は登録することができる。登録した時点では在庫は1つしかないが、次回の在庫補充時に全く同じ効果のアイテムが補充されるため、手間のかかる・貴重な材料を必要とするなどで量産できないアイテムを増やすことが可能。なお、同一アイテムを別の登録枠に登録することも可能(その場合はそれぞれ在庫が補充される)。
大量のアイテムを購入することで店舗レベルがアップし、登録枠が増える他、下位アイテムを割引してくれるようになる。
想い出の日記
アーシャにとって心に残ったイベントを、日記に記すシステム。記すには想い出ポイントが必要となる。想い出ポイントは依頼達成の他、キャラとの会話やフィールドや街・ダンジョンで拾えるチラシを発見することで増加する。
該当イベントが発生した時点でアーシャに規定の強化ボーナスが施され、記すことでさらに強力なボーナスが得られる。内容によってはレシピが解禁される。

物語

物語の背景

本作の物語は、錬金術で発展した文明が衰退し、人類が静かに滅びつつある黄昏の時代を舞台としている。錬金術の知識は一度失われた後に再発見されはじめているが、本作の舞台となる地域にはまだ伝わっていないという設定である。過去の錬金術によって作られた遺跡の数々の文明的な価値は失われ、建材などを切り出すための石切場や交通のための通路として使われている。遺跡は錬金術によって生み出された「スラグ」と呼ばれるモンスターや、「オートマタ」と呼ばれる人造人間によって保守されている。

プレイヤーは物語の主人公であるアーシャを操作し、物語を進めていく。このゲームではプレイヤーの選んだ行動(移動、戦闘、採取、調合、休憩)に対して1日単位で時間が過ぎていき、3年が経過すると物語の進行状況に関わらずゲーム終了となる。以下に物語の概略を示す。

あらすじ

薬師の少女アーシャ・アルトゥールは天涯孤独の身であった。最後の家族であった妹のニオは3年前、アーシャに頼まれて近所の遺跡へと薬草採取へと出かけたまま失踪し、行方不明となっていた。アーシャはニオの墓を建てて彼女を弔い、失意の彼女を支えてくれた知人に対しては表向き明るく振る舞い、亡き祖父の家業を継いで薬師として生計を立てていたが、心の内ではニオを死んだものとは割り切りきれない思いや、自分がニオをお使いに行かせてしまったことに対する悔恨を引きずり続けていた。

ところがニオが行方不明になってからちょうど3年目の日、墓参りのつもりでニオの失踪現場を訪れていたアーシャは、不可思議な光を放つ花畑に浮かぶニオの幻影を目撃する。偶然この地域を訪れていてその場に居合わせ、一部始終を目撃した錬金術士のキースグリフ・ヘーゼルダインは、それが錬金術による事象であることを見抜き、ニオの生存を示唆する。アーシャに錬金術士としての素養があることを見て取ったキースグリフは、ニオを助けて欲しいというアーシャの懇願を拒絶しつつも、真理は他人ではなく自分の力で探し出すべきだという持論を語り、錬金術と光る花について学ぶよう助言する。キースグリフの見立てでは、ニオを助けられる期限は残り3年。アーシャは、錬金術を理解するため、そしてニオを助けるために旅立つことを決意する。

アーシャは知人の紹介により有力者の支援を受け、城塞都市フィルツベルクで自分のアトリエを持つ。また、道中や街でそれまでになかった数の友人を持つようになる。アーシャはニオのことや、友人と楽しく過ごしたこと、錬金術を学んだことなどの大切な思い出を日記に書きとめていく。

手がかりを求めて遺跡などを探索するなかで、アーシャは何度かニオの幻影と出会う。ニオは少し言葉を交わしただけで消えてしまうが、そのあとには必ず普通には見られない光る花が周囲に残されていた。光る花について調査するために、古代文明の知識が保存された図書館「弐番館」を訪問したアーシャは、そこで文献上の光る花「百年に一度咲く花」「雨を待つ花」「陽を避けて咲く花」のことを知る。キースグリフは当初、自分に利がないということでアーシャを助けることを拒否していたが、しだいに真理に近づいていくアーシャに、師としての助言を与えていく。

アーシャは旅をして光る花を集め、キースグリフの指導を得て光る花に含まれている香料の成分を分析し、それが古代に繁栄していた錬金術の遺跡のシステムによって、情報伝達の媒体として用いられているものであり、ニオが古代の遺跡にとらわれていることを突き止める。キースグリフは古代文明による自然破壊の跡や巨大兵器をアーシャに示し、ニオをとらえた遺跡もそうした悪意の存在であろうと憶測する。プレイヤーが真相に迫る一連のサブストーリーを達成していない場合はキースグリフの憶測を覆す根拠は見つからず、ニオが捕らわれてしまった理由やシステムの目的には踏み込まない形の結末となるが、サブストーリーを進めた場合、アーシャはキースグリフの考えに異を唱え、遺跡の目的を理解しようとする。この場合、アーシャは冒険の末に辿り着いた古代のアトリエで発見した資料から、キースグリフと共に弐番館の奥に秘匿されていた秘密を解き明かし、ニオが活動中の遺跡「壱番館」の管理システムによって、人類の滅亡後も種を保存し、世界を存続させるための標本として保護されていたという真相を知る。アーシャは暴走していた遺跡の管理システム「イグドラシル」を破壊してニオを取り戻すが、自分の行いが正しかったか確信を持てず、古代文明の善意の遺産を無為にしたことに心を痛める。

アーシャとニオの二人は家に帰り、ここで本編は一区切りとなる。この後も期限の3年が過ぎるまでゲームは続き、ニオを連れて旅に出ることができる。また本編と並行して、アーシャが旅の中で知り合い、ニオの救出に力を貸してくれた友人たちのサイドエピソードが挿入されるが、ニオを取り戻した後にはそれぞれのエピソードの結末が語られる[3]:pp.22-23。なおアーシャがニオを自力で救出できないまま3年が経過した場合はバッドエンドとなるが、その場合もニオはキースグリフによって救出される。いずれにせよグッドエンドであれば友人と共に、バッドエンドであれば自分の無力さを痛感したことを糧に、その後のアーシャが錬金術士として大成したという結末が語られるが、アーシャがニオを救出する過程で得た人脈と錬金術の技術によって何を成したかによって、選択できるエンディングの幅が広がる。


  1. ^ 『ファミ通ゲーム白書2013 補完データ編(分冊版)』エンターブレイン、2013年。 
  2. ^ 編集部:Ky (2012年6月15日). “アーシャのアトリエ」を先行プレイ。システムの簡易化と世界観の強化によって,より間口の広い“RPG”へと成長したシリーズ最新作”. 4Gamer.net (Aetas). https://www.4gamer.net/games/150/G015067/20120613051/ 2012年7月16日閲覧。 
  3. ^ a b 、2012、「巻頭特集 アーシャのアトリエ 黄昏の大地の錬金術師」、『電撃PlayStation』(Vol.521 2012.7.22)、アスキー・メディアワークス pp. pp.18-33
  4. ^ イベントで1つだけ入手できるキーアイテムではないアイテムも登録可能。
  5. ^ うしといっても、一般的な牛とは全く異なる外見であり、むしろ猪あたりに近い。乳牛以外にも馬のように荷馬車を引かせている場合もある。


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